Shupines定期公演〜しゅぴねすぱれーど 金曜日の20:30待ち合わせ編~
「金曜日の20:30待ち合わせ」と言うのが Bitter Sweet Love お披露目の伏線と言うか、歌詞からの「匂わせ」であった訳であるが、金曜の八時に押上に辿り着く為の算段に明け暮れた一週間だったので、それには全く気付かず。
気付かないというか、考えているゆとりすらなく、このライブの為に働いていたと言って良い。
もろもろ力業で何とかして押上へ。
セットリスト
矢野桜子 細いヘアバンドで抑えたストレート
藤乃さや ゆる巻きツインテールにベレー帽
横音ひな ハーフアップ
星乃綾夏 ハーフツイン
葵葉ほのか 外ハネくま
ショートボブだとアレンジは限られてくるが、葵葉ほのかは珍しく毛先を外ハネにして、ツノ二つの創意工夫。
一曲目から、メンバーが心なしかニヤニヤしているような気がしていたが、二曲目で固まる(私が)。
ついに Bitter Sweet Love がお披露目。
これで既存曲の新体制バージョンが揃った。
Shupines には、当世風アイドルにはあまり無い、「深刻ではない聞かせる曲」が幾つかあり、Bitter Sweet Love もその一つ。
客がガヤを入れにくい構造ではあり、客の側でも無理にガヤを入れて曲を壊すような野暮は控える。
盛り上がりを求めてくる客の多い対バンのライブのセットリストには入れにくい曲ではある。
「シュピネ♡コンフィチュール」「Bitter Sweet Love」の静かな導入部から徐々に盛り上がり、「しゅきです!」で火がついて「オニオングラタンスープ」で大団円という流れ。
緩急の効いた良いセットリストであった。
当初からのコンセプトである “あなただけの可愛い私になりたい” は芯として保ちつつ、メンバーそれぞれの個性「矢野桜子の明るい激しさ」「星乃綾夏の含羞」「葵葉ほのかのお茶目」「横音ひなの過剰な元気」「藤乃さやの諧謔味」が入る。
特に直近の2曲では、これらが十二分に織り込まれて、「かわいいのプロ」としての今のShupinesを形作っている。
藤乃さやは、万事ちゃんとしようとし、ほぼちゃんとしているのだけれど、ほんのわずかな隙と綻びから諧謔味を生んでいる。
道化を演じようとしてそうなっているのではなく、積み重なった偶然に面白みが生まれる。
滑稽と諧謔は似て異なり、藤乃のそれには厭味やアクがないのが良い。
「静かに見ていたい」と「盛り上がりたい」。
時として両者の利害は対立するのであるが、適度な棲み分けと自制によって、10人集まれば10通りある「客としての楽しみ方」が担保されている今の Shupines は、私にとって居心地が良い。
疲労困憊の一週間だったが、無理を重ねた甲斐のある、楽しいライブだった。
(2023.10.22 記)
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