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治験が中止となったGSKのRSVワクチン

GSKの高齢者用RSVワクチンには、AS01という強力なアジュバントが含まれているが、妊婦向けの治験では、アジュバント無しのワクチンが使用されている。

治験結果の論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2305478#t4

治験データhttps://clinicaltrials.gov/study/NCT04605159?tab=results#adverse-events

プラセボとして使用したものは、凍結乾燥したショ糖であり、ワクチンの抗原の粉末と同様に、塩水に分散させて筋肉注射している。

この治験で問題となったのは、早産のリスクであった。

In February 2022, the independent data monitoring committee reported a higher incidence of preterm birth in the vaccine group (7.6%; 183 of 2419 infants) than in the placebo group (5.0%; 60 of 1199 infants), with a relative risk of 1.51 (95% confidence interval [CI], 1.14 to 2.01; P=0.004).

ワクチン群で、2419乳児中183人が早産で生まれ、プラセボ群は1199乳児中60人だった。相対リスクは1.51倍で、統計学的に有意だった。

つまり、50人接種すると1人がワクチンが原因の早産になるという計算である。

新生児死亡をみてみると、満期出産では、ワクチン群とプラセボ群の差がないが、極度な早産(妊娠22週から28週)と早産(28週から36週)では、ワクチン群での新生児死亡がそれぞれ2人と5人みられるが、プラセボ群での新生児死亡はなかった。


これは、ワクチン接種が原因で早産となった場合に、その新生児が死亡するリスクが、プラセボよりも高くなっているということであり、深刻な問題である。

以上は、GSKのワクチンでの治験であるが、現在日本で推奨されているファイザーのワクチンの抗原は同様のもので、2種類が使用されている。

ファイザー妊婦用とGSK高齢者用ワクチン

抗原に追加して、トロメタモール 0.11mg、トロメタモール塩酸塩 1.04mg、精製白糖 11.3mg、D-マンニトール 22.5mg、ポリソルベート80 0.08mg、塩化ナトリウム 1.10mgが含まれている。

抗原の総量は同じであるので、アジュバント無しの塩水に溶解したGSKのワクチンの方が、妊婦へのワクチンの悪影響は少ないと考えられるのに、治験のデータでは、ファイザーのワクチンによる早産のリスクがでていないことに疑問が残る。

以下の図が、それぞれのワクチンの治験が行われた国である。

https://www.bmj.com/content/383/bmj.p2620


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