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Deep Ocean


― スポットライトを浴びて北極星のように強く輝いていた紫色のマイク、星を通して"僕は僕のままでいい"と歌う姿。私はあの光景を一生忘れないし、忘れたくないなと思った。



眠気に耐えながら、それでも書きとめなきゃいけない気がして投稿したツイート。
私の席からはテンさんのマイクに照明が反射していて、真っ暗の会場でひとつだけ煌めく星のように見えた。ステージに立っている彼は、メンバーと共に歌で威珍妮と向き合っていた。


ダンスとイコールで結ばれがちなテンさんの、歌声が大好き。つんと立った可愛い鼻先を上げる仕草、目を閉じて母国語ではない言語に感情を込める過程。綿密に、しなやかに体を操る彼は声帯までも意のままに。なんて美しいんだろう。初めてlovelyの映像を目にしたときと同じ指先の痺れを、オーラスのDeep Oceanで、ダンスではなく歌声で感じた。

ウィスキーボンボンのような彼の歌声だけに言及していると誤解を生みそうだけれど、私の一番星がテンさんだという話で、威神は私の夜空であることを主張したい。数多の星たちが自分なりに輝いている静かな夜空。威神というグループがあまりにも大切なの。
少しだけ昔の話をさせて欲しい。
昔と言っても、四年前の記憶だけど。


NCT全体としても、威神としても大きな転機はNCT2020だったように思う。MAWのシャオジュンは特に話題だったし、既存のシズニがUを通して威神に触れ、ファンダムも徐々に大きくなった感覚がある。


" コロナが終わったら会えるかな、初単独ツアーもきっとやってくれる。日本には来ないかもしれないけど、そのときは海を越えてでも会いに行こう。"

そんな夢は夢で終わるのかもしれないと、ある時から考えるようになった。あまりにも長い空白期間、大陸に行ったきり戻ってこないテンさん。メンバー同士のエピソードが配信やbblで出てくる度に安堵して泣いていた。インスタの現在地を確認していたのも懐かしい。
もしかしてこのまま、と、最悪の想定を何度もした。夜中に目が覚めて、ベッド脇の窓から見える空に浮かんでいるはずの月が雲に隠れていて号泣した日もあった。

今思えば笑えるような情緒だけど本当にそんな状態で。イリチルのツアーが始まって私はどうにかメンタルを持ち直せたけれど、威神だけ推していた威珍妮が何人も離れていくのを目にした。




テンさんが韓国に戻ってきた。みんなで泣いたエピソードを笑いながら話す威神で「もう大丈夫だ」と根拠もない自信が湧いたことを覚えている。ウィンウィンも威神の話をよく出していたし、なんか、なんだろう、本当に大丈夫だ!と思った。


テンさんがくるか分からなかったSMT、広告のサイネージにテンさんが載ってることに気付いた人のツイートで小躍りしてベビドンの音漏れ情報で泣き崩れた。빛でステージの端から端まで歩いて写真撮って嬉しそうに笑っている威神。「次」の確証がないことが悔しくてたまらなくて涙が出てきて、あ、私ほんとに威神が大好きなんだなって少し嬉しかった。

beautifulのMVが出て、複雑な気持ちのまま再生したらテンさんのカットもちゃんとあってテンペンたちと泣きながらスペースしたのも記憶に新しい。



突如始まったカウントダウン、FC開設と同時に出たペンミ開催のお知らせ。The First VISIONという表記を見て、FirstがあるならSecondもThirdもあるんだ〜〜〜!なんて。これも笑えるかな?

でも、始まりがあるのって特別だった。


正直、当選したときは歓喜と同じくらい恐怖があった。死ぬほど怖かった。

六人になって、ウィンウィンもいない五人体制の威神は私が好きになった威神から変わってしまっているかもしれない。私が知らない彼らだったらどうしよう。もしかしたらこれが最初で最後になるかもなと考えていた。
そんなの、考える必要なかった!威神は威神だった。そりゃあ全員揃っていて欲しいけど、私の知ってる明るくて前向きでマイペースで愉快なグループだった。水を得た魚のように、私よりも楽しんでいて置いてかれてる気持ちにすらなった。

もっと、もっと楽しまないと!
もっと今を楽しんで大切にしないと!
悔しいくらいだった。羨ましくもあった。私はこれからも威珍妮でいられるって確信した。きらきらした笑顔でステージに立っていてくれたから。



そして、NATION。
威神の空白期間にシズニになった層に、色んなことを乗り越えて戻ってきた姿を見せた。魅せた、と表現するべきかもしれない。ああ、本当に幸せだった。嬉しかった。パフォーマンスのレベルの高さに加えてMCで発揮されるスーパーやりたがりキュート集団のぬくもり、、威神を知って、好きになってくれる人がどんどん増えて、彼らがやりたいことをやっていて、本当に最高の気分。

