詩「緊急事態宣言」が解除されて
一億の首を絞める透明な縄
目に見えないものに付けてたシールは多分、剥がされ
各人はようやく「自由」を手にする
なるほど泳げない人が海の上で浮き輪に縛られ
時折溺れそうになりながらもなんとか浮かんでいるのは
まだいいのかもしれない
しかし溺れそうになりながら手足をじたばたできるだけの自由とは
どのくらいの重さなのだろう
またいくつもの肉塊が海に沈んでいくのを隠せなくなったときに
剥がれてたはずのシールが何かの試験紙のように
透明から歪んだ色に変わり
ある人々の溜飲を下げる
「ほれ見ろ不注意だ!自己責任だ!こっち来るな!勝手に死ね!」
そしてしばらく経ち気付くのだろう
働いても出かけてもビルを見上げても街の間を縫っても
透明な膜が空を覆っていて
壁にもなり
そこから出ていけないことに
どこかに行ってもどこにも行けないことに
日常ではこれからも変化があるだろう
変化への不安
それは突き上げられて
透明な天井にぶつかり怪我をする不安
どこにあるかも分からない
だけどどこにあってもおかしくない
「日本」というウイルス