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Snow Manが学び舎から飛び立つ日〜滝沢歌舞伎ZEROFINAL

「滝沢歌舞伎」からの卒業


渡辺翔太くんが2020年のメイキングで「滝沢歌舞伎は卒業のない学校のよう」だと語っていた。
Snow Manが卒業する時は、後輩にバトンを渡す時だと、彼らは考えていたと思う。
まさか終わるなんて。

滝沢さんが会社を去った時に、もう滝沢歌舞伎は見られないと覚悟したけれど、今年も開幕した。
岩本くんの挨拶にもあるように「自分たちの手で幕を下ろせる」のは幸運だと思う。
2022年は配信もなく今のところ円盤化もされていない。ほんの限られた人たちしか観ることが叶わなかった公演が最後ではなくて、きちんと「最後ですよ」とアナウンスして上演し、映画館でのライブビューイングで全国へ届けてくれた。

終わり方としては、最大限配慮してくれているなぁという印象。
余談だが、気軽に遠征できない者にとって舞台なるエンタメは「キャパが狭い」「なかなか地方に来てくれない」「配信・円盤化は無くて当たり前」という三重苦。
地方民に希望をくれて、ありがとうございました。



Snow Manをつくり、育て、大きくした滝沢歌舞伎



岩本くん


ひーくんは自分に負荷をかけることを楽しめる人。「滝沢歌舞伎」という大きく重い看板、座長の重圧、そういったものを覚悟を持って背負っていたと思うし、それに潰されることなく楽しんでいたように見えた。
滝沢さん卒業後の座長は俺にしかできない、という誇りが顔に出ていて、その姿勢と表情がとても美しかった。
最後の挨拶は、本当にこれで滝沢歌舞伎の幕が下りるのだという実感が湧いてきて寂しくなったけど…「Snow Manはここから飛び立ち、これからも舞い続けます」という言葉にグッときた。
ひーくんがリーダーだから、Snow Manはこんなにまとまるんだよね。
三方礼のスッと伸ばした腕・指先の美しいこと。
舞台で生きてる人だと思った。



深澤くん


リーダーはひーくんだけど、ふっかさんがシンメにいる「いわふか」の二本柱は強い。
「ひらりと桜」も「春の踊り」「いにしえ」も、とても「いわふか」を感じる演目。
そして「お丸さん」の存在。
化粧の時間、「五右衛門」組は早々に去り、最後まで残ってるのは「男と女」組。冷静に考えて、お丸さんから早替えして「五右衛門」に出演するなんて時間軸を歪めないと無理そうなのに、無理してでもお丸さんを登場させるというのは特大のファンサービスだ。
「お丸さん」を登場させようと推したのはメンバーだったそうだけど、ファンも求めていたのはふっかさんもきっとわかっていたはずで、それに応えてくれたことが嬉しかった。


渡辺くん


しょっぴーが「Maybe」を歌うと聞いて、どんなふうになるのか気になっていた。
あべふかの優しさとはまた違う、豊かな響きが広がるMaybe。一層たくましくなったラウールのダンスと呼応して、なべラウの絆を感じられる演目になった。
「花鳥風月」は普段あまり表に出ないしょっぴーのパッションが伝わってきて、気迫に圧倒されそうだった。曲の最後に拳を突き上げるような動きをしていた日があってしびれた。
「WIHT LOVE」はソロパートにメインボーカルの貫禄で圧倒し、ラウールのソロパートではさりげなく下ハモで支える仕事人ぶりに惚れる。
本当に真面目に仕事をする人だなと思う。


