プロが教える建設業許可の取り方のコツ4 建設工事の実務経験について
取りたい許可に対応した資格がないとキツイ
建設業許可を取るためには、取りたい許可業種に対応した技術面の責任者を置かないといけません(許可を取る会社に常勤でいないといけないので名義貸しはNGです)。この責任者は誰でもなれるわけではありません。責任者になれる条件としては、以下の2パータンが代表的です。
1.許可業種に対応した資格がある
例えば、とび・土工・コンクリート工事業なら、2級土木施工管理技士(土木)や とび技能士1級などを持っている方が社内にいればOKです。
どの資格があればOKかは国土交通省のサイトに載っています。
上記の表にて、取りたい業種に対応した有資格者がいる場合、許可申請の置いては、資格の合格証書などを添付すれば、審査が通りますから、手間がかかりません。資格を取るのは大変ですが、許可申請をする際においては、その苦労に見合うだけの価値があると言えます。
ただ、実際のところは対応した資格なんて何もないという方も結構いるはずです。資格がない場合は、手間がかかりますが、もう一つのパターンがあります。
2.実務経験10年(120ヶ月)以上 ある
資格がなくても、許可を取りたい業種の実務経験が10年以上あれば、許可の条件を満たしています。
より詳しく言うと、所定の学科(土木科や建築科など 詳しくは国土交通省のページでご確認ください。)を卒業していれば、高校ならば5年(60ヶ月以上)、大学や短大なら3年(36ヶ月以上)の実務経験があればOKなのですが、このパターンで申請することは、私の経験上多くありません。
そういった専門的な学科を卒業している方は、施工管理技士などの資格を持っていることが多く、一部の業種を除き、資格で許可の条件を満たしていることが多いためだと思います。
このため、資格がない方はほとんどの場合、10年以上の実務経験を使って、許可申請を行うこととなります。
実務経験を使う場合、証明するのが大変
建設業許可の相談に来られる方は、10年以上の実務経験?そんなの余裕であるよ という方が多いです。確かに法律上の条件は満たしています。でも、それを証明できるか?という壁が立ちはだかります。資格のように資格証明書をコピーして終わりというわけにはいかないのです。どれだけ口頭で経験があると言っても、それでは許可は出ないのです。
実務経験を使う場合、必ず実務経験証明書という所定の様式に120ヶ月以上の実務経験を書き出します。記載のルールや月数のカウント方法は都道府県によって変わってきます。
記載のルール例
・1年に1件代表的な工事を書けばOK
・1件1件工事を積み上げ120ヶ月以上にならないとだめ
月数のカウント方法
・1か月に1日でも工事をしていれば、1か月とカウントしてOK
・工期が1~3月の工事なら最初の1か月目はカットで2ヶ月でカウントする
といったように様々なので、実務経験証明書を作る前に、申請先のルールを把握しておかないといけません。
そして、実務経験証明書を書くだけでなく、契約書など実務経験証明書の裏付け資料を求められることがあります。この裏付け資料も申請先によってルールが変わってきます。
・裏付け資料は無くてもよい
・1年に1件提出する
・3ヶ月弱に1件提出する
といったように、裏付け資料の求められる量が、申請先によって全然変わってきます。当然、求められる量が増えるほど、申請までの手間と時間が増えます。そのほか、実務経験証明書で使用した期間について、本当に建設会社で働いていたかを年金の記録などでの確認を求める申請先もあります。
このように実務経験での証明は手間がかかるのですが、これを10年分遡って、用意しなければいけないのです。経験はあるけど、そんな昔の書類はもう残っていないという方も多いはずです。
申請先の求める資料が厳しい場合は、資格を取るほうが早いということもあるかもしれません。どうしても許可が欲しいが、申請先が求める資料が用意できないという時、資料が少なくて済む所に移転して、申請する会社もあるそうです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?