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運動中の心拍数と会話をチェック!がんサバイバーの運動強度セルフチェック法
前回の記事では、がんサバイバーの運動初心者の方には、MICT(中強度持続的トレーニング)で週150分を最終目標とし、中等度以上の強度を保ちながら、ご自身が好きな運動に取り組むことをおすすめしました。
運動を始めると、次のような疑問が浮かんでくるかもしれません。
「今の運動を続けていて、本当に持久力は上がるのだろうか?」
今回は、ご自身で運動する際に、運動強度をセルフチェックする方法をご紹介します。
このnoteはこんな方におすすめ!
・運動強度のセルフチェック法を知りたい方
・運動がきちんとできているか不安がある方
このnoteで得られる知識を1枚で!
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運動の効果は、【運動強度 × 運動時間】
運動強度は運動の効果をはかる上で時間と共に重要な要素です。
時間は皆さん測ることができますが、運動強度はセルフチェックが難しいです。運動強度の指標として、数値で確認できるものには心拍数とVO2max(最大酸素摂取量)があります。Apple WatchをはじめとするスマートウォッチではVO2maxも測定できますが、ここでは、より身近な心拍数についてまず解説します。
1. 最大心拍数をスマートウォッチか触診でチェック!
人には、限界まで運動したときの最大心拍数があります。最大心拍数は、簡単な計算式で推定できることが知られています。
一般的には、「220 - 年齢」または「207 - (年齢 × 0.7)」という計算式が用いられます。特に高齢の方では、後者の方がより正確に最大心拍数を推定できることが示されています。
ぜひ、ご自身の最大心拍数を計算してみてください!
Tanaka H. J Am Coll Cardiol. 2001;37(1):153-156.
Apple Watchをお使いの方は、トレーニング中の心拍数を記録し、後から振り返ることができます。最大心拍数の60〜75%まで心拍数が上がっているかどうか、確認してみましょう!
https://support.apple.com/ja-jp/guide/watch/apda88aefe4c/watchos
また、橈骨動脈での脈拍測定もできます。手首の内側、親指側の骨のすぐ下に指を当てます。15秒間の脈拍を数え、その数を4倍すると1分間の心拍数になります。ただ、運動で疲れている中で高い心拍数を1,2,3,4….と数えると混乱することもあります。
2.運動中に会話ができるかどうかをチェック!
スマートウォッチを持っていない方も、たくさんいらっしゃるでしょう。また、心拍数を計算したり確認したりするのは、面倒だと感じる方もいるかもしれません。
そのような方には、運動中にどの程度会話ができるか、を目安にする「会話(トーク)テスト」がおすすめです。
「主観的運動強度評価」という研究テーマがあり、古くはボルグスケールが用いられてきましたが、近年、「会話(トーク)テスト」という評価方法が開発されました。
会話(トーク)テストでは、
「楽に話せる」: 低強度
「話せるが、快適ではない」: 中強度
「話せない」: 高強度
というように、会話のしやすさで運動強度を評価します。この測定方法は、臨床試験でも用いられており科学的に実証された測定方法です。
Woltmann ML. J Strength Cond Res. 2015;29(5):1248-1254.
ランニング中に、「全然楽に話せる」という方はもう少しスピードを早めて良いでしょうし、「全く話せないぐらい辛い」という方はもう少しゆっくりと走っても良いかもしれません。
まとめ
心拍数や運動中に会話ができるかどうかを参考に、ご自身の運動強度をセルフチェックしてみてください!
がんサバイバーの皆さんの運動を、心から応援しています!
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