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歴史とアートと「ロッキー」の聖地を巡る: 珍エピソード満載のフィラデルフィア旅 (元教授、定年退職333日目)

先日、NHK の番組「世界ふれあい街歩き 兄弟愛の街 フィラデルフィア」を視聴しました(下写真)。フィラデルフィアという地名は、ギリシア語で「兄弟愛」という意味だそうで、番組タイトルにも反映されていました。この街には過去に2度訪れたことがあり、番組を観ながら懐かしい思い出が次々と蘇ってきました。当時の旅のエピソードを、番組の内容と絡めながらご紹介したいと思います。

NHK「世界ふれあい街歩き 兄弟愛の街 フィラデルフィア」(注1)


アムトラック「Quiet Car」で行くフィラデルフィア

約8年前、アメリカ化学会での講演を依頼され、フィラデルフィアを訪れる機会がありました(なお、以前の note (7/18) では、フィラデルフィアの野球場でフィリーズのファンになった話を綴っています)。その際、直通便の航空券が取れなかったため、ニューヨークのペン・ステーションからアムトラックを利用してフィラデルフィアに向かうことになりました。ところが、出発直前にチケットを購入したため、利用できるのは「Quiet Car」のみ。初めて耳にする特別な車両でしたが、説明を聞いても具体的な雰囲気がよくわからず、不安を感じながらも乗り込むことにしました。結果として、Quiet Car はおしゃべりや携帯電話の使用が禁止された車両なだけで、快適な1時間余りの旅を楽しむことができました(下写真)。ちなみに、アムトラックでは「発車5分前までどのプラットフォームから出発するか分からない」という“あるある”があり(知らないと怖いですよね)、その時も例外ではありませんでした。出発直前、電光掲示板を凝視していた乗客たちが、一斉にホームへと駆け出していきました。

アムトラックの「Quiet Car」


フィラデルフィア: アメリカ建国の歴史が息づく街

フィラデルフィアは、歴史好きにはたまらない魅力に満ちた街で、17 世紀後半にウィリアム・ペンによって開拓が進められ、18 世紀後半にはアメリカ独立戦争の舞台となり、1776 年7月4日、アメリカ独立宣言が採択された場所です。ワシントンDC が誕生するまでの十年間はアメリカの首都でもありました。現在も、大西洋沿いのメガポリスの1つで、全米で5番目に人口の多い都市です。


フィラデルフィア美術館のモディリアーニ

有名な市庁舎が見えるホテルに宿をとり、休みの日に少し街を散策しました。真っ先にフィラデルフィア美術館を訪れました。目的は二つ。一つはもちろんこの美術館の所蔵品の素晴らしさに惹かれたからです。アメリカを代表する美術館の一つで、ルノワール、セザンヌ、モネ、ピカソといった巨匠たちの名作が並んでいます。特に、ゴッホの『ひまわり』を目の当たりにした時には感激しました。しかし、一方で驚かされたのは展示の仕方で、なんとモディリアーニの有名な『青い瞳の肖像』が、化粧室*の横に飾られていたのです(下写真)。思わず二度見してしまいましたが、これもアメリカらしいといえるのかもしれません。(* 正確には、女性・赤ちゃんステーション)

モディリアーニの有名な『青い瞳の肖像』が、化粧室の横に飾られていた


ロッキーの階段を制覇!  映画のワンシーンに浸る

訪問のもう一つの理由は、美術館の目の前の 72 段の大階段。映画「ロッキー」第一作目で、主人公ロッキーが毎朝、生卵を飲みながらトレーニングし、やがてこの階段を駆け上がる姿は名シーンの一つです。この映画は私が大学1回生の時に大ヒットし、友人たちとロッキー風のスウェットを真似して着ていたこともありました。その憧れの場所を訪れた私は、ロッキー像の前の人混みには目もくれず、ゼイゼイ言いながら階段を登り切り、頂上でフィラデルフィアの街を一望しました。まさに映画そのままの景色が広がり、しばらくそこにたたずみました。(タイトル写真、下写真もどうぞ)

階段の頂上から見たフィラデルフィアの街
ロッキー像の前の人混み


そこへ、一人の若者が近づいてきて「写真撮ってあげようか?」と声をかけてきました。しかし、事前に地元の人から「写真を撮った後にお金を請求する輩がいる」と警告されていたため、警戒してスルー。その後、お金持ちそうな東洋人観光客がターゲットになり、あれこれポーズを取らされた末に、案の定お金をせびられていました(笑)。


ベンジャミン・フランクリンと科学実験ショー

帰り道、涼みがてら立ち寄ったフランクリン博物館内では、ベンジャミン・フランクリンの石像の前で科学実験ショーが行われていました。くつろいだ親子 20 人ほどが床に座って楽しげに参加していました。涼みに入っただけだった私も、いつの間にか一緒に楽しんでしまいました。また、別の日にはペンシルベニア大学を案内してもらったのですが、そこにも立派なフランクリン像がありました。彼は科学者でもあり、フィラデルフィアの英雄として今なお敬愛されています。(下写真もどうぞ)

ベンジャミン・フランクリンの石像の前で科学実験ショーが行われていました
ペンシルベニア大学内のフランクリン像


レディング・ターミナル・マーケットの味

食事はレディング・ターミナル・マーケットに何度か足を運びました。1893 年創業の歴史あるマーケットで、フィラデルフィア名物のチーズステーキなどが味わえます。当時、食事の写真を撮る習慣がなかったため、何を食べたか記憶が曖昧ですが、何度も訪れたということは、間違いなく美味しかったのでしょう。(下写真もどうぞ)

番組より、レディング・ターミナル・マーケットの様子(注1)


今回はフィラデルフィアの特集番組をきっかけに、歴史とアート、映画の聖地を巡る懐かしい旅を思い出しました。文章にお付き合いいただきありがとうございました。では、また。


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注1:NHK の番組「世界ふれあい街歩き 兄弟愛の街 フィラデルフィア」より


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