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写真光学研究会 写真展 第四章 「昭和のレンズ」

乗り始めは肌寒いが、走っているうちに汗ばんでくる、しかし止まっても大汗は掻かない。
自転車移動民には過ごしやすい季節に漸く。

午后から番町の日本カメラ博物館の地下、JCIIクラブ25へ。

写真光学研究会には魑魅魍魎クラスの好事家がぞろぞろ。
その時々のテーマに沿った手持ちのレンズで撮った作品に、そのレンズに関するあれこれを記した文章を添える写真展。
「好きなレンズで好きなもの/人を撮りたい」
である私の趣味嗜好に近い。

今回のテーマは「昭和のレンズ」。
六十余年続いた時代の古今東西、珍品/謎品から普遍的な物迄幅広く。

ステートメント

レンズ蒐集を「ジジイのメンコ集め」と評した人が居たが、説明を聞いてもよく分からないような珍品を平然と普段使いして、「作例」ではなく「作品」に高めて出してくる人も居れば、標準レンズの他にもう一本と言う感じで手にしたような普及レンズを改めて使ってみる人も居る。

そうした好事家然とした好事家の中で、工業製品としてのカメラ/レンズの原点となるものをテーマにした市川泰憲の出展に唸る。
現在、ミラーレス一眼でシェアを分け合う、ソニー、ニコン、キヤノンの、それぞれの最初の一眼レフの標準レンズ。

フジフイルムの作っていたソフトフォーカスレンズについて纏めたもの。
ソフトのためのソフト、描写は横に置いてふわふわ写れば良しとする凡百のソフトレンズに対し、レンズとしての性能を担保しつつ、理詰めでコントロールしたソフト効果を乗せる特異性。
狂人としての狂人が凡百のソフトレンズだとすると、フジのソフトレンズは「「狂人の真似とて大路を走らば即ち狂人なり」的な狂人。

私も栗林写真工業(ペトリ)のカメラやレンズについては偏執的に調べたつもりだったが、大判用レンズの使用例は初めて見た。

NIKKOR-S 5.8cm/f1.4の描写の話から当時の写真作法であった「5.6~8くらいまで絞って撮る」(そう、開放では撮らなかった)の話に転び、更には初期のズームレンズが意外に良く写る話。
談論風発ついでに「43-86、見ますか」「見ます見ます」
ローレットがヘンだな、と思ったら、Fマウントの初期モデルですらなく、レコレックスズームから引っこ抜いてライカMマウントにしたもの。

こうした、ちょっとした立ち話も楽しい。

(2024.11.09 記)

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