まだ見たことのない”場”の創造。301の新拠点って?[後編]
この夏、私たち301の新拠点が代々木上原にオープンします。そこはオフィスでも飲食店でもない、今までの常識を超えるような「場」。誰もが訪れることができるその「場」には、領域を横断して様々な人が集まります。
この記事では、このプロジェクトのProject Managerである細川の視点から、一体新拠点とはどんな場所なのか、何が新しいのか、そしてこの場所に私たちがどんな「意味」を見出しているのか、その全貌をお伝えしていきます。
前編 ☞ 301は、そもそもなぜ新拠点をつくるのか。
後編 ☞ 実際新拠点ってどんな場所になるの?
301ってどんなところ?が気になる方はこちらから🛫
目次
前編
新拠点創造の軸となる、301が大切にしていること
・価値ではなく意味。働くことを”自分ごと”にできるか。
・円卓を囲むように、フラットに。
・人々の共感を生み出す職人性
新拠点はどんな場所になるのか
後編
新拠点、私たちは何を変えようとしているのか。
・今こそ飲食業界にディレクションを。
・数百円を数千万円に変えるコミュニティ
・新拠点を支える3人。次の時代のロールモデルへ。
・私たちがこの拠点に見る「意味」、その可能性
前編では、新拠点創造の軸となる301が大切にしていることをお伝えしました。後編では、実際その新拠点は具体的にどんな場所なのか、何が他と違うのかお伝えしていきます。
**
新拠点、私たちは何を変えようとしているのか。
◆数百円を数千万円に変えるコミュニティ
最近、カフェなどの飲食業態とオフィスが一体になっている場所は増えてきています。
有名なところで言えば、社食堂、artless craft tea&coffee など。
でもそれらの場所を体感してみて思うのは、飲食店とオフィスは確かに一緒に存在してるけれど、機能として一体になっているというわけではなさそうだな、ということ。(あくまでも個人的な意見ですが!)
"機能として一体になっている"というのは、飲食店とオフィスが同じ空間にあるからこそ そこで何かが生まれたり、相互作用がちゃんとあること。
私たちは、この新しい場は 飲食のプロフェッショナルと、デザインやディレクションのプロフェッショナルが共存する場であるからこそ、そのナレッジを掛け合わせて新しいもの生み出せると考えています。
現在の、そして今までの飲食店は
美味しいドリンクやフードを提供する
お客さんはそれに対してそれ相応のお金を支払う
というやり取りだけで利益を生み出していました。
でも東京の家賃は高いし、お客さんの入りは天気や季節に左右されるし、食材の足は早いし、その上人件費はかかるし、、
飲食店の経営はとくに東京では本当に大変で、だから働き方もブラックになりやすい。
でもそんな既存の飲食店の概念を取り払って、デザインやディレクションができる私たちが同じ場所にいるからこそ可能になる新しいビジネスモデルができたら?
飲食のプロフェッショナルもデザインのプロフェッショナルもいるから、そしてそこはオープンな場所で、フードやドリンク、空間など1つ1つ高いレベルのプレゼンテーションが楽しめるから、そこには領域を横断して様々なひとが集まる。
そこで誰かによって語られた企みは、その場にできたコミュニティによって、妄想を超えて実際に社会にインストールされるプロジェクトになる。
例えば、
最近どんなことしてるんですか?