次の約束がないことに絶望しなかった。威神に会える未来を描けるようになったから、もう平気だった。


SBS歌謡大祭典やSMTやテンさんのソロコンの話をしてしまうとキリがないのでOn The Wayまで時を進める。ここまでたどり着いている人はいないと思うけど私のために。名古屋初日、そして東京2日間。

ツアー全体の初公演はプレミアムシート。コロナ禍、定期的に考えていたセトリの始まりは必ずMoonwalkだった。夢、叶った!
連番相手、そして見知らぬ隣の威珍妮と一緒に崩れ落ちた。夢は夢のままで終わらなかった。
ペンミは少し緊張感があったから念願のツアー初日はどうだろうと心配していたけれど、何度も世界回ってます!くらい自然体で、やっぱり威珍妮よりも楽しそうだった。

名古屋で既にそう感じていたのに、いくつもの公演を経て東京で再会した威神は何倍も何十倍も楽しそうだった。
魅せ方や細かな仕草、パフォーマンスも伸び伸びやっていて、やってみたいことが沢山あるんだなぁ、やってみるができるようになったんだなぁ、と、ぼやけそうになる視界で必死に目に焼き付けた。




威神はとても大人だと思う。それぞれの場所で光を放つ星が、夜の空をきらきらにしよう!と話し合って星座をつくるみたいな、そんなイメージ。

個が自立していて自分があって、でも協調を優先する。互いを認め合うだけじゃなくてきちんと共存しようとする意識が全員にある。だからあたたかい。
あたたかくならないと生き抜けなかったのかも知れないけれど、それにしたって朝粥レベルのやさしさはどこから生まれてくるんだろうね。

生まれ育った環境が豊かだったのもひとつの要因かもしれない。でも、あのひとたち、なんでこんなに同じ場所にいてくれるの!パフォーマンス中は美・美・美の連続で神話……?とナチュラルに言ってしまうくらいなのに、しゃべり始めたらマイペースの調和が絶妙なほのぼの空間。会場が悲鳴や歓声ではなく「かわい〜……」という何万もの呟きで一致した瞬間が多くておもしろかった。

威珍妮と極めて近い場所から、視線を合わせて愛してくれている。そんな気がする。
真っ直ぐすぎて、大きすぎて恐れ多くも感じるほど威珍妮を大切にしてくれているから口元が緩むのも止められないや。

威神を見てるとね、私は私のことを愛しても、認めてあげてもいいんだって思えるの。オーラスのあとは特にそう感じてる。だってたくさん褒めてくれて、好きって言ってくれて、かわいいって言ってくれたから。
なんでなの?彼らが口にする言葉、喜ばせたいからじゃなくて本心で言ってるように感じちゃうの、なんで?威神のおかげで、自分らしく生きることを諦めないでいられるよ。ありがとう。


東京公演でシャオが「日本では僕たちは外国人なのに分かるように書いてくれて」と言ってくれたとき、私はびっくりした。当たり前にしていたことをありがたいと思ってくれるなんて。「外国人」として生きてきたからこそか、言葉に重みがあった。

言葉の重みで思い出した。
オーラスのクンさんのメントは胸に響いて気付いたら頬がびしょびしょだった。どこにいても、離れていても。次を確信しているから、未来を信じられているからこそあまり言及しないようにしていたウィンウィンの不在と結びついたから。
真意は分からない。深読みして勝手に拡大解釈して感動することはしたくない。それでも、それでも。


ねぇ、威神の日本公演が終わったよ。三都市で六公演もしたんだよ。大陸でもたくさん公演して、日本アルバムも出して、オリコン1位もとって、地上波で猫ちゃんたちの性別が記載されたよ。

想像もできなかったことがずーっと起きてる。


信じたい未来は訪れない。
永遠を願ったって叶わない。
そんなこと分かってる、もう身に染みてる。

うるせー!!私は私が信じたい未来のために前に進むし、気が済むまで永遠を願うんだよ!!
願っていた未来とは違っていても、私は今とっても幸せな未来にいるんだから。

もう泣くのも嘆くのも挫けそうになるのも飽きた!とでも主張しているかのように、とにかくたのしい姿を見せ続けてくれる威神に負けないくらいハッピーでキュートでセクシーでラブリーなこれからを生きるんだ。


クンさんが夢を諦めず空を飛び自然を愛し音楽に没頭できるように。
テンさんが自分に満足できる公演をして愛猫さんたちとのんびり暮らせるように。
ウィンウィンがどこにいても心の休まる場所でいられるように。
シャオが周りに向けている真っすぐな愛をメンバーと私たちでお返しできるように。
ヘンドリーが友だちとご飯を食べに行ったとき自慢できるような会場で公演できるように。
ヤンヤンがおにいちゃんたちから甘やかされて幸せそうにしている姿を守れるように。


願わくば、夜空を満月が照らし続けますように。
私の夜空に、六つの星が輝き続けますように。



ON THE Way日本公演完走おめでとう。
もう会いたいです。
私たち、これからは嬉しい涙を拭おうね。






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