建設業許可でたくさんの業種の許可を取ると何かデメリットはありますか?

建設業許可は29業種あり、その中から取りたい業種を選んで許可申請を行います。資格者の方がいると複数の業種を取りやすくなります。自社にとってのメイン業種やこれから力を入れていきたい業種については、許可が取れるなら申請しておくのが良いでしょうが、現時点で取り扱っていない業種やそんなに金額が大きくなりそうにない業種の許可も取っておくべきなのでしょうか?

特に必要性がない許可もとりあえず申請しておくか、必要がないなら取らないほうが良いのか?許可業種をたくさん申請する場合のデメリットを建設業専門の行政書士が説明しますので、許可申請の際の参考になさってください。

とりあえず許可申請しておくメリット

まずはデメリットの前に取れる許可は取っておくメリットに触れます。建設業許可は役所に申請する際に、申請手数料を納めますが、申請業種によって変わりはありません。

そして、もし後日、最初に申請しなかった業種を追加したくなった場合は別途費用が掛かりますし、時間もかかります。急に必要になっても、1,2週間で許可が取れるわけではありません。

このようなことを踏まえるととりあえず取れる許可なら取っておくという考えたかもアリだと思いますが、とりあえず許可を取ることによってどのようなデメリットがあるのかをこれから説明していきます。

デメリット1 手間が増える

建設業許可を申請する際に、申請する業種ごとに工事経歴書を作成します。1業種しか申請しないなら工事経歴書もその業種だけ作ればよいですが、2業種、3業種と増えれば、工事経歴書を作成する手間もその分増えます。

例えば、大工さんが家の新築をこれから請け負いたいので建築工事業の許可を申請するとします。その大工さんは二級建築士の資格もあるので、建築だけでなく、大工、タイル、屋根、内装の4業種も一緒に取ることが可能です。

とりあえず建築も含め5業種申請するというのはよくあるパータンですが、この際、大工さんだと大工工事(木工事)を多く請け負っているので、大工工事の許可を申請する場合は、たくさんの大工工事の集計を行わないといけません。すぐに許可を取りたいような場合は、その集計時間がネックになる場合もあります。

また、工事経歴書は新規に許可を申請する場合だけでなく、許可ごとに毎年行う変更届の際も作成しないといけません。許可業種をたくさん申請する場合は、許可取得の際も許可取得後も継続的に多くの業種の工事経歴を集計しなければいけないことがデメリットであると考えています。

ただ、許可は取っても、その業種を請け負うことがまずないような際は、工事経歴書の作成がデメリットにはならないです。工事がなければ、集計する必要もないからです。

500万円行くことはないけれど、毎年の案件数が多い業種の許可を取る際は注意が必要でしょう。

デメリット2 技術者の配置義務

建設業許可を取った業種の工事を行う際、建設業許可業者は主任技術者を配置する義務があります。これは500万円以上の案件に限らず、どんな小さい工事であっても配置する義務が生じます。実際に配置されているかは微妙なところですが、義務です。

配置できる人員に余裕がある会社は良いですが、営業所の専任技術者しか資格者がいないという会社の場合は、本当に主任技術者配置の義務を守れるかどうかは微妙なのではないでしょうか。

先ほども触れた工事経歴書では、主任技術者も記載しますが、他の工事などとの兼ね合いで、主任技術者の記載で頭を悩ませている会社も多いのではないかと思います。

許可を取った後、技術者の配置で頭を悩ませてしまう場合は、一度取った許可を廃業するという選択肢もあるでしょう。

デメリット3 複数の営業所がある場合の制約

建設業許可業者は、複数の営業所で許可業種を営みたい場合は、営業所ごとに専任技術者は配置しないといけません。許可を持っている業種に対応した技術者を配置できない場合、その営業所では許可業種の契約をすることができません。

例えば、
とある電気屋さんのケース
会社全体で持っている許可業種 電気 管
本社で扱っている業種 電気 管
支店で扱っている業種 電気

この場合、500万円未満の工事であっても支店では、管工事の契約ができません。エアコンの交換工事などの契約が法律上支店ではできないのです。これは不便です。

ちなみにこのような場合、管工事で500万円以上の案件を請け負うことが無いのであれば、管工事の許可を廃業すれば、本社でも支店でも管工事の契約をすることは可能になります。

取れる許可はとりあえず取っておくという考え方が常に有効とは限らないので、ご注意ください。

齋藤行政書士事務所では、ただ許可を取るだけでなく、許可業種の選択時点から相談に乗らせていただきます。建設業許可のことなら齋藤行政書士事務所にご相談ください。


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