知っておきたい入札用語:実績要件

公共工事の入札に参加するためには、いくつかの重要な資格要件を満たす必要がありますが、その中でも特に注意したいのが「実績要件」です。実績要件とは、企業が過去にどのような工事を実施してきたかその実績が問われます。本記事では、実績要件の概要、適用理由、そして企業が実績要件を満たすために注意すべき点について詳しく解説します。

実績要件の概要

実績要件とは、公共工事の入札に参加する企業が、過去に一定の工事実績を持っていることを示す要件です。具体的には、以下のような条件が含まれます。

  • 工事の種類: 特定の種類の工事(例:道路工事、建築工事など)を過去に実施した実績。

  • 工事の規模: 一定規模以上の工事(例:工事費用が○○円以上、金額の他に面積や長さで設定されている場合も)の実績。

  • 工事の期間: 過去○年以内(〇年以降)に実施した工事の実績。

  • 工事の評価: 発注者からの評価や検査結果が良好であること。

実績要件の適用理由

実績要件が設定される理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。

1. 施工能力の担保

実績要件を満たすことで、企業が特定の工事を実施する能力を持っていることが証明されます。これにより、発注者は信頼性の高い企業を選定し、工事の品質を確保することができます。

2. リスク管理

実績要件を設定することで、発注者は過去に同様の工事を成功させた企業を選ぶことができ、工事の失敗リスクを低減できます。過去の実績が豊富な企業は、予期せぬ問題にも対応できるノウハウを持っています。

3. 公平な競争の促進

実績要件は、公正な競争を促進するための手段でもあります。特定の基準を満たす企業のみが入札に参加できるようにすることで、不適切な業者の排除と適正な競争環境の確保が可能となります。

実績要件は強固な参入障壁

実績要件が設定されることについて理解はできます。仕事を出す側からするとその仕事ができるかわからない会社よりも、問題なくできそうな会社にだけ入札に参加したいと思うのは当然ではないかと思います。

しかし、新規参入したい会社にとってみると実績要件が強固な参入障壁として機能してしまう場合があります。具体例を見ていきましょう。

実績要件と言っても色々なものがあります。設定されている場合でも、

土木工事の施工実績、管工事の施工実績

といったようにこれから発注する業種の実績が元請・下請、金額問わずあればよいというような場合は、それほど気にしなくてよいでしょう。

強力な参入障壁となるのは以下のような場合です。

1件当たりの金額が〇万円以上の〇〇工事の公共の元請実績

これから公共工事に参入していきたい会社ということは実績が乏しいはずです。ですから、公共工事の実績なんてまずないわけです。上の例のような実績要件が設定されている工事ばかりだと一般競争入札に参加するのが困難という事態が起きてしまいます。

実績要件をどのように突破していくか?

1.小さな工事から実績を積み重ねる

いきなり大きな工事実績が求められる案件の入札に参加するのは難しいので、小さな工事から実績を積み重ねます。入札不要な随意契約、指名競争入札とだんだんと大きな工事を受注していき、実績を積み上げていきます。

2.本社を参入しやすい自治体に移す

随意契約、指名競争入札からステップアップしていくとしても、その声が中々かからないということがあります。随意契約で見積りの声がかかっても、指名競争入札では全く声がかからないという事例も見られます。

このような場合は、思い切って入札の新規参入しやすい自治体に本社を移して、そこで実績を作ってから、戻るというやり方もありなのではないかと思います。

3.工事記録の保管

自社が行った工事の記録はしっかり保管しておきましょう。発注者によって実績の証明方法は変わってくるでしょうが、工事の記録が残っていないとせっかく実績があったのに証明できず、入札に参加できないかもしれません。

まとめ

公共工事の入札参加には、さまざまな資格要件が必要ですが、特に「実績要件」が重要です。実績要件とは、企業が過去に実施した工事の種類や規模、期間、評価などを基に入札参加資格を審査する基準です。この要件は、企業の施工能力や信頼性を担保し、リスク管理と公平な競争を促進するために設けられています。

しかし、新規参入者にとってはこの実績要件が大きな参入障壁となります。特に、公共工事の元請実績や一定規模以上の工事実績が求められる場合、実績が乏しい企業にとっては入札参加が困難です。これを克服するためには、小さな工事から実績を積み上げる、参入しやすい自治体に本社を移すなどの戦略が必要です。

新規参入者は長期的な視野で計画を立て、実績を積み上げる努力を続けることで、目標の公共工事の入札にできるようになることを目指しましょう!

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