08 教材研究×授業改善=理想の授業
前回は、「授業改善への第一歩は生徒の実態から!」という内容でしたが、(ちょっと指導案作成から離れますけど、)今回はその流れを受けてちょっとしたエッセイ的な内容です。
ここまで「学びづくり」について書いてきて、「じゃあ、学びづくりは何を目指しているのか?」と聞かれれば、
教科・科目の目標にある資質・能力を生徒が身に付けられるよう、教員がサポートしていく授業
ということだと思います。コレを踏まえて、「理想の授業」を記しておきます。
「理想の授業」を考える。
その1 教員養成課程の学生はこう考える。
一昨年と昨年は、県内の某大学の非常勤講師として教壇に立っていました。といっても、「教職実践演習」のスポット的な講義なので、ほぼ先生方向けの研修と同じ感じです。また、教員免許更新講習などの講師としても、いくつかの自治体の教育センターに伺っています。6月末までに期限が来る方、本当にお疲れ様です。
これらの講義・研修の中で、必ず伺っているのが「あなたにとっての理想の授業とは?」という質問です。とりわけ、昨年の学部4年生の回答が、講義をした甲斐があった!と嬉しくなるものばかりだったので、彼らに許可を得ているので紹介します。
②は、例えば、教師による指導として技能をしっかりと扱う場面があることを踏まえつつ、それだけじゃダメだということを理解している学生の姿、④や⑧は、子どもの主体性を尊重する学生の姿、⑦は、子どもと目線を合わせて共に授業をつくっていこうという意識を持つ学生の姿が見られます。
こうした学生がいることがわかり、「日本の教育の未来は明るい!」と感じるとともに「この理想を学校でも持ち続けてほしい・・・けど、、」と願いにも似た心配を抱いたのでした。
その2 島田はこう考える。
島田の理想の授業は、この中では⑨に一番近く、
「生徒が勝手に学ぶ授業」
です。生徒が勝手に学ぶということは、以下のようないくつかの条件が必要と思います。
学習対象に興味・関心がある
興味・関心から生徒自身が課題を見出している
課題を解決する(人的、知識・技能的)手立てが確保しやすい
これらの条件(状況)が揃うと、勝手に学び始めます。もちろん、それは探究的な学びとなります。
そうなると、上記1について、興味・関心を高めるための教材研究が必要ですし、
上記2と3について、生徒が音楽とどう出合うか?どんな風に探究するか?が見えてきます。
提示する学習内容や生徒が見出す課題は高尚なものでなくても、レベルの高いものでなくてもいいのです。まずは、生徒が主体となって、もっと平たく言えば、授業という演目の主人公としての生徒が、ステージ上の大道具や小道具、照明やSEなどフルに活用しながら自由に演じられる環境を整備したいと考えていました(今も、考えています)。
そんなわけで、学校に勤めていた頃、当時の校長が授業を観に来た感想を学校の広報資料に書いてくれた一文がこれです。
過分なお言葉、光栄です。ちなみに、本当に授業から消えてサボっているわけではありません(笑)
その3 ちょっとこっちがいいかもと考えていること。
先述の「理想の授業」を聞いた際、ある学部生が、こう答えました。
なんか、こっちの方がしっくりくるように感じています。この発言があったときも、周囲の学生が「おぉぉぉぉぉ!」と感嘆の声が上がったのを覚えています。
「理想の授業」のために心がけたいこと
さて、「勝手に学ぶ授業」でも「授業であることを忘れる授業」でも、じゃ、その手立ては?という話になりますが、以下の言葉に集約されていると考えています。京都大学大学院教育学研究科准教授の石井 英真先生の言葉です。
「子どもの学びたいもの」にすることが、教材研究です。そして、教えたいもの(学習内容、学習課題)を子どもが掴むことで探究的な学びになるということです。この講演動画内の言葉で、ここから再生すると2分後くらいにでてきます。他の部分も非常に膝を打つばかりの内容ですので、ぜひ御覧ください。