「いいもの」と「売れるもの」は違う
先週の水曜日、降ってわいたような話があります。私には自費出版の本があります。あれは３年前に「一生に一冊」のつもりで作りました。自費出版で、非売品で、偽名で書いています。『永遠の命』というキリスト教の本なのですが、なんと「２冊目を作る」という話が出たのです。
最初、私は無関心でした。一生に一冊の本がもう出ているからです。しかし、考えを改めました。２冊目はあり得るかもしれない。お金の出どころもあるし。そう思って、いま最も頼っている出版社の社長さんに相談してみました。自費出版の相場は、最低８０万と聞きました。この貧乏生活できついですけど、払えない額ではありません。２日後に、具体的な話が決まって来ました。
２冊目も、キリスト教の本になりそうでした。すでに原稿はたくさんあります（私がこうしてせっせと書いている記事のなかから選ぶわけです）。私はクリスチャンなのですが、これでもけっこう「クリスチャン失格」なのですね。すなわち「教会に行かない」「献金を３年くらい滞納している」「お祈りはものすごく苦手（人前で祈ることが苦手）」「奉仕（教会で何かの役割を果たすこと）が苦手」「じつは神様を信じていないのではないか（！）」という感じの「典型的いんちき信者」なのです。最後の「じつは神様を信じていないのではないか」というものは強烈な事がらに思われるかもしれませんが、実際にそういうことはあるのです。
ある教会は、その教会の刊行物を毎月、私に送ってくれています。私にお金がなく、その教会にも献金はできないことを、その教会はわかっていて毎月、刊行物を送ってくれるのです。先日も送って来ました。私はだいぶ前から嫌になってきて、もうしばらくその刊行物は開封すらしていません。その教会は、私が献金をする余裕がないから、気にしなくていい、と行って来ていて、ひたすら刊行物を送って来るのです。それが嫌になる私の気持ちはおわかりになりますか？すなわち、「やってもらってばっかり」というのはパワーが出ないのです。少しは私も献金ができたら気が楽でしょう。堂々と受け取れる感じです。でも、その教会は「いいからいいから」という感じでひたすら送って来ます。それはしまいには嫌になります。
それと同じことでして、「教会に行っていない」「お祈りをしない」「献金をしない」「奉仕をしない」と来ますと、ついには「自分は果たしてホントに神様を信じているのか？」という根源的な問いにぶつかるわけなのです。「やってもらってばかりではパワーが出ない」というわけです。教会では、受付当番がおり、献金当番がおり、聖餐式（キリストのからだであるパンを食べる儀式）でパンを配る係とかがおり、あるいは、歌うのが得意な人は聖歌隊に入っているし、子どもの扱いが得意な人は教会学校のスタッフになっているし、あるいは「お茶を入れる」のが得意な人はお茶を入れています（コロナ禍以降、教会でお茶を飲む機会は減りましたが）。だいたい、「祈祷会のあと、椅子と机をもとの位置にもどす」ことさえ、私は（「発達障害の障害特性から」）苦手なのです。とにかく、それらすべてが苦手な私はどうしたらよいのだ！「やってもらってばかり」はパワーが出ないぞ！
（だいたいにおいて今日は日曜であり、いまは午前中です。「普通の」クリスチャンは教会に行く時間です。私は「オンライン礼拝（コロナ禍以来、あちこちの教会の礼拝がリモート化したのです）」で済まそうとしています。オンライン礼拝とはいい加減なもので、礼拝中にトイレに行けるばかりか、お茶を飲みながらでもテレビ感覚で見られるし、だいたい私は画面を見ながら讃美歌も歌っていないばかりか、じつはお祈りもしていないからね！そもそも、ひとりでパソコンの画面の前で「アーメン」と言っているのはむなしいのだ！）
そんな「いんちき信者」は増えているみたいで、その社長さんは、そういうヘタレなクリスチャンの書くものは稀だから、腹ぺこさんの書くものは価値がある、とおっしゃるわけです。とても「いい本」になると断言してくださいました。私は非常にうれしくなりました。私でも役に立つことはあるのだ！しかし、急にその「８０万」の出どころがあやしくなりました。この本の計画はとりあえず夢物語になりました。皆さんもだいたいおわかりになるとは思うのですが、本に限らず「いいもの」と「売れるもの」は違うのですね。その社長さんは、私の本は間違いなく「いい本」だが、「売れる本」とは断言できないから出せない、ということでした。私もその出版社のお金のなさはよく知っているので、よくわかりました。「絶対に黒字になるという本でないと出せない」のです。
というわけで、頓挫している計画ですが、なくなった話ではないですよ。足りないのは「お金」だけですから。あと８０万があれば、「とてもいい本」が出ます！クラウドファンディング（寄付をつのる）でもやろうかしら？（笑）