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01 なんとなく「題材名」をつけていませんか?

学習指導案は、各教育委員会や学校、研究団体によってそれぞれ独自の様式を示しているため定型はありません。ただし、学習指導案に記載すべき一般的な項目というのはあって、その性質や意義、記入上の留意点などをおさえておく必要はあると思います。今回は、学習指導案のトップに位置する「題材名」について、考えていきたいと思います。


そもそも題材名とはどんなものなのか?

題材名は、年間指導計画に記載するほか、生徒に配布するシラバスや実際の授業で用いるワークシートにも示されるため、学びの内容を伝える「題材の顔」として重要だと考えます。つまり、映画やアーティストが歌う楽曲の「タイトル」と同じように、一度聞いたら忘れられないとか、ワクワクする要素しかない!とか、生徒がそんな気持ちになるキャッチーなものだといいなと思っています。

がっ!!!!

はっきり言って、学習内容や学習の展開を考えるための時間に比べて、安易に題材名をつけがちですし、生徒が学習を進めていく上では、どの程度意識してもらえているかわかりません。でも、学びを支援する立場としては、一番最初にこだわりたいところだと考えていますので、2つのパターンから見ていきましょう。


① 活動・目標代入型

「(学習活動)を通じて、(題材の目標)を味わおう」のように、学習内容の語句をそのまま使って題材名とするもの。

活動目標的であり、学習内容を学習指導要領の文言を使ってストレートに表現することで、題材の目標とぶれることがない。さらに、このことによって「○○先生って真面目だな~」という印象を、生徒だけでなく管理職にも与えることができるので、高ポイントを稼げる!(と思う。)
しかーーーーし、活動「目標」なだけに、学習内容のネタバレ感や教員が設定した学習課題というレールをただ走る印象も否めず、ゴールが見える安心感との諸刃の剣である。なお、後述するが、島田はこのタイプの題材名をつくったことはありません(というより、真面目じゃないからこういう題材名をつくれない)。

② 特徴・キャッチー型

学習内容や題材の目標に関連する語句を用いて、キャッチコピー的に印象付けたり生徒の関心の高まりをねらったりするもの。

一見しただけでは、どんな学習や目標かはわかりにくいが、学習を進めるなかで「ほわ~~」→「なるほどね~」→「ダーシマ、考えてるじゃん!」的に、題材名自体の謎解きをする要素も含まれるため、生徒に期待感を持たせることもできる。このタイプの題材名を考えるのは非常に楽しい(個人の感想です)が、上手くはまらない場合、イライラするだけでなく、指導案の作成が滞る可能性もある(というより滞らなかったことはない)ため、早めに指導案を作成するなどの対応が必要であったと反省している。

例えば、題材名「Jazz! Jazz!! Jazz!!!」はこちらのタイプで、3つの「音楽を形づくっている要素」の視点に基づく学習段階を経て、ジャズらしさを追求していくんだよ~と暗示するつもりだったが、誰も気付いてくれないのでここに記しておく。


以上2つのタイプの題材名を、題材の性質によって使い分けると、例えば「①活動・目標代入型」よりも、学習のイメージや雰囲気を伝える「②特徴・キャッチー型」を取る方が、学習活動そのものを生徒自らが決定していく感覚を持たせやすいため、生徒が探究的に学習を展開する題材構成をする場合にふさわしいと考えられる。一方で、①を採用することによって、生徒も教員も、より活動や目標をしっかりと意識した学びを展開することもできる。そんなこんなで、生徒には②を提示しつつ、教員的には①の意識を持つっていうのが実際にはいいのかもね。


題材名の例

5つの題材を、それぞれ①と②の型で名付けてみた!ちなみに②は全て実践したものです。

歌唱:「夢やぶれて」

① 言葉の特性と曲種に応じた発声との関わりを理解し、表現を工夫して歌おう
② ミュージカる!〜声と歌、演技と演奏〜

歌唱・鑑賞:「赤とんぼ」「この道」「からたちの花」

① 曲想と歌詞の内容や楽曲の背景との関わりを理解し、表現を工夫して歌い、音楽を味わおう
② 日本歌曲の味わい〜山田耕筰の作品に親しもう〜

創作・鑑賞:「C Jam Blues」「聖者の行進」

① ジャズの要素を生かして個性豊かに変奏し、曲想と音楽の構造との関わりを理解して鑑賞しよう
② Jazz! Jazz!! Jazz!!!

鑑賞:「プロムナード(展覧会の絵より)」「ボレロ」

① ラヴェルの音楽表現の特徴について考え、曲想と音楽の構造との関わりを理解して鑑賞しよう
② ラヴェルが描いた音楽〜管弦楽の魔術師〜

鑑賞:歌舞伎舞踊「京鹿子娘道成寺」、能「道成寺」

① 文化的・歴史的背景と関わらせて歌舞伎や能の特徴を聴き取り、よさや美しさを味わおう
② 日本の伝統をつたえる〜京鹿子娘道成寺に見る日本の音楽文化〜

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