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オーケストラのうまさ

 オーケストラのうまさと言っても、いろいろあります。

 ひとつ、オーケストラのうまさの特徴として、「単純に、各奏者の個人的なうまさの足し算になる」ということが言えます。サイトウ・キネン・オーケストラや、ルツェルン音楽祭管弦楽団など、その例と言えましょう。合唱ではそうはならないという話を聞いたことがあります(合唱団のうまさは、ひとりひとりの歌のうまさの単純な足し算にはならないらしい)。
 
 また、オーケストラのキャラのこともあります。うまく説明できないのですが、野球で言えば、1点、1点を手堅く取っていくチームもあれば、「ホームランまたは三振」みたいなチームもあるでしょう。そんな感じが、オーケストラにもあるということです。

 たとえば、ローマに、サンタ・チェチリア管弦楽団という、超名門のオーケストラがあります(音楽の聖人である聖セシリアの名前のついたオーケストラですね)。あるとき、このオーケストラの来日公演をテレビで観たのですが、ベートーヴェンの「運命」の第1楽章にあるオーボエのカデンツァで、オーボエが失敗して、音が消えてしまいました。このような失敗は、まず日本のオーケストラでは考えられないものです。しかし、おそらくサンタ・チェチリア管弦楽団は、どの日本のオーケストラよりも、うまいのです。このへんですね、オーケストラのうまさって。

 逆に、センスのないミスもありますので、あるときラジオで聴いた、某日本のオケのベートーヴェンの「英雄」では、第4楽章で、オーボエが、1拍、早く出てしまいました!さいわい、次に出るホルンの人が慎重で、オーボエにつられず、正しい位置で出たので、崩壊には至りませんでした。しかし、もしホルンもつられていたら、崩壊の可能性もありました。オーボエの友人に言ったら、ひどいじゃないか、その人、始末書じゃないか、と言っていましたが、オーケストラの世界にも、始末書って、あるんですかね。(旧ソ連時代のオーケストラは、派手な失敗をすると、シベリアに送られるらしいとか、ほんとかうそかわからない話がささやかれていましたが。)

 ちょっと、つまらないような余談でした。たいしたことのない話ですみません。ありがとうございました。では、また。

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