経営事項審査(経審)の点数を上げるための基本戦略

経営事項審査(経審)の点数を上げることは、公共工事の入札において競争力を高めるために不可欠です。これまで何も対策を講じてこなかった企業にであれば、点数を大幅に上げる余地があったりしますが、既にある程度対策をしてきた企業にとっては、さらなる点数の上昇が難しくなりがちです。絞った雑巾をさらに絞るのは大変ですよね。

以下に、経審の点数を効果的に上げるための基本的な方法と、具体的な対策をまとめましたので、これまで経審を自社でやってきたが他に点数を上げる方法がないかとお探しの方は見逃しているものがないかご確認ください。

基本戦略

  1. 売上と利益の増加

    • 会社の財務状況を改善することが最も基本的な方法です。売上を増やし、利益率を高めることが必要です。これは従業員の増員や育成、労働環境の改善、設備投資などを通じて達成されます。

  2. 従業員の増員と育成

    • 経審の点数には従業員数が大きく影響します。特に技術者の資格保持者を増やすことが重要です。資格を持つ従業員を増やし、その人材を適切に配置することで点数を上げることができます。

  3. 設備投資

    • 最新の建設機械やダンプを導入することで、加点要素を獲得できます。これにより作業効率が上がり、利益率の改善にもつながります。

一発で何十点も上げる方法を期待していたらすみません。私は、経審に魔法のような方法はなく、会社をよくしていくためにするべきことを時間をかけて積み上げていくことが点数を上げるための基本的な方法だと考えています。

それでも、短期間に数点でも良いから上げたいという場合は以下のような対策を見逃していないかチェックしてみてください。

短期的に実施可能な具体的対策

  1. 資格者配置の見直し

    • 資格を持つ従業員の配置を見直します。一人の資格者が二つの業種まで担当できるため、高得点を狙いたい業種に優先的に配置することがポイントです。格付が存在しない、入札にも点数が影響しない点数さえあれば良い業種はありませんか?その業種に技術者を配置しなくても入札に影響がないのであれば、影響がある業種に優先的に配置します。

  2. 工事の積み上げ

    • 経審の申請を行う際に専門工事の工事高を、土木や建築の工事高に振り分けることも可能です。例えば、とび・土工や大工といった専門工事の完成工事高を、土木一式工事や建築一式工事の工事高に積み上げることができます。積み上げ元の業種は経審を申請できない=入札参加資格を申請できなくなりますが、そもそも入札案件がない業種なら気にせず積上げましょう。どの業種がどの業種に積み上げができるかは申請先に確認しましょう。

  3. 加点要素の見逃しをチェック

    • 法定外労災や建設機械の所有など、加点要素を見逃していないかを確認します。法定外労災は現在加入している保険が経審の加点対象でないかチェックしてみましょう。ダンプは車両の大きさに関係なく、土砂運搬できない車両を除き対象となるため、所有しているダンプが加点要素として反映されているかをチェックしましょう。

長期的な取り組み

経審の点数を大幅に上げるには、長期的な取り組みが不可欠です。以下のような施策を実施し、持続的に経営を強化していきます。

  1. 人材育成プログラムの構築

    • 資格取得支援や研修制度を導入し、従業員のスキルアップを図ります。

  2. 財務基盤の強化

    • 定期的な財務分析を行い、コスト管理や利益率改善のための施策を講じます。

  3. 継続的な設備投資

    • 最新技術や設備の導入に積極的に投資し、生産性を向上させます。

  4. 下請から元請への転換
    経審の点数は、下請工事よりも元請工事の売上の方が高く評価されます。これまで下請しかしてこなかった会社は、元請工事を増やすことで点数を上げやすくなります。

  5. 顧客基盤の拡大

    • 新規顧客の開拓や既存顧客との関係強化を図り、安定した受注を確保します。

まとめ

経審の点数を上げるためには、基本的な経営改善から短期的な対策、長期的な取り組みまで、幅広いアプローチが必要です。即効性のある対策と併せて、持続的な経営強化を図ることで、安定した高得点を維持し、公共工事の入札での競争力を高めることができます!

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