外山雄三を讃えて#14 プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」
さっき「ひいきのアーティスト」などという記事を書いたばかりですが、しょうこりもなく書かせていただきます。2019年7月18日、11年ぶりに外山雄三の生を聴く機会を得ました。2008年5月3日以来です。「外山雄三を讃えて⑤」をご覧ください。リンクがはれなくて申し訳ございません。外山雄三の生を聴くのは、それ以来だったのです。今回のプログラムは、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、リムスキーコルサコフの「シェヘラザード」、オケは名古屋フィルでした。
その日に限って仕事が遅くなり、あわてながら会場に向かったことを覚えています。ロビーで、ティンパニでラフマニノフのヴォカリーズなど演奏する人がいましたが、それはさておいて、本来のプログラムです。冒頭のグリンカから惹きつけられました。すごいオーケストラの統率力!このオケは、前の月にも聴いていますが(「川瀬賢太郎の思い出②」に書きました。リンクがはれなくて申し訳ございません)、みちがえるようなオケの出来!
そして、2曲目のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番がすごかったです!ソロは津田裕也という知らないピアニストでしたが、これは聴くべきピアニストです!じつは、プロコフィエフのピアノ協奏曲で、私が、いわば「耳が開いている」と言えるのは、第2番だけなのです(過去に「プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番」という記事も書きました。第2番は大好きです)。プロコフィエフのピアノ協奏曲は全部で5曲あり、好きな人は、5曲とも好きなようです。第3番は、そのなかではかなり人気のあるほうの曲ですが、いまいち曲に入りきれない感じがありました。本番前に、かなり予習しました。学生時代から持っているCDである、カペル(ピアノ)、ストコフスキー指揮ニューヨークフィルや、YouTubeにあるアルゲリッチやユジャ・ワンによる演奏…。ラン・ランがこの曲について熱く語っている動画も見ました。そして、当日、津田裕也と外山雄三の本番を聴いたのです。…いままで聴いたどの演奏とも、傾向が違った!少し遅めのインテンポを守り通す演奏で、この曲の「熱狂」からは遠い演奏でした。「耳からうろこ!」津田裕也は注目のピアニストです。
そのあと、リムスキーコルサコフの「シェヘラザード」がありました。ソロコンサートマスターは、荒井英治先生でした。荒井さんのソロは、学生時代、あるアマオケでの、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番で聴いています。これ(「シェヘラザード」)も、特徴的な演奏だったと記憶していますが、なにしろ私は、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番で、ノックアウトされておりましたので…。
このとき外山雄三は88歳、もう外山雄三の生を聴く機会はないだろうな、と思っていました。そのころ外山雄三は大阪交響楽団のミュージック・アドバイザーで、大阪のシンフォニーホールで、その翌月、コンサートを指揮することになっていました。外山雄三のプログラミングによくある、「短い曲をたくさん並べる」コンサートで、「狂詩曲(ラプソディ)」ばかりを集めたプログラムでした。また津田裕也が登場し、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲で共演するとのことでした(よほど津田裕也とは相性がいいらしいですね。私は野島稔との共演で、外山雄三指揮で、聴いたことあり。「外山雄三を讃えて④」に書きました。リンクがはれなくてすみません)。外山雄三の自作からは、「沖縄民謡ラプソディ」が選ばれていました(そのときの録音はCD化されているようです。私は仙台フィルのCDで持っていますが)。そのほか、その1年くらいあと、大阪交響楽団のテューバのかたとツイッターで知り合ったので(いま私はツイッターはやっていません)、聞いてみると、その日のアンコールは、どうやら外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」であったらしい。(それもCD化されていると思います。この曲については、「外山雄三を讃えて⑩:管弦楽のためのラプソディ」に書きました。)日程的にも、行けないわけではなかったので、行きたかったといえば、それはもう行きたかったですね!いまや、コロナになってしまったし、いくらなんでも外山雄三も歳だし(今年90歳)、もう行けない気がする…。いまのところ、この津田裕也とのプロコフィエフと、リムスキーコルサコフの「シェヘラザード」の日が、私にとって、最新の「外山雄三の生」です。(最後になるかもしれない。)