未経験&ぼっち広報が10ヶ月でやったこと
昨年4月に転職して、初心者広報をやっています。
弊社では半期ごとに「評価プレゼン」という制度があり、担当役員へ向けて自分の成果をアピールする場が用意されています。そして今月、私にとってはじめての評価プレゼンがあります。(半年前は試用期間だった)
この10ヶ月で何ができたっけな……と考えていたらやや辛くなってきたので、やったこと・できたことを前向きに!振り返ろうと思います!
「広報」のやってること全員違う説
私はキャリアの半分以上を主に販促・広告系のデザイナーとして働いてきました。ご縁で突然の広報に挑戦することに。広告の仕事をしていたのでクライアントに広報室の方もいましたし、できる気がしたんです。まあ全然できなかったんですけど。辛い。
あまりにも何をすればいいのかわからなかったので、実際に広報職の方に話を聞きに行きました。幸い広報職はコミュニティが充実していて、セミナー、イベント、Facebookグループがたくさんあります。手当たり次第に参加し、たくさんの方と交流させて頂きました。その中で気付きます。
広報の仕事、多種多様すぎる。
ひとくちに「広報」という職種のもと集まっている人々を見回しても、会社のフェーズや目指す指標によって、やってることがめちゃくちゃ違う。「まずはこれやっとけ」というものは、どうやら無いらしい。
え、私なにすればいいですか?
クリエイティブ会社の広報 難しすぎ問題
入社した当初はPR会社が入り、指導とサポートを受けながら広報活動をする予定でいました。ご提案頂いた方針は、プレスリリースを作成しメディアへ積極的にアプローチすること。うん。定石はそうなのだろうと思うのですが。
私が所属するフォーデジットはデザインカンパニーです。名前を売りたい明確なプロダクトがあるわけではなく、提供しているのは「使いやすい」とか「わかりやすい」とか「好ましい」とか、目に見えない心地よさを作るデザインコンサルティング。メディア映え…するかな…?
もちろんメディアにもよるかと思いますが、いわゆるニュース価値のある情報って「新奇性」「異常性」「著名性」「地理的近接性」「公共性」…あたりですよね。読者とメディアにとって価値のある情報提供が、果たしてこの会社に可能なのか?未経験ながらも疑問を持ちました。
競合他社の掲載情報を手作業で収集
競合のクリエイティブ会社はどうしているんだろう?〇〇○さんとか△△△さんとか素敵なメディア掲載がたくさんある…と思い、まずは調べてみることにしました。とはいえリサーチの手法なんて知らず、手作業で地道な情報収集を始めます。今思えば社内にプロのリサーチャーがいるのだから、どんな手法があるのかアドバイスを仰げばよかったのですが…。
ターゲット会社の過去5年分ほどの掲載をGoogleニュース、および日経テレコンで検索してリストアップ。それにその会社が出したプレスリリース、登壇履歴、ブログやオウンドメディア等の自社発信を並べて、メディア掲載との相関関係を調べました。これを3社分くらいやると、すごい気持ち悪いエクセルができます。公開情報を並べているだけなのですが、立派にストーカーのやつ。
かなり時間がかかりましたし、正しいやり方なのかはわかりません。しかしなかなかの量のメディア記事を読み、プレスリリースを読み、ブログ記事を読んだことで、広報やブランディングの上手な競合他社の傾向が見えてきました。どうやらクリエイティブ業界においては、プレスリリースとメディア掲載との相関関係は薄そうです(たぶん)。
オタクはインプットばっかりする
同時にセミナーに参加しまくりました。数えたところ10ヶ月で37回…なのでほぼ週1のペースです。広報勉強会や、デザイン業界のトレンドセミナー、競合他社のイベントへ潜入したり、メディアとの交流会などへ参加。本を読むのが苦手なので、リアル接点でインプット量を保つようにしました。
加えて「PRプランナー資格」の勉強をします。「広報のやってること全員違う」と言ったものの、多岐にわたる広報業務をまとめてくださっている資格があるのです。BtoC商材の大企業を想定している…?という内容ではあるのですが、広報という仕事に求められる役割の全体像を掴むのにとても役立ちました。8月に1次試験、11月に2次試験に合格しました。
アウトプットよりインプットが圧倒的に先行してしまうのは、生まれつきのオタク気質によるものです。オタクは得た知識をどう活用するかは一旦置いておいて、ただただ吸収することに喜びを感じます。しかしそろそろアウトプットしていかないと、ただのコストセンターになってしまいます。本当に申し訳ない。
そもそもどんな会社だっけ?整理
セミナーに通いまくる中で学んだことのひとつに「ナラティブ」というものがあります。「物語」「語り口」などと訳されますが、私は「語られ方(客体)」と解釈しています。
「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」などを著された本田哲也さんの登壇で、クライアント企業にPRナラティブというものを作るというお話がありました。企業の強みや市場の状況、本来持っているのに伝わっていない自社の価値を、ファクトとともに1500〜2000文字程度に短くまとめた文章。それに基づいて、何を語るのか、どんな媒体を狙うのか、どういう露出を目指すのかといった広報戦略を練る、といったお話でした。
それ、ほしいやつやん。
そもそも自社が、ステークホルダーからどう見られたいのか?それが無いと露出方針が立てられないですよね。そうじゃん。これに気づくまでに約5ヶ月かかってます。
それからは自社の代表にヒアリングし、デジタルデザインの業界傾向を調べ、経産省の資料を読み込み、ブランディングに強い社内のメンバーを頼りながら、自社なりのPRナラティブをまとめました。メンバーの協力がないとできませんでした。本当に感謝しています。
10ヶ月でできたこと
PRナラティブを作ったことで、自社が伝えたいメッセージの核と、そのためのスタイルが明確になりました。あとはそれを実現するための打ち手を考え、実行していくのみです。競合他社の打ち手を参考に、掲載につながりやすいであろう打ち手を想定しました。リソースの分配を考え、スケジュールと予算を組みました。ここまでで!10ヶ月!遅い!
めちゃくちゃ回り道しましたが、できたこと!
・広報活動の打ち手を学ぶ=競合他社調査
・広報業務の全般的な知識を習得する=PRプランナー資格取得
・自社の伝えたいメッセージを明確にする=PRナラティブの制作
をインプットに
・広報戦略
・スケジュール
・予算配分
をアウトプットした!
まとめてみたら結構がんばってるじゃん!遅いけど!
戦略に正解は無いと思います。は?という手でも成功すれば「斬新なアイデア」だし、よくよく考えられた作戦でも失敗すれば「愚行」です。勝った方が正解。ならば勝つまでやるだけだぜ!