T.W Lesson 73. 「始まりよければ五割よし」
第73章
Well-begun is half-done
「始まりよければ五割よし」
始めることは,すべての行動の半分を成している.
―ギリシャの諺―
先延ばしの何が問題かというと、常に「始まり」に欠けていることです。「始まり」あるところに先延ばしなし、なのです。
わたしたちの問題は、何かを「やらない」ことではありません。問題なのは、何かを「始めない」ことなのです。
そして恐らくそれは、先延ばしにしている作業について何か悲観的な考えを抱いているがゆえに、始めないのです。そんな余計な思い込みさえ握りしめていなければ、あなたはすでに、その作業を始めていたことでしょうから。
ですから、時間の使い方が下手である、というのは、総じて思いこみの問題なのです。
「このタスクを、やりたくもないと思う自分は、いったいこのタスクについてどんな考えを信じているのだろう?」
そう、問いかけながら、自分の思い込みをくまなく点検し、敢えて向き合うのです。そうしない限り、「先延ばし」と呼んでいるこの状態に、わたしたちは苦しみ続けることになるでしょう。
戦士(まもりびと)として、この状態に向き合う良い方法は、内と外の二種類あります。
内のアプローチは、心の中を扱います。自分が何かを始める妨げとなっている思い込みを紙に書き出し、真実をあますことなくあぶり出すことです。
外のアプローチは、自分の外界への働きかけです。どんな考えもあらゆる思考も脇に置いて!やる気があるかないかに関わらず!!めんどうでもとにかく!!!…やるべきことを、やるのです。
わたしの元へ先延ばしに悩むクライアントが訪ねてきたときには、先延ばしという問題を生み出している[思いこみ]の方に、取り組みます。何かやらないタスクがあったとしたら、それをやったらどうなる、と思っているのか、それは本当か、本当でないとしたらどうして、それを信じているのか。背筋を正して、正直に、一つひとつ、向き合います。その姿はまるで哲学者が命題に挑むようです。
そうやって、思いこみに徹頭徹尾、向き合っていると、戦士(まもりびと)の姿勢が身についてきます。以前は先延ばしにしていた作業にも、[始める]という構えが、できてきます。その積み重ねにより、「始まりよければ五割良し」が経験として理解され、その姿勢にスッと戻れるようになるのです。
(第73章 おわり)
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