2022年2月3日 前日、そして2人暮らしの最後

妊娠38週2日

明日が出産の入院をする日だ。産院でもらったお産のパンフレットを夫婦で読み返す。

パンフレットの中に気になる記述がある。それは陣痛の痛みに関する部分だ。

無痛分娩に関するページでは
「昔は痛みにこらえてこそ母性が生まれる、という風潮がありましたが、現在では麻酔で取ったほうがいいと言われています」
と書いてある。

しかし分娩の時の心構えのページには
「痛みは赤ちゃんをむかえるポジティブなものと捉えましょう!」
と書いてあった。

どっちなんだよ! なんか納得いかない。

夜に
「できない~産めない~むり~」
と泣き言をいう妻をヨシヨシと慰める。

妻の日記より

約8年やってきた二人きりの暮らしは、今日で最後だ。

朝からそれなりの出血があり、生理痛のような痛みの波も続いていている。

基本的にはずっとお腹がズンと重たい感じがあって、時折キューっとお腹が縮むように痛くなる。しばらく耐えると引いていく。寝ている時が特に酷く、昨夜も熟睡はできなかった。

本当は夫と散歩でもしたかったのだが、あまり動くと生まれてきてしまうかもと思い、外には出なかった。結局、ほとんどベッドで横たわって過ごしてしまった。

入院用の荷物や書類の最終チェック。先に出産した友人のアドバイスを受け、手軽に食べられる栄養食と電気の延長コードを追加した。

ついでに産院で貰った分娩についての冊子を読み返し、明日の流れや呼吸法を確認する。陣痛中は深呼吸。いきんでいいと言われたら息を止めて思い切りいきむ。いきむのをやめてと言われたら短い呼吸に切り替えると書いてある。

実際に土壇場でできるかどうか分からないが、知っているのと知らないのでは違うだろうし、こうして知識を頭に入れることで多少は恐怖を追い出す事ができる。

夫の立ち合いが可能なら、もっと勇気が出るのになあと、嘆いても仕方のないことを何度も思ってしまう。東京のコロナウイルス感染者はあっという間に2万人を超えた。昨年、5千人を超えた時の恐怖も霞む数字だ。

いつまでこんな思いをしなくちゃいけないんだろう。私達の子供の将来にも、影響はあるのだろうか。

昨日に引き続き食欲が無く、心配した夫がアイスクリームを買ってきてくれた。元気に出発する所を見せたいが、心も体もうまく行かない。最後の最後でマタニティブルーになってしまったのかもしれない。

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※こちらのマガジンで妊娠日記を毎日更新しています。


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斎藤充博
サポートしていただけたら妻においしい果物を買ってきます。