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「ワニ」と「電通案件」と「エンタメ」に対して思っていることを吐き出す #100日後に死ぬワニ

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

漫画家/イラストレーターである きくちゆうき氏の『100日後に死ぬワニ』がSNSを起点に大反響を生み、世間を賑わせた。

『100日後に死ぬワニ』のとてつもない反響

その影響度は凄まじく、完結編となった100日目の投稿は、現時点で76万
リツイート215.5万いいねの大反響を生み出し、ツイートのインプレッションは1億回を超えたそうだ。とんでもねぇ数字。。

トレンドを席巻した「ワニ」「ワニ」「ワニ」

同じ「ワニ」を象徴とするLACOSTEも「好意」を寄せる。

最終回の掲載に向け、一緒に「コメント」しながら中身を視聴するニコ生が配信され、その配信の視聴者はトータルで22万人が様子を見守り、8万6千件ものコメントを集めた。

このような事実から、『100日後に死ぬワニ』は、間違いなく一大ムーブメントをつくり出したと言えるだろう。

しかしながら、負の反響も同時に起こってしまった。

というのも、100日目の連載が終了する直前の終盤に小学館からの「書籍」の発売が発表され、LINEスタンプの発売、いきものがかりの曲が発表され、映画化も発表された。

さらに、最終回の連載後、すぐに発表された「メディア展開」の関連ウェブサイトの中に「電通」の記載があったことが「電通案件」の想起をさせ、“炎上”に発展してしまったのだ。光が強烈だった分、影の部分も大きく、炎上状態となり、収まる気配がない。

「ワニ」と「電通案件」と「エンタメ」

一連のムーブメント、そしてその後に起きた現象から、今回の記事では「ワニ」と「電通案件」と「エンタメ」に対して、私が思っていることを吐き出してみる。

まず「ワニ」の何が良くて何が良くなくて何を期待するのか。

私の感想。

まずは、良かった部分。

単純に作品として強烈に面白かった。SNSでの特性である「リアリティショー」の要素もあり、作家さんは、本当に連載を毎日続けられるのか?ネタが続くのか。この作品の結末はどうなるのか。ワニは本当に死んでしまうのか。死に関しての憶測を生む物語性と、先行き不透明だけれど、気にせざるをえない登場キャラクターとのストーリー展開が、とてもよかったと私は思っている。

ただ、こんなことも合わせて感じた。(良くないと感じたポイント)

これは、多くの方が、私と似た感情を抱いたのではないだろうか。

関心を強く持つ人たちに、憶測が語られている状況が続いていたら、読後感も含めて、読者たちのものになれたのだろうけれど、一番注目の「ピーク」に合わせて、こうも「仕込み」が準備されていると、その準備されていたことへの100日間の伏線という印象を持ってしまうわけだ。

ワニの100日間じゃなくて、商業的な狙いある100日間に見えちゃったわけだ。

ここが、とっても勿体無いと思った部分。

このコンテンツが、このまま「みんなのもののまま」のエンタメに感じさせられてたら、もっと、これから先もおもしろくなれたんだろうと。

そもそもがSNSのコンテンツで、そこに参加者側の「ツッコミ要素」も含まれた参加型コンテンツで「祭り」状態に、無意識に「加担」出来てる方がもっと楽しくなれたけれど、最後は、向こうに「編集権」ある物語の押し付けと感じさせれた。

つまりは、作家の、内なる欲求「アーティステック」な熱量によってがんばって連載されてきた作品と、誰もが信じて疑わなかったところが、実は、「ビジネス」のロジックの上にあった連載と思わされてしまったワケだ。

実際はどうだか分からないのに、読み手側には、なんだよー。せっかく楽しめたのに、、ちくしょーっ、電通にやられたというのが多くの方の印象だろう。

(一部「死を扱うのに軽率だ」という意見や、電通で2015年に起きた違法残業による過労死自殺の件も記憶に新しいため、「死」と「ビジネス」を繋げるのは不謹慎だという意見もあるが、炎上の本流は、純粋に楽しんでいたエンタメのビジネスっぽさの結末に残念がる人たちによる炎上と私は捉えている)

そもそも「電通案件」ってそんなに悪なのか?

この一連の流れで、「電通案件」ってそんなに悪なのか?

そもそもこの『100日後に死ぬワニ』に、電通がどこまで関与しているか、定かではないが、気になる方は、このリンク先から辿って欲しい。

おびただしいほどの書き込みがあることに気づくのではないだろうか。超悪者に仕立て上げられている。。

しかし、私は、電通案件に思うことは「リスペクト」である。

電通を「嫌い」な人が、とても多い。あらゆるエンタメコンテンツが、これまで「電通」の筋書きにはめ込まれたと思う方が多いからだが、私は、日本のエンタメの礎つくってるの、ほぼ電通案件だと思っている。

『100日後に死ぬワニ』に、電通がどこまで関与してるか分からないし、そもそも、1人の作家による作品のような予算規模のことに、電通って絡むのだっけ?もっとサイズのでかいことが中心のイメージを持ってます。