-- ちょっと面白いこと考えててさ、、こういう展示やろうかと思ってるんだけど空間がちょっと悩みなんだよね〜、
-- それなら、ちょうどあのテーブルにいる○○さんって空間デザイナーですよ、あとで呼びましょうか。
-- 本当?じゃああとで紹介してほしいな。ちなみにオープニングパーティーでカクテル出したいんだけど、展示の内容に合わせてカクテルつくることってできる?君のつくるお酒美味しいから。
-- もちろん!作品のコンセプトをカクテルに落とし込むとかできますよ。
なんていうバーテンダーとお客さんの会話が日常的にある。
1200円のカクテル、400円のコーヒーが、数千万のプロジェクトに変わる種になったら。
それは単に、新しいお金の生み出し方を作るだけではありません。
オフィスでも飲食店でもない新しい「場」から、(スマイルズ代表の遠山さんの言葉を借りると)"世の中の体温を上げる" ことやものが生まれていく。
そんな可能性を、このコミュニティは秘めています。
◆今こそ飲食業界にディレクションを。
この場所で目指すのは新しい飲食店の形。それはスタッフの働き方も同様です。先ほど触れた、飲食業界はブラックになりやすいという状況は、今でこそ変わってきている(というよりも、そういう過酷な労働環境にあった世代が変えていこうとしている)ように感じますが、実際のところはまだまだ負担の大きい働き方をしている人も多いのではないでしょうか。
301がデザインするのはいわゆるクリエイティブの領域だけでなく、経営、組織のシステムなど広範囲に及びます。
上で語った "新しいお金の生み出し方"は、働き方をデザインする、ということも可能にする。
しかしそれはもちろん、言葉で言うほど簡単なことではないと思います。
この場から、誰かの企みを実際に社会にインストールしようとする時、必要になるのはディレクションの力。実現可能なものにするために方向性を定めて引っ張っていく力です。
だからこの場で飲食のスタッフとして働くチームも、ただ美味しいものを作って接客して、というだけではなく、プロジェクトを生み出し、動かしていけるような、そしてそこにモチベーションがある人たちで構成されている。
働く一人一人が 単なる飲食スタッフとしてだけではなく、自分の仕事に「意味」を見出すために、そしてそのことがその人にとってチャレンジングであるために、コンサルティングやディレクションができる環境を整える。
個人がそれぞれ新たな仕事を生み出し活躍する「 1 」になる、ということをこの場所は目指します。
◆新拠点を支える3人。次の時代のロールモデルへ。
この場所の飲食部門を支えるのは
パティシエ 後藤裕一
バーテンダー 野村空人
バリスタ、ロースター 小田政志
の3人。彼らは、現場に立ちながらも個人としてコンサル業(=ディレクション)も両立させている、まさにこの場のコンセプトを体現するような働き方をしている人たちです。
メニューの開発だけでなく、この場所がどうあるべきか、というコンセプトの部分や、オフィスでありながらもカフェバーとしてちゃんと成立できるような空間づくりなど、広範囲に渡って対話を重ねています。
いままでに前例のない場所。だからこそ、メニューや空間、現場に立つひとなど、ひとつひとつに対してどういうものが良いのか深く考えていく。
この場所の理想は(何年後になるかわからないけど)この場で働いた人が外に出ていくこと!それは、今実際に自由で新しい働き方をしているこの3人から学び取って、いろんな人が外でまた新しいものを生み出していくということ。
だから、ただメニュー監修してもらっています、という受け身なスタンスではなく、同じチームという感覚で向き合ってもらっています。
自分の仕事に「意味」を見出し、既存の枠からはみ出した自由な働き方をすること。
それはきっと飲食業界においての新しい考え方をつくり、やがては文化になるのではないかと思います。
◆私たちがこの拠点に見る「意味」、その可能性。
いまこの時代に、働き方に対する社会全体の考え方が変わってきていることは、なんとなく皆感じ取っていると思います。
ただ私たちは、もっと本質的な働くことの意味を考えます。
そもそも「働く」って何なんだろう?「生きる」ことの一部(というか大部分)のはずなのに、そこがかけ離れている状況が当たり前になりすぎてる。
ここでは働く人にとっても、訪れる人にとっても、
生きることと働くことがイコールになる
ということが体感できる。
そんなマイルストーン的な「場」になる可能性を秘めていると信じて、私たちは今日も新拠点の立ち上げに取り組んでいます!
(絶賛準備中!お楽しみに❤︎)
301 magazineでは、新拠点を支える飲食チーム3名のインタビュー記事を公開しています。彼らの現在の働き方や考え方、新拠点の可能性などを語っていただいている、飲食業界の「いま」が垣間見れる内容になっていますので是非ご覧ください!
・後藤裕一氏インタビュー 前編 後編
・野村空人氏インタビュー 前編 後編
・小田政志氏インタビュー 前編 後編