WWOOF in ブルターニュ
1.きっかけ
WWOOFを知ったきっかけは、去年の夏に友達がカナダで経験していたから。とても楽しそうだったので、私も挑戦したくなった。
そして、今年は夏休みが3ヶ月半もあり、しかもお金もあまりない。なにより、ブルターニュの一次産業やフランス人の暮らし方に、興味津々だった。
というわけで、「やるっきゃない!」と、働き始める2か月前から、受け入れ先を探し始め、メッセージを送り始めた。
経験者の友達のアドバイス通り、興味のあるところには、自己紹介と働きたい期間を添えたメッセージをバンバン送った(10軒ほど)。そして、実際決まったのは、4軒。そのうち1軒が後からキャンセルになった。(家族に不幸があったよう)
当時私が条件としていたこと。
1:ブルターニュ内
2:休憩時間に海に行きたいので、海沿い
3:業種は混ぜる(漁業に最も興味があるが、なかなかないし…)
2.カキ養殖場
カキの養殖場には5週間滞在した。当初の予定は3週間だったが、ホストが「好きなだけいていいよ:)」と言ってくれたため、延ばした。
ここは、カキの養殖だけでなく、小さなレストランもやっている。仕事内容としては、沖のカキ養殖棚にカキを取りに行く、カキのサイズ分け、レストランの手伝い、食事作りがあった。午前中少し働き、午後も少し働くという、時間やスケジュールはあまり決まっていない自由なスタイルだった。
ホストは40代の男性で、自分で一から養殖を始めたらしい。彼は、本当に働き者である。決まった休みはほぼなく、心配になるぐらいずっと働いている。そして、この家には、常に様々な人の出入れがある。ホストの両親、ホストのパートナー、ご近所さん、友達、従業員、ウーファー等、毎日のように新しい人が現れた。常に「この人誰だ?」状態がずっと続いた。
また、期間中面白いウーファーも代わる代わる現れた。40代の画家カップル、自由人な60代おじちゃん、元消防士の60代おじちゃん、パリからやってきたバカンス中のカップル、大学出たてな25歳カップルと、フランス中にたくさん友達ができた。空き時間にウーファーたちと、Vannnesへアイスを食べに行ったり、カヤックをしたり、泳ぎに行ったりと、沢山遊んでもらった。
意外と40代以上の人々も多く、「仕事だけではない、余裕のあるヨーロッパでの人生」を実感した。日本の両親や周りの人からは感じられない、新しいことに挑戦を続ける、人生の自由な組み立て方に目から鱗だった。私もそんなふうに年を重ねたい。
しかし、年齢を重ねたフランス人たちからは、恋愛主義な発言が飛び出し辟易した。「彼氏おらんのかー?」、「結婚せんのかー?」「どんな男がいいんやー?」等…。適当に毎回対応していたが、内心「めんどくせえ」の一言だった。ほっとけ!
一方、25歳のカップルとは、恋愛トークではなく、社会、宗教、人生の話を、より近い感覚で話すことができとても楽しかった。ノリも良く、一緒に料理も楽しんだ。今でも連絡を取り合っており、また会えたらいいなー!!
3.ハーブ農家
次にやってきたのは、ブルターニュの西の端にあるハーブ農園。ハーブティーや料理用のハーブを作っている。30代のホストと、その両親と孫2人(夏休みで泊まりに来ていた!)、従業員1~2人、ウーファー1人と小規模。
滞在は1週間と短かったものの、午前中に畑仕事を、午後はすぐそばの大西洋を見に行ったり、庭で遊んだりして、とても充実した日々だった。
ミントやバジルだけではなく、初めて見るハーブやフランス語で初めて知るハーブが沢山あり、苦労したが、とても興味深かった。
正直今まであまりハーブティーに興味が無かったが、フランスではハーブを本当によく使うし、毎日新しい香りに出会ったことで、かなり興味が出てきた。何気なく選んだハーブ農園だが、新たな趣味や食生活の扉を開けてくれた、すばらしい機会になった。
最終日には、マルシェの手伝いもさせてもらった。お客さんとの会話に私も入れてもらい、マルシェのおしゃべり文化も肌で体験することができた。
30代のホストは、20代の頃日本を含むアジアを旅していて、日本にも合計1年いたらしい。語学の勉強が趣味で、日本語もとっても上手。「ほのかさーん、上に来て―」と突然日本語で言われ、驚いたこともあった。穏やかな雰囲気とおちゃめな部分を持ち合わせていて、とっても素敵な方だった。目標にしたい大人がまたひとりできた。
夏休みで遊びに来ていた7歳と9歳の孫たちも、とってもかわいい女の子たちで、お絵かきや動物園に誘ってくれ、一緒に遊んだ。
とても短い滞在だったが、ハーブという新しい扉が開き、みんなで
行ったFest-nozというブルターニュのダンスパーティーも忘れられない思い出となり、とても素晴らしい出会いだった。
4.野菜農家
オランダ人の友達の家で、1週間のプチバカンスを挟んだあと、やってきたのは、ブルターニュの北西部にある野菜農園だ。滞在は4週間。
トマト、ナス、ズッキーニ、バジル、ニンジン、ジャガイモ、いんげん、レタス等、生きていくうえでまったく困らない野菜を作っている農園だ。
ここでも午前中に畑で働き、午後は家や浜辺でゆっくり休んだ。
作業は、大量の野菜の収穫と仕分け、草抜き、苗植え、食事作りの手伝いだった。かなりハードワークで、毎日疲労困憊だったが、体力と筋力はかなりついた。
ホストは日本での自転車旅、オーストラリアでのワーホリ、WWOOFをしてきた、夫婦だった。若い頃言葉が違う海外で暮らした経験も長いため、いつもゆっくり分かりやすく話してくれてとても嬉しかった。
そして一歳児の息子くんは、絶賛いろいろ言葉を覚え中。両親がその場にいる人の名前を毎度毎度教えるのだが、パパの次に発した単語は、まさかの私の名前だった。(笑)。決まずさも感じながら、毎回みんなで爆笑した。
同時期にいたウーファーは、ベルギーからやってきた同世代の姉妹。とっても明るくいい人ではあったが、若者なのでとにかく早口だし、二人の会話の勢いも強く、気も強いため、正直言うとあまり気が合わなかった。
休みの日は、別々に行動することも多かったが、毎晩のようにカードゲームを楽しんだり、浜辺で日焼けをしながら昼寝を一緒にしたのはいい思い出だ。
さすがに、WWOOF3軒目で疲れていたため、4週間の滞在は少し長く感じた。
5.私の成長、そしてWWOOFをはじめたいひとへ
合計10週間にも及ぶWWOOFは、この夏のかけがえのない経験となった。ブルターニュだけではなく、フランス、ベルギーの産業、食、文化を知ることができた。そして、かなりフランス語も聞き取れるようになった(成長具合に正直自分でもびっくり)。
なにより、「食」が私の中で完全に軸になった。美味しくて、環境にも良いものをたくさん食べたい。そして、家庭菜園や料理という「過程」も大事にしたい。自分の手で「食」を楽しみ、それを周りの人々にも共有することが、私の人生だ!!
そして、これからWWOOFをフランスで始める人へのアドバイス。
1か所あたりの滞在は、2~3週間がベストだ!短いと人との交流が薄くなるし、長いと疲れる。そして何軒か体験することで、より多様な体験が得られると思う。
WWOOFという制度は本当に素晴らしいものだ。ぜひ挑戦してほしい。