ラウールくん


ねぇ本当に、大きく強くたくましくなって………。
2019年、15歳。
すでに背は伸びていて、高身長集団Snow Manに加入しても埋もれることなく輝いていたけれど、フォーメーションはいつも先頭というより兄たちにぐるりと囲まれ守られているように見えた。
2023年、19歳。
さらに伸びた身長、筋肉がつきたくましくなった身体、そして何より自信に満ちた顔つきになり、オーラがとんでもない。
歌も変声期を終えて安定するようになったのも、よりセンターとしての説得力を増している。
よく成長されました(涙)
「Maybe」はとくにラウール成長記録だと思う。
2019年には前にあべふかが座り、「影」のような役回りのさっくん、ダンサーさんたちもに囲まれてしっかりと守られている印象だった。
今年は歌のしょっぴーも上にいて、もうステージにひとりぼっちでも全く持て余した感じがない。内にこもったような表現なのに観ている者に訴える力の強い、画面越しでもエネルギーが爆発してこちらに迫ってくるのではないかと感じるダンスだった。
TGCのステージとは全く違う、自らと対話するような即興ダンス。もっと見ていたかったなぁ。


康二くん


康二くんは洋服のセンスもいいけど音楽の趣味もよくて、だからダンスも音の取り方にオシャレさがにじむ。

「いにしえ」はTHE・ジャニーズな振付だと思って見ていた。こういう曲で光る康二くん。
「花鳥風月」では康二くんの進歩に目を見張る。もともとの良いところはそのままに、身体の可動域が広がってよりダイナミックになったダンス。本当に上手くなって…。加入当時と今は別人だと思う。
今年は化粧の時間が短かったけれど、しっかりだてこじ漫才あり、最後の「LOVE」はダンス対決を率いたりふっかさんとイチャイチャしてたり、みんなの万能調味料健在だった。
2019年のROTに残されている、まだメンバーに溶け込めない康二くんを見ると胸がギュッとしてしまうけど、いまSnow Manがこんなに仲が良いのは康二くんの功績も多分にあると思うから、康二くん頑張ってくれてありがとうと言いたい。


阿部ちゃん


「ひらりと桜」で花が咲いたように笑みをたたえ、「仇討ち」では鬼気迫る表情で力強く殺陣をして、ナレーションは穏やかで優しく、しかし太鼓では気合いの声がよく聞こえた。
新曲のスタイリングは天才的だし、化粧タイムは進行に合わせて拍手をするなどサービス満点。
最初から好きポイントを挙げれば止まらない。
でも、この5年の成長というところで言えば、絶対に女形。
高い髷を結ってもめめとの身長差がしっかりできるほど腰を落として、恥じらいが伝わる視線の使い方、滑らかで流れるような体重移動も全部美しくて。振りをなぞるだけでいっぱいいっぱいだったのが、人物像がハッキリと見えるくらいの進歩があったように見えた。
そして初めて見た白拍子花子さん。遊女とはまた違う、かわいらしくも少しナマイキな感じの女の子に見えた。鐘の上での見得は、目をカッと開いた凄みのある表情で…、怖かった(褒めてます)
舘様はこれからも歌舞伎の舞台に呼ばれることがあるかもしれないけど、あべさくの女形はもう無いかもしれないと思うと勿体無くて。私が先生なら「まだまだ通ってらっしゃいよ」と声かけちゃう。絶対。さみしいな。


目黒くん

めめは滝沢歌舞伎をチャンスに飛躍した人というイメージ。
「99%の努力と1%の運」という言葉を思い出す。
チャンスは平等に回ってくるわけではなくて運もあるけど、それを気合いと根性と努力でカタチにしてきた人。
特に太鼓はこれまで滝沢歌舞伎に込めてきた気持ちを爆発させてるように見えて胸に来た。
それから、五条大橋に登る時に毎回「よし」って顔をしてから太腿を拳で叩いて気合いを入れる様子。しかも橋の上から手を取るのは舘様だった。金スマを思い出して泣いてしまう。
Snow Manに加入し、だんだんと同じグループの一員として存在感を増していく過程で毎年の「滝沢歌舞伎」の経験は大きかったに違いない。
「WITH LOVE」に込めた思い、画面越しだけど受け取ったつもりです。

