2021年8月11日副反応の日

妊娠13週1日

噂には聞いていたが、モデルナ2回目の副反応すさまじい。頭は痛い、体はダルい、熱は39度まで出た。

ライター仕事が中心になってから、あまり外出をしなくなった。そして風邪を引いたり熱を出したりすることがかなり少なくなった。

こんな状態は何年ぶりだろう。つらさと同時に何やら懐かしさを感じる。不思議な感覚。そんなこと感じている場合ではないのだけど。

調子が悪い妻が、おれの世話をしてくれていて、非常に申し訳ない気持ちになる。……世話されるくらいなら誰かの世話をしていた方がラクだな。

妻の日記より

コロナウイルスのワクチンを接種しに行った。つわりによる吐き気と眠気と倦怠感を抱えながら、電車を乗り継ぎ会場へ向かう。健康な状態であれば何でもない距離だが、今の私にとっては決死の大冒険だった。

ろくに歩けないので会場の最寄り駅からタクシーを使う。無事ワクチンを打ってもらうことができたが、問題は帰りであった。空腹になると気分が一層悪くなるので、基本的には外出してから時間が経てば経つほどに辛くなる。普段なら寝込んでいるはずの夕方に、帰宅ミッションをこなさなくてはならないということを、ちっとも考えていなかった。

駅のロータリーでタクシーを降り、少し酔ったので電車に乗る前に休める場所を探したが、座れるような所はない。カフェもない。探し回る気力もない。仕方なく、キオスクに飛び込んでポカリスエットと一口サイズのクリーム玄米ブランを購入し、口に放り込んで気を紛らわせながら改札をくぐる。ホームのベンチに座れた所で、ようやくほっとした。

妊娠してから、ベンチの重要性をひしひしと感じる。健康な時は駅の周囲やホームのベンチに座ることなどめったに無かったが、休み休みでないと動けないという人は、妊婦に限らずきっとこの世に沢山いる。そういう人のためにも、出産後はまたベンチに座らない生活に戻ろうと思った。そして、あらゆる場所にもっと沢山ベンチを作るべきだ。

もうひとつ、妊婦というのはまだお腹の大きくない頃が1番辛いということ。それも自分がなってみるまで分からなかった。

今、混み合った電車の中で10分立ってろって言われたら絶対に無理だ。においと吐き気と貧血で、あっという間に倒れてしまう。見た目にはとても妊婦には見えない人こそ、助けてほしいと思っている。

マタニティマークはそのためにあるんだってこと、全然わかってなかったよ。出産後は、沢山席を譲りたい。

自宅の最寄り駅に着くも、再び吐き気が止まらない。座りたくてたまらない。仕方なく、駅のトイレに駆け込んで休む。トイレがすいていて本当に良かった。

しばらく座ると少し気分が良くなったので、歩いて帰宅。早く帰りたいのに、足はゆっくりとしか動かない。家の玄関を開けた瞬間、これでもう倒れても大丈夫だって思ったら、安心しすぎてすごく眠くなった。

早めに風呂に入り、ベッドに倒れ込むと、深い深い眠りがやってきた。起きたときには、なぜ寝ているのか、ここがどこなのか一瞬わからないくらい、深い眠りだった。

隣のベッドでは、昨日2度めのワクチンを打った夫が、39度近い熱を出し、羽毛布団をかぶって寝込んでいる。一緒に暮らすようになってもう7年。二人揃って寝込むのは初めての事だ。

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斎藤充博
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