島田 聡

【仕事】教育行政 芸術科・音楽教育 音楽科教育 指導主事 【委員】学習指導要領実施状況調査問題作成委員会委員・結果分析委員会委員(音楽Ⅰ)等 【共著】「平成30年版学習指導要領改訂のポイント高等学校芸術(音楽)」(明治図書)等

島田 聡

【仕事】教育行政 芸術科・音楽教育 音楽科教育 指導主事 【委員】学習指導要領実施状況調査問題作成委員会委員・結果分析委員会委員(音楽Ⅰ)等 【共著】「平成30年版学習指導要領改訂のポイント高等学校芸術(音楽)」(明治図書)等

マガジン

  • 学びづくりについて

    芸術科(音楽)の指導主事が考える「学びづくり(授業づくりのことをこう呼んでいます)」について書いています。

最近の記事

19 ワークシートを考える。その3

過去、2回、ワークシートについて書いた記事があります。 今回は、これまでの2回と内容的に重複する部分がないよう、またそれらを総括する意味で「その3」の記事を書いていこうと思います。 思考・判断・表現を見取る「ワークシート」の好事例や作成方法について、小学校の先生からご質問をいただきました。 ワークシートをめぐる現実ワークシートに考えをまとめたり、他者の参考となる意見を書き留めたりする時間を確保しようとすると、ともすると音楽室や教室から音や音楽が消えてしまいがちです。質問

    • 18 新学習指導要領における「知識」をどう捉えるか(その2)

      前回の最後に、ベン図としてまとめましたが、知識については「曲想と音楽の構造」がポイントであることがお分かりいただけたと思います。ところで、学習指導要領における知識については、「知識の理解の質を更に高め」という言葉も出てきます。例えば、学習指導要領解説の「まえがき」には、以下のように書いてあります。 この言葉は、皆様よくご存じの「主体的・対話的で深い学び」と合せて使われます。具体的には、 というように、主体的・対話的で深い学びの目的を説明する言葉として使われます。これは、こ

      • 17 新学習指導要領における「知識」をどう捉えるか(その1)

        一般には、「技能教科」などと呼ばれることも多い音楽科・芸術科音楽。そんな音楽の学びにおける「知識」とは、どのようなものでしょうか?「知識」を評価する方法から逆算する形で、考えていきましょう。 こちらは、今年度、ある中学校の先生が作成した3年生の2学期の期末テストの一部です。こうしたペーパーテストは一般に、知識の習得状況を見取る方法として考えられています。 上の問題は、語群から選択肢を選び能の音楽の全般についての文章を完成させていく問題です。それに対し下の問題は、能「敦盛」

        • 16 評価と指導の一体化?

          「学びづくり」をテーマにしているのですが、子どもたちの学びの先にある評価について、少しだけ書いておきます(結果的に長くなったので、ご了承ください。)。 1.指導と評価の一体化ではないのか?はい、そうです。指導と評価の一体化が正しいです(島田が間違っておりました。でも、一応、意図があるのよ。)。 この「指導と評価の一体化」という言葉は、平成13年4月の文部科学省初等中等教育局長通知「(なんちゃらかんちゃらの)生徒指導要録の改善等について」で「指導に生かす評価を充実させること

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        • 学びづくりについて
          19本

        記事

          15 会心の1冊

          ある本と出合った。3月に購入しておきながら、ようやくまとまった時間が取れてしっかりと向き合った。衝撃的である。いいから黙って読んでほしいのだ。 とにかく、すぐに読んでほしい。著者は、「学びの主役である子どもたちが、どれほどの時間をかけどんな内容を学び、そのためにどんな活動をし、どんな力を身に付けるのかを知らないのはおかしいのではないか」と問題提起する。 もちろん、私たちはシラバスに上記の内容を示しているので、この問題提起は大した問題ではなく、著者も「まずは教師の思い描きと

          15 会心の1冊

          14 探究的な学びのための質問、発問、問い

          探究的な学びのためには「妄想」することが大切!そして、妄想するためには「問い」が重要なんじゃないの?というのが、前回の記事でした。 この「問い」については、この6年間、仲間たちと研究を重ねていて、まとまった形にはなっているのですが、現在、発表する機会を探っているところです。今回は、「問い」を音楽の授業でどう活用していくかについて、基本的な内容をまとめておきます。 質問、発問との違い研究を進める中で、「問い」に関する本を読んできましたが、「コレだ!」と思う1冊を挙げるとした

          14 探究的な学びのための質問、発問、問い

          13 探究するなら妄想力をつけろ!

          「総合的な探究の時間」が始まって3年が経ちます。 「えっ?新しい学習指導要領の実施って令和4年度からじゃないの?」という方は、以下を確認してください。 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2018/09/04/1408758_004.pdf 総合的な探究の時間では、下図で表されるように、 とされています。②~④は実際の学習活動として具体の姿も想像しやすいですが、①が問題では

          13 探究するなら妄想力をつけろ!