己の限界を超えなければならない過酷な舞台で、優しいエピソードが次々出てくるところが好きだ。
2013年滝沢演舞城の腹筋太鼓のリハで力尽きためめをふっかさんが迎えに来てくれた話。2018年、さっくんとの風呂友結成。
加入後は、ラウールを支え、ケガをしたひーくんや思うように歌えなくなったしょっぴーに声をかける。
優しさも継承されていくのだ。


宮舘くん

舘様の歌舞伎や殺陣に対する思いの強さに圧倒された。
殺陣の一つ一つの動きの重み。殺傷能力が高そう。素手で戦いだしたのには驚いたけど、強靭なフィジカルをもって納得させてしまう力技。
そして…息を切らして階段を登っていき、相当な高さから奈落へ吸い込まれるラスト。
「SANEMORI」では息遣いが激しかったと聞いて、これのことか…!と納得。

「五右衛門」「氷の世界」は、ライビュ初回はほぼ舘様しか見えなかったほど引き込まれた。

専門知識がなくて上手く言えないのだけど、歌舞伎特有の「顔の作り方」が多分ある。それが見えたのが舘様。

舘様は舞台に立つ自分を演出することに誇りを持っていると感じた瞬間がある。
「WITH LOVE」は全員ピシッと締めて、最後の「LOVE」は少しくだけた雰囲気になる。幕が下りる瞬間もわりとラフな感じ。
でも、舘様だけアウトロから幕が下りるまで美しい所作でキリリとしていて、「ここで気を抜かないところがさすが舘様!」と惚れ惚れした。
これからも沢山舞台に立ってほしいし、その中に歌舞伎もあると信じている。


佐久間くん

元気だったり、妖艶だったり…な印象が強かったさっくん、今年の歌舞伎はまた新たな一面が見られた。
「足跡」、メカ太鼓トリオのバラード。
優しい顔でめめこじの手を取って笑いかけるのが本当に良くて。これが見られてよかったと本当に思った。
楽しみにしていた「櫓のお七」。体感3秒くらいであっという間だったけど、登場の吊り下げられた人形のような姿勢→頭を振りながら前進する気迫→鐘を打ち鳴らす狂気→最後の怨念のこもった表情までずっと最高だった。
さっくんは自分を消すのが本当に上手。あそこにいたのは佐久間くんじゃなくて、お七だった。
もう一つ、絶対に見逃せない「花鳥風月」。
イントロのあべさくシンメが美しくて大好き、何度でも巻き戻したいので円盤ください。
今年の「花鳥風月」は全体的に激情をぶつけるような演舞だったけれど、なかでも身を投げ出さんばかりに、手足がちぎれるのではと心配になるほど全力のさっくんが見られて、命を燃やすような表現に胸を打たれた。力強いボーカルと呼応するように頭を振り肩から腕を回して…。さっくんの音楽表現が大好きだ。
五条大橋のさっくんのフライング。
空中で姿勢を保つフィジカルの強さと、爪先まで行き届いた表現力、芸術的だった。
「WITH LOVE」。大好きな健くんから手話の番組のバトンを渡された今年は、手話の振りにもひときわ気持ちがこもったのではないかと想像する。
とくに「ありがとう」の手話を大切にゆっくりやっているように見えて、とてもよかった。


滝沢歌舞伎、ありがとう

「WITH LOVE」の歌詞そのままのことを思っている。
「ありがとうと言えるよ 目の前の 君にまっすぐ伝えたくて」
こちらこそありがとう。
Snow Manを産み育ててくれた、究極の和のエンターテイメント「滝沢歌舞伎」
舞台に舞う桜吹雪、満開の笑顔。
なんと美しい、春の夢。
「滝沢歌舞伎」の名は無くなっても、違う形で和のエンターテイメントが継承されることを願う。

2023年4月30日、大千穐楽おめでとうございます。

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