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その店は絶対に接客をしない。

その店は絶対に接客をしない。

席には間仕切り、オーダーはタッチパネル、お会計は注文時キャッシュレス。

店に入ってから出るまで、誰とも顔を合わせる必要が無い。

だからこそ、気を遣わない寛げる場所になる。

美味しいコーヒーと仕事、勉強、読書、一人の時間のための砦。

cafe「Toride」



以下、セルフライナーノーツ。

2018年は無人コンビニ、QRコード決済、日本政府のキャッシュレス推進施策などなど、現金を使わない経済少しずつ始まった一年だった(と思う。どうにも現地に居ないから実感が無い)。

QRコード決済を個人店が導入すること、そもそも飲食店がキャッシュレスを導入することについては色々思うところはあるのだけれど、せっかくなら、このキャッシュレスの強みを最大限活かした店をつくってみたい。

キャッシュレスの強みを活かした好例は、無人コンビニだろう。

サクッと入店して欲しいものを手に取って、そのまま退店。
財布を取り出すどころかポケットに手を入れる必要すらない。
お客様は時間短縮、お店は人件費削減でハッピーだ。

だから最初は、無人カフェを考えた。

入店してピピっと注文支払いしてロボットが淹れてくれたコーヒーを飲みながらフリーWi-Fiでお仕事。

うん。スマートだ。

うん?スマートか?

どうにも私には、高速道路のパーキングエリアにあるコーヒーをドリップしてくれる自動販売機の、あの軽快な音楽が聞こえてくる気がしてならない。

自動販売機大国の日本において、無人のカフェというものは実はあまりにもありふれているのではないだろうか。

そして、この方向だと、お店側は人件費が削れてハッピーだが、お客様はそんなにハッピーじゃない。
ボタンを押して飲み物が出てくるなんて日常だし、わざわざカフェで自販機の飲み物を飲んでもそんなに満足できない。


少し視点を変えてみる。

キャッシュレスということはレジに寄る手間を最小限省けるということだ。
つまりそれは、お店の人と顔を合わせる必要がないということでもある。

それならば、店員と顔を合わせないということを強みにできないだろうか。


以前友人が、「カフェってなんか入りにくい」と言っていた。

私はスターバックスの接客はチェーン店のカフェの一つの到達点だと思っている。

しかし、スタバの接客が苦手な人は少なからずいる。
それはスタバの接客の良し悪しではなく、単純に様々な選択を求められることへの苦手(と、店員さんがキラキラしてて眩しい)だと思う。
レジでコミュニケーションを求められることが苦手、ということだ。

それならば、いっそ「店員とのコミュニケーションだけ」を廃してしまえば、今までカフェが苦手だった層にもご来店いただけるのではないだろうか。

コーヒーはバリスタが淹れる。美味しい。
間仕切られた座席は、くつろぎの空間。
そして誰とも顔を合わさないから、一人でも気兼ねない。

さしずめ、ラーメン「一蘭」のカフェ版である。

そして支払いのやり取りさえ自席で完結してしまう。
これぞ、一人のための砦と呼ぶにふさわしい。

お店側は人件費削減&新規客層獲得でハッピー、お客様はコミュニケーションの煩わしさから解放&気兼ねないくつろぎ空間の獲得でハッピーだ。


フリーランスの働き方も増えてきたことだし、ほぼ個室にして機密性高めてミーティングにも使えます、という切り口もいいね。

回転率は悪くなるから、席料を取る料金形態でもいいかもしれない。

キャッシュレスならサブスクリプションで1ヶ月うん千円でコーヒー飲み放題、という収益スタイルとも相性が良さそうだ。


あー面白い。

と、ここまで書いておいてあれだけど、面白いけど私はそんなにやりたくないなぁ。

結局接客が好きで、お客様と店をつくっていきたいのだ。



完全に蛇足だけれども、完全キャッシュレスで話題になったレストランのインタビューが勉強になったので載せておく。
まだまだこれからだけれど、意外と早くキャッシュレスの飲食店は増えるのかもしれない。


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喫茶結社 / テラニシ・シュウヘイ
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