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ゆるフリーランスという「普通」。

「ガンガン仕事して、早く年収1千万円とか超えちゃってよ!」
「自信あるからフリーになったんだよね?」

会社を辞めてフリーになると報告した時、多くの方にそう言われた。

当時の広告業界のイメージでは、フリーランスになる🟰「宣戦布告」。

会社という安全基地を捨て、死に物狂いで仕事して、して、しまくって、稼げるだけ稼ぐぞーってスタンスが当たり前。

私も、そう思い込んでいた。とにかく必死で、売り上げを追いかけ、売れっ子の誰かと比較して落ち込んだり、「まだまだ、もっともっと」と己に鞭をくれていた。

代理店の会議室に缶詰にされて、深夜にタクシー帰宅する自分が、どこか誇らしかった。

カフェや旅行先で絵コンテを描いていると、不思議な目で見られたり、「もしかして、漫画家さんですか?」なんて、嬉しい誤解をされたこともあったっけ。

あれから二十年。いろんなことがあった…

「仕事はオフィスでするもの」という常識も消え去り、飛行機の中でも、旅行先でも、どこで絵を描いていようが、もう奇異な目では見られない。紙と鉛筆ではなく、タブレットで描くようになったのもあるけれど…

働き方も多様化して、「正社員」も選択肢の一つに過ぎなくなった。

社員に、副業としての兼業フリーランスを推奨する会社もあると聞く。

かと言って、自分を犠牲にして働く、という人は少数派。特に若い世代は、人生の時間を自分らしく、バランス良く使うことに長けている。

一言で言うと、みんなが「ゆるフリー」化しているのだ。この流れは、もう止まらないんだろうな…

「ゆるフリーランスマガジン」を作ろう、と思ったのは、コロナで仕事が止まってしまって、途方に暮れていた時だった。

「フリーたるもの、バリバリやってなんぼ!」という思い込みが残っていた私が、ある種の自虐としてつけたカテゴリ名だった。

「歴だけ長いフリーです。ヌルく続けててすんません、でもそれなりにプライド持ってやってるんです」

そういうスタンスで発信するのも、ちょこっと目新しいかも、と思っていたのだけど。

コロナが明けた今、「ゆるフリー」は、ものすごく普遍的な、当たり前の概念になっていて。ちょっとだけ時代を先取りしていた自分たちを褒めたい笑

今、デザイン会社勤務の夫と、新しい展開を考えている。
それは、一発逆転とか一念発起、というよりは、「老後も楽しく仕事を続けていく手段」としての業務転換、という感じ。

ゆるフリーランスマガジンは一旦、終わりを迎えるけれど。私のゆるフリー人生は続いてゆく。

自分がリタイアしない限り、ずうっと現役でいられることこそ、フリーランスの素晴らしいところなんだって実感している。


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