「練習を1日休むと取り戻すのに3日かかる」は本当なのか
水泳の萩野公介選手が話題になってますね。復帰後も調子が上がらず、「メンタルが戻っていないのでは?」「長期間休んだせいでは?」と色々言われています。
メンタルについては、身体に様々な影響を与えるので整えなければなりません。
今回の疑問は、長期間休むと能力は戻らないのか。そもそもよく言われている「練習を1日休むと取り戻すのに3日かかる」というのは本当なのでしょうか?
では僕の話を。
僕は左手首にガングリオン(ゼリー状の物質が詰まった腫瘤)があり、完治にはドラムを辞める必要がありました。
最初は全く問題無かったのですが、神経が徐々に圧迫されてきたのか、左手に体重をかけることすら出来なくなりました。腕立て伏せどころか、「腕立て」の時点で無理だったんです。
それでもドラムを叩くのは痛くなかったので続けていましたが、いつ叩けなくなるか分からず不安でした。どこかのタイミングで休養を取らなくてはと思っていたとき、これを逆手に取って実験出来ないか? と考え、試してみることに。
「ドラムの練習はせず、身体の使い方を研究するだけで上手くなるのか」
ドラムを叩くのは仕事の時のみ。練習時間は全て身体の使い方の研究に当てました(さすがに難易度の高い曲をやる前は練習しましたが)。
2年程続けましたが、結果は「上手くなりました」。叩けなかったフレーズも難なく出来るようになりましたし、リズムも良くなりました。ガングリオンも完治!
練習しなくても、「こう身体を使えばこう動く」というのが分かっていれば、あとはその通り動かせばちゃんと演奏出来ます。過程と結果が一致しているので、スランプもありません。
ただ前提として、そもそも膨大な練習の積み重ねで身体のコントロールが出来ていたので、フォームを変えたり維持するのが容易だったことはあります。
過去に自転車に乗れた人は、何年経とうがまず乗れるでしょう。それと同じことですね。
問題点もあります。使っていた筋力が衰えるので、持久力を失います。長時間の演奏はやっぱりキツイです。これを取り戻すのは大変でしょう。
結果として、上級者レベルまで到達していて、身体の使い方を理解していれば、持久力は維持出来ないが技術力は維持出来ると分かりました。つまり「練習を1日休むと取り戻すのに3日かかる」は、条件を満たせば持久力だけにすることができる訳です。
このことから、身体の使い方を感覚的に捉えている天才型は、理詰めで構築する秀才型より、調子を取り戻すのが難しいと思われます。
萩野公介選手の場合は、コーチ陣が理詰めで指導しているでしょうから、筋力が全盛期の頃に戻っていないのが一番の原因かもしれませんね。何とか輝きを取り戻して、瀬戸大也選手と熱いレースを繰り広げてもらいたいです。