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ほとんどの論理は破綻している

 「きみの言うことは、いちいち論理が飛躍している!とても、『数学』という論理的な学問をしてきた人とは思えない!」という「決めぜりふ」を言ってくるやつがいましたけど、たしかに私は数学という論理的な学問をやってきました。だからこそ見えることがあるのですけど、世の中の、「論理」と言われるもののほとんどは、破綻しています。福祉をやっている人が、制度はすきまだらけであることをよく知っているのと同様、私には、世の中で「論理的」と言われているものが、いかにすきまだらけか、よく見えているのです。

 前に書いたことがあったらすみませんが、三浦綾子の「道ありき」だか何だかで、「人はみな、罪びとである」ということを理攻めで言おうとしている本がありました。まさに上で言ってきたやつが貸してきました。だからそいつは、「そうだろ?だから人間はみんな罪びとだろ?」と言いたくて貸してきたわけですが、私に言われてもね。もっとクリスチャンじゃない人に貸せばいいのに、そこは彼は空気を読んで私に貸してくるわけだね。とにかく三浦綾子は、論理で書いているつもりで、貸してきたやつもそのつもりですが、私には、その「論理と思われるもの」が「すきまだらけ」であることがよく見えるんですよね。これは、まさに、私が「数学」という、論理でできている学問を修めてきたから見えることとも言える。

 学問的に見える聖書研究でも、話を聴いていて、(みなさんには、学問的、論理的に聞こえているらしいのだが)私には、根拠を欠いていて、まったく論理的に聞こえない場合もけっこうある。べつに教会で行われる聖書研究だから、どんなに宗教(洗脳)の要素が入っていてもいいのだが、「学問的と見せかけて、じつは洗脳の要素がある」というのは、まずいと思う。学問的に見せかけなければよいのだ。宗教だから論理的でなくてよい。というか、私から見たら、世間のほとんどのものは、論理的でない。

 その証拠に、もし世間が論理で動いていたら、私は今ごろ、こんなに困っていないだろう。もう少し、「勝ち残れて」いると思う。こう見えても、休んでいると思われないように、子どもの幼稚園卒園式や、小学校入学式を始め、学校行事のかずかずを休んで、仕事に行った。しかし、私にはられたレッテルは「すぐに休んで人に迷惑をかけるやつ」。私、この15年間、インフルエンザで休んだこともないのですよ!ものすごく気を付けているから。でも、ひとは印象批評をする。論理では考えていない。私が少しでもやったらめちゃくちゃに怒られることなのに、たとえば上述の三浦綾子を貸してきたやつは、私よりはるかに手を抜いても怒られない。ハラスメント(いやがらせ)とはそういうものであり、人類の歴史とともにあったものです。なくなるわけがない。

 というわけで、私の文章はこのようにまったく論理的ではありませんが、それは自分でわかっています。むしろ、世間で、論理ぶっている、よく「科学的な根拠」とか言っている、ああいうのがいかに論理的でないか、というのは、見抜いています。見抜いている人があまりに少数派なので、わかってもらえないけどね。

 ひとつだけ、例を挙げましょう。ある、牧師が礼拝説教で語っていた内容のごく一部の紹介。

 マルコによる福音書15章21節で、「アレクサンドロとルフォスの父」と紹介されているシモンという人物がいますが、ここに出てくる「ルフォス」と、ローマの信徒への手紙の16章13節で触れられている「ルフォス」が、同一人物であるかどうかは、意見の分かれるところです。しかし、この「ルフォス」は、おそらく同じ人物であると考えられます。みたいな説教。

 ここまで明らかなものはアレですかね。つまり、前半では、「2人のルフォスが同一人物かどうかはわからない」と主張しており、後半では「2人のルフォスは同一人物だろう」と主張しています(完全に食い違ってるね)。そして、このあと説教は、「2人のルフォスは同一人物だろう」という設定で展開します。まあ礼拝説教は宗教的説話ですので、学会発表でも講演会でもなく、いくらけむにまこうと洗脳しようと自由でしょうが、でも、以上のは、明らかに論理が破綻していますでしょ?前半と後半で、まったく食い違うことを言っているのですから。こんなのを気にしていちゃダメかな?

 (ちなみついでで、内容にも踏み込みますと、この2か所のルフォスは、いずれも一瞬、名前が出るだけであり、そもそも同一人物なのか、同じ名前の違う人物なのか、どうにも判断できないところです。それで、どっちだったにせよ、そんなに発展的なことが言えるわけでもないほどの超脇役です。つまらないところで引っかかるなよ、と言いたくなりますが、おそらくこの牧師は、ちょっと知っているっていうことをひけらかしたかったんでしょ?)

 この、世間では論理が通用しないということは、野崎昭弘『詭弁論理学』という本で、豊富な実例とともに載っていますので、よろしければお読みください。

 以上です!

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