本庄鈴×福島裕二写真展 ~感謝~
午后からアトリエ y 原宿へ。
自転車で移動するにはまだまた危険な暑さなので原宿駅まで出て、徒歩で向かう。
日陰の多いと東郷神社の境内を経由しても、ギャラリーに着くころには汗だくに。
AV方面の写真展も二極分化しており、特典会の為の写真展になっていたり、写真展の体すら成していない事もままある。
今回は「当たり」だった。
写真展としての質と量が共に充実。
扉を開けると目の前に記帳台、右にB0の大作が1点。
床に敷き詰められたファンレターに囲まれて横たわる本庄鈴。
テーマである「感謝」が示すもの。
ステートメントなどは貼られていないが、在廊していた本庄鈴が来場者一人一人に葉書大のフライヤーとメッセージカードを手渡していた。
このメッセージカードに、写真展に当たっての所感が綴られている。
内容もさることながら「一人々々に手渡し」と言う所に、並々ならぬ思いが感じられる。
外ロケ、スタジオ、ラブホテル、街撮スナップ。
B0で7点、その他大きなものから小品まで取り混ぜて。
首から上を斜めから切り取った一枚に心惹かれる。
睫毛の先から水晶体の奥の虹彩あたりまでの薄いピント。
この深度で描いた所に視点を導き、なだらかなボケで全体を描いている。
他にも、本庄鈴の「目」を主題にした作品が幾つか。
髪のあしらいやメイクなど、整えてカメラの前には立っているのだけれど、装ったり取り繕ったりはしていない。
撮る側の福島も、特質である「糊塗せず、暴き立てず」で向き合う。
ラブホテルでの撮影も、服を着ていない人を撮って不自然ではない場所で且つ背景として映えるあれこりのある所として選ばれているが、撮り撮られる関係からはみ出すことは無い。
もう一点、唸らされたのは、満天の星の下、グラウンドの真ん中に佇む姿を撮ったもの。
掻き上げられて拡がる後ろ髪、左右に広げた両手。
光を捉える技術、光を作る技術、光で描く技術、それらを一枚の写真として仕上げる技術。
詰め込まれた技術を感じさせない絵作りのセンス。
支えるスタッフ、応えるモデル。
様々な人に支えられて今がある、その「今」を写真として遺し、見て貰う。
それが本庄鈴の、支えてくれた人々への感謝の伝え方なのだと思う。
良いものを見た。
(2024.09.16 記)