見出し画像

読書記録 / アリアドネの声



アリアドネの声 井上真偽


多分ネタバレ有りなので
嫌な方は回れ右でお願いします。


救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。
崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

出典:Amazon

初めましての井上真偽さんでした。
SNSでよく見かけていたので
読ませていただきました。


本当に、語彙力が乏しくて申し訳なくなるくらい
面白かった。ほんとに。

映画観てるくらいどきどきしながら
あっという間に一気読みしてしまった。
ページを捲る手が止まらない
っていう感覚が久しぶりだったなあ。

しっかりじっくり味わう小説も好きだけど
テンポよく一気に読んでしまうのも
やっぱり読んでいて楽しい。


「見えない、聞こえない、話せない」
そんな女性をドローンでどう救助するのか。
想像できなかったけど
この女性がすごすぎて、ほんと。

普段から
「見えない聞こえない話せない」の
世界で生きている彼女にとって
地下の危険地帯に取り残されたって
いつも通りと変わらない。

そう考えたら
普段生きている彼女の世界は
今の自分からは想像もできないど
絶望しかないと思う。
でも、それでも彼女にとっては
それが普通なんだって。


物語の途中で
「彼女の障がいは嘘なんじゃないか」
と思われるシーンが幾つかあって
疑問を抱きながら読み進めて、
でも最後に救出された時
全ての疑問が消えた。とてもスッキリと。

そうか、そういうことか。

絶望的な状況の中でも
誰かを助けようとして、
その誰かに救われたのは
きっと彼女が普段から
当たり前にそうしているからなのか。


障がいがある人って
気持ちが強い人が多い気がする。

これも障がい者への偏見と言われたら
そうなのかもしれないけど。

障がいがあるから大変だろうな、とか
かわいそうだな、とかじゃなくて
なんだろう。
上手く表せられないんだけど。

尊敬するって言ったら
なんだか語弊が生まれそう。
でも感覚としてはそんな感じ。

障がいがあるのにすごい、じゃなくて。
やさしい。つよい。


話は戻って本の内容。

ドローンの詳しい話とか難しいところも
所々あったけど
それすらもさくさく読めるような。
比較するのは違うのかもしれないけど
東野圭吾さんの小難しい理系の話のところみたいな
意味わからんけど普通に読める的な。

だから読んでて
すぐ脳裏に映像が浮かぶやつ。

読んでて楽しい本は久しぶりだったかも。



いいなと思ったら応援しよう!