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石川智晶/アンインストール
動くことのない真実が、ずっと想い焦がれていた夢や希望を木っ端微塵に破壊していく。 もう足に力なんて入らない... 立つことさえもままならない... どう足掻いたとしても僕は消えるしかない... 絶望の最中で心の整理をする暇もなく、今はただ恐れを知らぬ戦士のように振る舞うしかない... そんな行き場のない閉塞感がリアルに表現されている衝撃のライブパフォーマンスです! イントロのあまりにも無機質で機械的な「理解できない」というフレーズに自分は背筋が凍りました。 あまりにも大きな絶望や喪失を前に心の処理が全く追いつかない様子が見事に表現されています。そして、石川智晶さんの歌声が入るとともに「理解できない」という強い拒絶のニュアンスから徐々に「理解したくない」という人間的な葛藤の表現に変化していく様子はこの胸を抉ってきます。 この曲の中で特に自分が気に入ったのは、この表現です! 「恐れを知らぬ戦士のように振る舞うしかない」 永遠に光を見ることはないと知りながらも即座に立ち上がり歩き続けなければならない。そんな絶望的な情景をここまではっきりと浮かびあがらせる表現は他にそう多くはないと思います。 途方もないエネルギーを持ったライブ映像であり、その圧倒的な世界観に目を釘付けにされてしまいます。 もしお時間があれば、ぜひご覧になってみて下さい。
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Dir en Gray/The World of Mercy
どれだけの苦痛と悲しみをこのボーカルの京さんは体験してきたのでしょうか? 当たり前に感謝できるからこそ 当たり前の素晴らしさを知っているからこその絶望なのかもしれません。 そうじゃねぇだろ? なんでそんなことも分からないんだ!! なんで誰も分かってくれないんだよ... この世は腐っている...何の価値もないんだ! そう分かっていても生きる希望を捨てきれない苦しみからひねり出される雷鳴の轟きのようなハイトーンボイスは必聴です! まるで僕らの身体に電撃が走ったかのように、ハッと何かを気付かせてくれる... そんな歌声です。 曲と曲の間にある死や絶望、血を彷彿とさせるパフォーマンスにも目を奪われます。その嘆きと叫びはなんて強烈なネガティブなパワーなんでしょう。 それでもこの動画を見終わる頃には不思議とポジティブなパワーをもらえます。 自分の心の中で抑え込んでしまった悲しみをもっと表現していいんだよ?怒ってもいいんだよ?と京さんがまるで寄り添ってくれているようで、今がつらいと感じているときこそ勇気づけられます。 悲しみに暮れていたり、最近ちょっと辛いなと思っていたり、心にモヤモヤとした行き場のない閉塞感を抱えてる方はぜひこの動画を見てみてはいかがでしょうか?
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TAKUI/FORK IN THE ROAD〜哀しきTAKUIの嘆き
一見、この曲は普通の恋人同士の別れを歌っているように聞こえる。 しかし、TAKUIはもっと大きな別れを歌っているのではないだろうか? では、果たして何について歌っているのか? それは曲のタイトルである"FORK IN THE ROAD"すなわち、誰にでも訪れる「人生の分岐点」のことだと自分は思う。 人生の分岐点に立たされた時、僕らは何かを選び、何かを捨てる。もちろん覚悟は決めていたつもりでも、捨ててしまったものがどうしようもなく愛しくて仕方がない。 そんな不必要な優しさと捨ててしまったものへの強い罪悪感が、歌い出だしである "眠りはまだ君を優しくは包めない" というフレーズに凝縮されており、それがあまりにも美しすぎて、純粋すぎてついこの動画の歌い出しから目を奪われてしまう。 心に渦巻く不安、葛藤、後悔が曲を通して表現されており、それでも自分の選択を信じようとするあまりにも強く純粋なTAKUIの覚悟に胸を打たれる。 もう時は巻き戻せない。それでも自分の選択が果たして正解だったのかどうかを何度も自問自答してしまう。そんなきっと誰にでも訪れる「人生の分岐点」、"FORK IN THE ROAD"はきっと多くの人の共感を得るだろう。 お時間のある方はぜひ聞いてみては如何でしょうか?
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吉田美奈子/ろっかばいまいべいびい
恋人同士の一夜が明け、カーテンの隙間から日が差し込む朝。ベッドの上で2人が微笑み合う情景が浮かぶ。モーニングコーヒーのような甘美だがどこか苦い大人の恋愛を想像させる歌である。 吉田美奈子さんから放たれる歌声はまるで、くたくたで家に帰ってくる男性を労うような優しい母性を感じさせてくれる。また、少ない歌詞と音数から多様なイメージや考察を思い浮かばせるほどの色気からは、物事に対する興味、関心の高さや人生経験の豊富さ、人としての余裕を感じさせられる。 バックバンドのレベルも高く、聞いているだけでもほんのり官能的な気持ち良さを味わえるほどの色気のある演奏である。 とても味わい深く聴くたびに違う解釈が変わる七色の歌声と演奏は一聴の価値がある。