          12 今だからやってみたい授業開き。

          今日(3月1日)が卒業式という高校は多いのではないでしょうか?5年前の今日、島田も卒業生の担任として40数名の生徒達を見送りました。そして、その生徒達と一緒に学校現場から今の職場へと異動しました。 学校から離れた今だからこそやってみたいと妄想している、そして、高等学校において新学習指導要領が年次進行で実施されていく令和4年度がすぐそこまで来ているけど今すぐ準備できる「学びづくり」についてしたためておきます。 時節柄、年度初めの授業開きを想定して述べていきますが、ある程度学

          12 今だからやってみたい授業開き。

          11 新装開店!Ristorante della Musica

          これは、現行の高等学校学習指導要領が実施される年、某音楽教育雑誌に寄せた原稿の序文です。「年間指導計画」が特集のテーマで、結果的にこの部分はボツにしましたが、常々、料理と授業は似ていると考えています。 どんなに一流のシェフでも、お客さんがいなければシェフとしての仕事はできないように、どんなに優れた教師でも、子どもたちがいなければ授業は成り立ちません。また、時として子どもたちから「△△先生の授業は分かりやすい」とか「○○先生の授業は面白い!」とか、いわゆる「口コミ」的な声を聞

          11 新装開店!Ristorante della Musica

          10 ワークシートを考える。その2

          前回は、「学びの地図」としてのワークシート(以下、WSという。)をどのように捉えているか?を思いつくまま書きました。 今回は、その2として、ある鑑賞の題材におけるWSを取り上げて、生徒が学びやすいWSの在り方を考えていきます。 ① 学習内容への関心を醸成するWSのⅠの学習は、ニックネームがついている作曲家の代表作を少しずつ聴きながら、音楽史上の役割や特徴を表にサラッとまとめる学習です。 【訂正!】赤の文字は、生徒が記入する内容ですが、ヘンデルは「音楽の母」でしたね…「交

          10 ワークシートを考える。その2

          09 ワークシートを考える。その1

          題材名、題材の目標、教材研究、生徒の実態などについて述べてきていますが、実際の学びづくりの順序はどのように考えるか?については、下記の順が多いかもしれません。 1~3の内容は、学びづくりを考える上で大前提となるものであり、このシリーズの中の一番最初の記事に書いた「題材名」は、結構後ろに来ていることが分かります。正確に言えば、「題材名」は4番目に挙げたワークシート(以下、WSという。)と同時に考える、もっと正確に言うと、4~6は、同時に、一体的に考えていくものだと思います。

          09 ワークシートを考える。その1

          08 教材研究×授業改善=理想の授業

          前回は、「授業改善への第一歩は生徒の実態から!」という内容でしたが、(ちょっと指導案作成から離れますけど、)今回はその流れを受けてちょっとしたエッセイ的な内容です。 ここまで「学びづくり」について書いてきて、「じゃあ、学びづくりは何を目指しているのか?」と聞かれれば、 教科・科目の目標にある資質・能力を生徒が身に付けられるよう、教員がサポートしていく授業 ということだと思います。コレを踏まえて、「理想の授業」を記しておきます。 「理想の授業」を考える。その1 教員養成

          08 教材研究×授業改善=理想の授業

          07 「生徒の実態」の実態とは?

          仕事柄、学習指導案を読むことが多く、多い時には4〜5本の指導案を同時に検討して、先生方に気付いた点をお伝えしています。 ただし、島田がずっと心がけてきているのは、授業を拝見するだいぶ前から、先生のお話を聞いて、ほぼ一緒に指導案を作っていく(というか題材構成、つまり「学びづくり」を行なっていく)ことです。高校の教員は、なかなか指導案を書く機会もなく、教育委員会の訪問があったり、研究会の公開授業者になったりしない限りは、学習指導要領さえ開くこともないかもしれません。それでも、ス

          07 「生徒の実態」の実態とは?

          06 教材研究をすると見えてくるもの

          前回の内容を受けて、「そうは言っても、面倒くさいんだよね。教材研究。」って感じることもあると思います。今回は、教材研究を楽しくやる方法などを紹介しながら、具体的に教材研究を深掘りしていきます。 前回の内容はこちら 1人よりみんなで!4~6人くらいが最適 教材研究に限らず、1校1人が多い教科・科目ですから、1人の時間には慣れてますよね。そんな環境で教材研究やっていると、上手く進むときはいいのですが、何となく集中できなかったり停滞してしまったりという時間もあるはず!いや、な

          06 教材研究をすると見えてくるもの

          05 教材研究だ!

          「学びづくり」の視点を持って題材を構成していくプロセスを投稿し始め、今日の投稿で第5回(第00回は含めずに)です。とりあえず三日坊主は乗り越えて、次の目標は1ヶ月続けることか… 実際に題材構成(≒指導案を書く)する前の段階として、教材研究するってことを忘れていたので、それについて書いておきます。と言いつつ、ここまで投稿してきて感じているのは、 題材名、題材の目標、学習指導要領(教科・科目の目標や内容)は密接に関連しまくっていて、どこから書いてもお互いを引用することになり、

          05 教材研究だ!

          04 学びづくりとは?

          ここまで、学びづくりをする上で「01回 題材名」と「02・03回 題材の目標」とはどんなものかについて触れてきました。 題材の目標についてはもう少し深掘りしたいと思いつつ、「ん?待てよ…そもそも学びづくりって何?授業づくりと何が違うの?」とか「題材名とか目標の前に、まず教材研究でしょ!」っていう疑問や指摘が頭の中に湧いてきました。 というわけで、島田が使っている「学びづくり」という言葉について、説明しておきたいと思います。 授業は何で成り立っているのか?島田が「学びづくり

          04 学びづくりとは?