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憬れのFBI本部を訪ねて: 30年前のワシントンDC旅行記 (元教授、定年退職222日目)

映画『スティング』から始まった FBI への憧れ

高校時代、私が初めて映画館で観た作品は、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演の『スティング』とスティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン主演の『パピヨン』でした。どちらを先に観たのかは覚えていませんが、いずれも素晴らしい大作でした。特に、『スティング』はとても印象的でしたが、複雑なストーリー展開に戸惑い、上映後にトイレで横に立った友人と「結局、最後の FBI の捜査官は味方だったのか、それとも敵だったのか?」と、トホホな会話をしたことを覚えています(汗)。今でも、この映画のテーマ曲を聞くたびに、その時のことが鮮明に思い出されます。(下写真もどうぞ:注1)

スティング(注1)
FBI 特別捜査官(左)とポールニューマン(右)(注1、最後付近の映像より)


この映画をきっかけに、私は推理小説に没頭するようになりました。エラリー・クイーン、コナン・ドイル、アガサ・クリスティー、ディクスン・カー、エドガー・アラン・ポー、モーリス・ルブランなど、友人や図書館から本を借りては徹夜で読み漁りました。これらの作品に頻繁に登場したのが FBI(Federal Bureau of Investigation:連邦捜査局)でした。FBI はアメリカの司法省に所属する連邦の捜査機関(警察組織)で、州をまたぐ犯罪の捜査を担当しています(特別捜査官には弁護士相当の高度な法律知識や捜査能力が求められます)。情報収集を主とする CIA とは異なり、FBI はアメリカ国内の治安を守る組織として、情報部、国家保安部、刑事・サイバー対策部、科学技術部、情報技術部、人事部の6部門で構成されています。


30 年前の FBI 本部見学

アメリカ留学中の正月休みにワシントンDC を訪れた際、大きな目的の一つとして、ペン・クォーター地区にある FBI 本部を訪問しました。当時、あのあたりは治安があまり良くなく、市内を車で走っていると、信号で停車するたびに窓を拭きに来る子供たちから小遣いをせびられました。物騒な雰囲気の漂う街中で、FBI 本部は一見、普通のオフィスビルのように見えました。しかし、正面には映画で幾度となく目にした象徴的な FBI の紋章が掲げられていました。(下写真もどうぞ)

ペン・クォーター地区にある FBI 本部(当時)
別角度からの FB I本部
FBI の紋章

現在では FBI の見学はできなくなっているようですが、当時は比較的おおらかな時代だったのでしょう。身分証明書の提示だけで比較的自由に見学することができました。それどころか、日本人でも手続きをすれば拳銃の試射を体験することさえ可能でした。私たちが訪れた日は年始だったため、試射はできず、大変残念でした。

見学は自由行動で、案内人はいませんでしたが、決められたルートに沿って様々な部署を見学することができました。ただし、いくら探しても私のアルバムには FBI 内部の写真が残っていません。おそらく、写真撮影は禁止だったのでしょう。

私は仕事柄、特に科学部門に興味があり、ガラス張りの部屋の中を目を皿のようにして熱心に観察しました。もちろん、実際の捜査現場ではなくモデルルームだったので、それほど特別な機器は置いてありませんでしたが、様々なガラス器具の横に微量測定用の分析機器であるガスクロマトグラフィーなどが並んでおり、大変興味深い経験となりました。


その後、近隣のスミソニアン博物館群も数日かけて見学しました。FBI 本部とは違い、こちらは当時の博物館の写真が多く残っていました。今後整理して、近いうちにいくつかご紹介させていただきます。ただし、場所や名前があいまいなので、『地球の歩き方:ワシントンDC』を購入して、それを参考にしながら思い出し、紹介する予定です(先程少し眺めましたが、このガイドブックには FBI は掲載されていませんでした。時代の変化かもしれませんね)。

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注1:NHK BS プレミアム、 シネマ「スティング」より

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