
岩崎美ゆき写真展「よあけの深淵」
午后から晴れたので自転車転がして四ツ谷、ギャラリー・ニエプスへ。
明るい室内に、カラーの「植物のある風景」が並ぶ。
先客があり、入り口付近の壁から見る。
後から気がつくのであるが、4面ある壁のうち、入り口に近い2面にはあっさり目の写真、奥の2面には何と言うか「こってりした写真」が並んでいた。
先客との話を聞くともなく聞いていると、飯田鉄の弟子筋らしい。
写真展としての明るさ、植物のある画面構成、写真についてのイメージを喚起するような文章を挟む配置など、影響を感じるところはある。
写真展の様子と、撮っている写真はインスタグラムで見られる。
https://www.instagram.com/miyuki_iwasaki_w/
奥へ進む。 枝とも幹とも蔓ともつかぬものが薄暗がりで絡み合い、林の奥では蘇鉄が増殖し、分かり合えない相手としての植物の、無限に近い緑色の生命力が、画面の中から押し寄せて来る。
手法として似ているところはあったが、画面内の無機物と同化して構造物の一つのようになっている飯田の写真に対し、写されている植物の「生き物」としての自己主張が非常に強い所が大きく異なる。
「これは何だろう?」と凝視しているうちに、ひたひたと、ひたひたと押し寄せて来た植物に精神が呑み込まれるような「圧」があった。
殊更おどろおどろしく撮ってはいないのだけれど、だからこそ感じる植物と言うものの強さと怖さ。

(2022.11.26 記)