将来の夢が、絵本作家だった時期がある。 小さな女の子が花屋やケーキ屋に夢見るのと同じように、当時わたしの身近にあった「素敵なもの」の最たるひとつが絵本だったからだ。 あの頃のわたしにとって、お菓子よりも花屋よりも、絵本こそが「作ってみたい憧れのもの」の頂点だったのだと思う。 絵を描くのが好きだったこともあるし、空想も好きだったのもある。芸術的センスがまったくといっていいほど皆無だった我が両親が、世間的に言えばごくごくごく平均的な娘の絵を、天才のごとく褒め讃えたこともある
※読む人によってはご不快な思いをさせてしまうかもしれません。予めご了承ください。 先週末、1年ぶりに春コミに行ってきた。 1年ぶりにというか、まあ春コミは年に1回なのでどうあっても1年ぶりになのですが、とにかくおよそ1年ぶりの春コミが無事開催されたのだ。よく晴れて、気温も暖かく、梅は盛りを迎え、2月とは思えない小春日和の1日だった。 ちなみに去年の今頃も、わたしはサークル側として春コミに参加している。その時に出した本を引っ張り出してきたら、奥付の日付は令和2年2月23日と
羅小黒戦記という映画を見た。 上映時間1時間41分の中華アニメーション作品だ。 結論を先に言うと、 もうめちゃめちゃ面白かった。 全人類願わくは見て欲しい。 この映画が日本ではじめて上映されたのは2019年の9月だが、わたしが見たのはその半年後の冬だった。 初見で気が狂い(なぜ気が狂ったかは後述する)そこから数ヶ月、ひたすら劇場に足を運んだ。数えてないが、二桁は確実に超えていた。 時期的に劇場の存在が危ぶまれた頃だったが、人生で最も映画館に行ったのは、間違いなくこの時期だ
そんな行って何をするんだとよく言われるが、特に目的がなくてもついふらっと行ってしまう街が函館である。 飛行機で羽田から約1時間20分というアクセスの良さ。空港からもバスですぐに市街にでれるし、函館市内では路面電車が頻繁に走っているので足にも困らない。空港から乗り合いタクシーで一時間半かけてようやく市内にたどり着く某もう1つの推し地とは大違いである。わたしはあの夏みかんの香り漂う城下町が大好きで去年も行ったけど、萩岩見空港が島根にあることも、山陰本線が実質5時間に一本なのも未
正誤も、善悪も、軸すらない。その中で最後に残るものはなんだろう。 作中にある一文が、この作品のテーマのひとつだろう。『地虫鳴く』は、御陵衛士と新撰組の物語を、三つの視点から交互に描く。サブタイトルは、新撰組裏表禄(うらうえろく)。まさに名前通り、新選組という組織を主軸にその裏と表を綴ったお話である。 結論から言うと、明るく読めるタイプの小説ではない。 「良い新選組小説なにかある?」と聞かれた時に真っ先に浮かぶ作品のひとつではあるが、万人に受け入れられる話かというとだいぶ微
こんにちは。 かれこれ5年くらいBLを嗜み創作活動するオタクです。 突然だけど、わたしは現在ある作品のふたりにハマっている。 彼らを仮にABとするが、どのくらい狂っているかといえばもうあまりにもABが好きすぎて 寝ても冷めても彼らのことを考え、少しでも醸したいと二人にまつわるあらゆる派生情報を集め、勢いで日本の果てにある聖地に飛び、〇〇跡地と書かれた棒が1本建ってるだけの場所にも行って拝んで手を合わせたりしている。 そんな狂ったテンションで駆け抜けて一年半。いつもだいたい三
「秀吉はいつ知ったか」というさまざまな歴史上人物の人生の過ちや謎などを調べて考察したエッセイなんですが、その一章に「その後の叛将、榎本武揚」というのがありました。 これがもう個人的にはすごい愉快に読んだので、感想と紹介をかねてメモを残します。 あくまで作中の話をもとに語っているので、もちろんそれにも諸説はあるでしょうが、個人の好き勝手な感想ということでお取り頂ければ幸いです。本当に好き勝手いってますが、批判のつもりは一切ないので何卒。でも苦情は受けますのでどうぞよしなに。
前置きの長い読書感想文。 わたしは本が好きだが、読書はどちらかというと苦手である。本を読むということは楽しいと思うし、決して嫌いじゃないが、間違いなく苦手である。 本が好きなのに読書は苦手って意味がわからないと思われそうなのだけど、本はもう本という概念だけで良いのだ。活字が整然と印刷され、美しく装丁された表紙と一体化したあの完璧なフォルムそのものが愛おしいのであって、それは必ずしも活字を追うのが得意だということには結びつかない。 まず、わたしの場合とにかく一冊読み切るだ
こないだ別ジャンルのお友達と飲みにいったら、話の中で「シベリア日記って面白いの?」って興味を持ってくれたので独断と偏見で紹介しようと思います。 シベリア日記とは榎本武揚がロシア公使辞任の帰途、1.3万㎞に渡ってシベリアを陸路横断した際に綴った2ヶ月間の旅行記です。彼の死後発見され、ありがたいことに書籍化されてる。 タイトル通りジャンルは日記とされてますが内容のレベルがもはや日記じゃない。え、これが日記? わたし旅日記ってどこへ行って何を食べて美味しかったイヤッホー!くらいの