Symdolick 定期公演 歌舞音曲 Vol.9 〜 BUN FES mini 〜
当日が誕生日である文瀬朱が、Symdolick定期公演として開催するアイドルフェス。
出演:ウイバナ / Lily of the valley / Strawberry Girls / Symdolick
ゲスト3組ありのミニフェスなのでウォーミングアップ公演は無し。
タイムテーブル
Symdolickが前説と前座。
温まったところでバトンを渡し、繋いで行く。
※Symdolickは撮影チケットのみ写真撮影可能となります。
※その他、撮影につきましては各グループのルールをご確認ください。
と告知されていたが、ざっと調べても分からず。
マメな人が調べるだろうとタカを括っていたが、「ウイバナはいつも撮れます」以外の情報が無く、Strawberry Girls と Lily of the valley は見る方に専念。
Strawberry Girls
パステル調でメンバーカラー入った上下セパレートの衣装。
上下に躍動したり、ターンして翻らせた時に映えるように考えられたスカートが良い。
意匠を揃えつつ、メンバーそれぞれに特化。
足元は、白のストラップパンプスでありつつ、スニーカーのような緩衝材で厚底になっているもの。
ロリータ風の衣装に合わせつつ、踊りやすく足腰にかかる負荷を軽減。
振り付けも激しいが、それ以上にフォーメーションの変化が目まぐるしい。
奇数であることを活かして舞台に芯を作り、「1:2:4」になったり「1:5」になったり、はたまた「1:3:3」になったり、かごめかごめのように取り巻いて回ったり。
チアっぽい動きだったり、バレヱのようなジャンプしながらのスピンであったり、引用する動きの幅も広い。
BPM速め、で音数も多く、メンバーは休む間もなく、客も休めない。
その分、ボーカルはエフェクトと被せ強めだが、完全な口パクではなく生感もしっかりある。
それぞれしっかり動けているのだけれど、揃える事にも気が配られており、グループとして一つの有機体としての見応えもある。
Lily of the valley
生歌感強め。 歌えるメンバーを揃えている強み。
張って歌う曲が多く、歌声として耳には届くが言葉として聞き取りにくいところはあった。
聴かせる曲になると歌い方もオケの造りも変わるので、意図してやっているのであろう。
反応の薄い客には積極的に絡んで行く上方のアイドルのこってりしたステージングは割と苦手で避けて通って来たのだけれど、Lily of the valley はそこまでの物はなく、気楽に見られたのは良かった。
切れよく、激しく、大きく、高く。
客席の隅々まで届く振り付け。
尾野寺みさが引っ張る構成が多い。
押し出しが強く、舞台映えするので一と際大きく見えるが、上背は一番小さい。
採ったメモに「成田屋系の顔立ち」と書いてある。
激しく動くグループは、素人の撮影では事故が起きがちで、審美眼の無いものによる悪意のない拡散被害も起こり得るので、ここまでの二た組の撮禁は妥当。
ウイバナ
「終わらない青春、唄ってます。ウイバナです。」
影アナっぽく呟いてから登場。
意味のある言葉を、平易だが捻った言い回しで積み重ねて綴られた歌詞が良い。
衒いなく、飾らない。
泥臭く、真っ直ぐな、そんなに速くはない、簡素なロック。
Symdolick のコンセプトの対極にある楽曲群だが、それだけに相性が良いのかもしれない。
全員が全員、言葉の届く歌を唄えているのが良い。
高圧的であったり恫喝的であったりする煽りはせず、切っ掛けをつくる程度なのだけれど、客は嬉々として拳を上げ、声を出し、時に唄う。
客が声を出そうが何しようがその上を行ける歌の力があるからこそではありつつ、力と力がぶつかっても殺伐とはしない。
無支配無統制だが、相互扶助による一定の秩序は存在する。
真の意味に於けるアナルコパンク。
心地よい空間と時間だった。
Symdolick
ヒザでウイバナが十分温めたところで、満を持してSymdolick。
目の玉が飛び出るのではないかと思う程、その大きな目を更に大きく見開いて感情を迸らせる神咲くるみが象徴的だが、これまで自縄自縛になっていたあれこれから、それぞれがそれぞれを開放した今のSymdolickは、安心できない安心感と言うか、常に期待値を良い意味で裏切ってくれる信頼がある。
やるべきことをきっちりやった上で残った余白に、自由な筆遣いで余計なあれこれを一寸描き足す。
今日もそんなライブ。
出演者も、その出演者目当ての客も、出演するライブそのものに対する関心と信頼がある。
幕間も、フロア内での前後の入れ替わりはあるが、内外での入れ替わりが起らない。このあたり、文瀬朱の人徳によるところが大いにあり、これと見込んで出演して貰ったグループへの敬意がその場に居るほとんどの人の間で共有されている。
アイドルフェスとしての理想形に近い、素晴らしいライブだった。
(2023.07.22 記)