もしそうだとしても、しなくても、この「仕込まれすぎ」はもったいないとは思った。今回の関与度の真意は分からないが、今回の仕込まれ感は失敗だと思っている。

ただ、そこの関与の有無とは切り分けた主張をするが、日本のエンタメの礎つくってるのは、そもそも、ほぼ電通案件だと私は思っている。

電通が日本の「エンタメ」の礎つくってると感じる理由

ほぼ電通案件とは、どういうことか。あくまで私の気持ちだが、、

「テレビ」を育てたのも「プロ野球」を大きくしたのも、「Jリーグ」がDAZNで再び息を吹き替えしたのも、大阪万博で「余暇」と「日本の未来」を再定義したのも、ディズニーランドが日本の「エンタメ」を大きくしたのも、全部「電通案件」だと思ってるから、電通すげーってずっと思ってるし尊敬してる。

私が、強烈に尊敬する方は、ディズニーランドの総合プロデューサーである、元電通の堀貞一郎氏だし、世界中が競合した「ディズニーランド誘致」を日本の「オリエンタルランド」が勝ち得たのも、電通の「分析力」と「マーケティング力」に頼っていたと堀貞一郎氏が書籍で語っていた。

そして前述した「余暇」と「日本の未来」を再定義した大阪万博の人気パビリオンをプロデュースしたのも、当時電通に在籍していた堀貞一郎氏によるものだし、大阪万博の総合プロデュースとして統括したのも、かつての電通ビルを設計した丹下健三氏である。

電通が日本の「エンタメ」の礎つくってると、ガチで思っている。

ただ、私は、エンタメに軸足を置いているかもしれないが、電通に対して従順に「右に習え」とかじゃないし、やること全て正しいと思っていない。

今回の件も、案件への関与はまちがいないが、舵取りが電通だったかも分からない。ただし、仕込まれ感が出たのは失敗に感じているが、電通への評価は私は変わらない。

エンタメにおいて従順に電通に対して「右に習え」の姿勢はない

電通すげーって思ってるかもしれないが、従順にそこに対して「右に習え」とかじゃなく、単純に「リスペクト」しているだけだ。

電通が主導して、これまで築き上げてきた「土台」の上に乗っかって、今の自分たちエンタメがあるって分かっているからリスペクトしてるだけ。リスペクトと従順なることは異なる。

「リスペクト」と「従順」なることは異なる、というのは、時には「戦い」、時には「土台」に乗らせていただき、時には「連携」する。そこはドライに選んでいる。なぜなら、すべての「成否」を決めるのはオーディエンス。エンタメの成否を決めるのは、顧客。顧客に従順であることから逃げるなってこと。今回の騒動も、顧客の期待を外したから起きていることだ。

エンタメの「顧客に従順であること」とは、顧客の前では、その「影響力」の大もないし小もない。同じ「リング」の上にいる。誰が一番喜ばせられるか?という視点での「真剣勝負」なのだ。傾向として、当然に「資本力」と「政治力」によって「影響度」は増してくる傾向だ。どうであれ企業の資本の大小とかより、目の前の顧客を「喜ばせたもん勝ち」の世界。

リングの上で、同じ「格闘」をしている。前評判や実力で負ける可能性がとてつもなく高いかもしれない。でも、局地では勝てるかもしれないし、負け戦になるかもしれない。時には「タッグ」を組んで、その他との圧勝を勝ち取れるかもしれない。でも、どうれあれ「成否」を握っているのは顧客でしかない。

電通案件で成功したことに「嫉妬」を感じるかもしれないし、今回みたいに良くないなという事例もあるし、そこはドライに客観視すると、どんな時も、コンテンツの良し悪しを選ぶのは「顧客」なのだ。これが私のスタンスである。

さて、ふまえた上で、話を戻すと・・・

『100日後に死ぬワニ』の今後について思う期待

個人的には「作品の終わり」と「期待を裏切る仕込み」で燃えて二度死んだワニが、このマイナスをも回収するような挽回策で、完全なる復活劇を期待している。

とにもかくにも、100日間の作品の投稿、おつかれさまでした。

誰がどう言おうと『100日後に死ぬワニ』は、私はおもしろかったと思ったし、過程の中で思わされたワクワク感は、今も残っている。だからこそ、この負の部分(逆風)を回収するような挽回策で、完全なる復活劇を期待している。

そして、ワニくんは、後発で生まれたにも関わらず、強い「キャラクター」として育ち、今後も活躍してほしいと思っている。

追記 水野良樹氏と、作者 きくちゆうき氏 動画。

今回の、いきものがかりの水野良樹氏と、作者である きくちゆうき氏 の動画がアップされた。

今回、楽曲を提供したいきものがかりの水野良樹氏の話、そして、作者である きくちゆうき氏 が作品に込めたメッセージが詰まっている動画だ。気になる方はぜひ動画を見て欲しい。

ポイントとしては
・きくちゆうき氏 の作品に込めた想い
・ほぼ「電通」が絡んでいない
・どういう経緯でグッズ販売に繋いだか
・いきものがかり 水野良樹氏 の楽曲提供の想い
が語られている。

なんだかんだ私はコミック買ったった

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私は『100日後に死ぬワニ』は、タイムラインに流れてくるところで読んでいた日が多く、読み飛ばした日も多いので、コミック買って楽しませてもらおうと思ってます。

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