【散文詩】関心の奴隷
われら関心の奴隷
其の耳と目と全身全霊を以て
受け止められむを望む.
この漂泊の月年(つきとし)幾歳(いくとせ)か
われ世に出でて一万二千四百日(じつ)
茫漠たる人いきれに主(あるじ)を想い
人の口々に云う神を訪ね歩く.
かみそこにあらず
かみそこにあらず
我ら関心の奴隷
成熟した人の手で その手の重なるなかで
愛され得るを望み 降りしこの世
時間どろぼうにあうなどとは夢にも思わず
天への触手を失くしさまよう.
愛そこにあらず
相ならずその寄せるこころ
我ら関心の奴隷
たれかわれらを自由にせん
否、何を待つでもない 歌い踊るこころのなすがままに
隣人と手を重ね 助きを貸し 借り
暗がりを月明りを頼りて進むのみ.
月明りの先は蜜月
そこまで進むのじゃ。
子らには愛を絞りだし
たといこの身細りても
さようなもの、いっときのわたしを通ることに過ぎぬ
されども中継基地はつぎはぎではならず
柱建て よくよく目地整え在ること 何者にも代えがたし
暗がりを月明りを頼りて進むのじゃ
独りになっても 進まねばならぬのじゃ
令和三年八月二十日
知未
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