見出し画像

05 教材研究だ!

「学びづくり」の視点を持って題材を構成していくプロセスを投稿し始め、今日の投稿で第5回(第00回は含めずに)です。とりあえず三日坊主は乗り越えて、次の目標は1ヶ月続けることか…


実際に題材構成(≒指導案を書く)する前の段階として、教材研究するってことを忘れていたので、それについて書いておきます。と言いつつ、ここまで投稿してきて感じているのは、

題材名、題材の目標、学習指導要領(教科・科目の目標や内容)は密接に関連しまくっていて、どこから書いてもお互いを引用することになり、切り分けて論ずるのは難しい

ということ。もちろん、ここに「生徒の実態」とか「評価規準」とか、「指導と評価の計画」の項目が加わってきて、それらも網の目のように関連しているから、どんどん複雑になります。

しかし!逆に考えると、学習指導要領と「学びの主役は生徒」という理念さえ守れば、学びづくりはブレないのです。

というわけで、アレもコレもというように、全方向的に話題がいきますが、自分がやってきた教材研究の方法についてです。

楽曲中心に教材研究する

まず何する?

教材研究の方法は人それぞれです。以下は島田の個人的な方法で、効果には個人差があります。参考にならないのを承知でお読みください。

拙著『教材研究の方法序説』まえがきより(←そんなものはない)

次年度使用する教科書が夏休み前に決定するので、その時期から少しずつ、その教科書に掲載されている楽曲を、とにかく弾いたり聴いたり歌ったりします。繰り返し繰り返し…そのなかで、明らかに歌唱教材だよねって曲もあるけど、そんなことはお構いなしに2領域4分野、つまり、

この楽曲を歌唱、器楽、創作、鑑賞の学習で扱うとしたら?

という視点で、学習指導要領の各分野の内容に照らし合わせてみます。

例えば、某出版社の教科書に掲載されている「Ave Maria(カッチー二伝/ヴァビロフ?)」を扱うとしたら、もちろん歌唱するんだろうけど、念のため器楽や創作、鑑賞で扱えないかを考える。念のためだから、ヘンテコで無理矢理な学習になりそうだけど、そんなことはお構いなしです。

器楽での扱いは、音楽Ⅱの教科書に掲載されているから置いておいて、音楽Ⅰの創作で扱うとしたら、ウ【技能】の

(ア)反復,変化,対照などの手法を活用して音楽をつくる技能
(イ)旋律をつくったり,つくった旋律に副次的な旋律や和音などを付けた音楽をつくったりする技能
(ウ)音楽を形づくっている要素の働きを変化させ,変奏や編曲をする技能

に当てはめると、
「(ア)伴奏の和音進行が反復と変化でできているな」とか
「(イ)8小節分の副次的な旋律をつくる学習ができる?」とか
「(ウ)16小節をひとまとまりとして変奏できるんじゃね?」とかの学びの可能性が見えてきます。

鑑賞での扱いは、ア【思考力、判断力、表現力等】の

(ア)曲や演奏に対する評価とその根拠   
(イ)自分や社会にとっての音楽の意味や価値   
(ウ)音楽表現の共通性や固有性

に当てはめて、
「(ア)これは十分扱える!」とか
「(イ)西洋におけるAve Mariaという楽曲の意味や価値を考える?」とか
「(ウ)(イ)と関連させつつ、作曲者の異なる様々なAve Mariaを聞き比べちゃう?」などの可能性を探りつつ、イ【知識】における

(ア)曲想や表現上の効果と音楽の構造との関わり
(イ)音楽の特徴と文化的・歴史的背景,他の芸術との関わり
(ウ)我が国や郷土の伝統音楽の種類とそれぞれの特徴

に当てはめて、
「(ア)伴奏の和声進行から音楽の構造を感じさせやすいんじゃね?」とか
「(イ)ア(イ)と関連させてイケる!!!」とかでワクワクしつつ、
「(ウ)コレはさすがに無理ゲーだ・・・orz」とかいう超えられない壁にぶち当たることもできます。
一見無駄な時間にも見えるけど、この作業から新たな題材構成が可能になるわけなので、楽しくやってました(この脳内模擬授業をやっている姿は、意外と表情に出てしまい、それがなかなか気持ち悪いので、他の人には見られないように注意が必要です)。

その後はどうする?

ここで、扱う楽曲(ここではAve Maria としましょう)を「音楽を形づくっている要素」から分析します。そうすると、「副次的な旋律の創作=テクスチュアを扱う題材になるな!」とか「速度は、♩=76~80で基本的に変化しないし、思考・判断のよりどころとまではいかないか」などと、主に扱う「音楽を形づくっている要素」が決まってきます。
ここまで来れば、題材に割ける時間数や他の題材で扱う内容とのバランスを見ながら、扱う内容をピックアップして、本格的に学びづくり!ってことになります(と言っても、ここからが本当に長い道のりとなる)。

いいなと思ったら応援しよう!