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第一回 PHOTOLEAP Exhibition

ギャラリールデコ全棟借り切りの写真イベントへ。
先ずは6階から。

ステートメント

『PHOTO LEAP』は、アマチュアからプロまで、幅広い層の写真家に門戸を開いた写真コンテストです。
ポートレート、風景、ストリート、コンセプチュアルなど、ジャンルを問わず多様な作品を募ります。
本コンテストは才能ある写真家の夢と目標を具現化し、その飛躍の礎となることを使命としております。
優秀作品には100万円の賞金を謹呈し、受賞者の更なる飛躍を後押しいたします。

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目指す場所であれる展示会を開催し、作家活動の大きな1歩として欲しい。

写真に携わり約10年
写真展の企画・運営、ディレクションや写真集の制作を行って参りました。
自身の活動を通じ、十分な創作活動には
少なくとも100万円ほどの資金が必要な場面に直面してきました。
写真活動に真摯に向き合う人を少しでも支えたい。
この賞金を基に、さらなる活躍、飛躍の機会にして頂きたいという想いで この度、コンテスト『PHOTO LEAP(PL展)』を発足いたします。

-主催・運営 株式会社munimu 代表 山中夏歩-

後ろ盾のない状態で作家活動をする場合、自己資金としてどれくらい必要になるのか身に染みて知る側から出た企画。

ジャンルを絞らずに募った事で、さまざまな写真が展示されていた。

それぞれの作品の横に、思いを記した文章が添えられているのだけれど、敢えてフォントを小さくしてある。
先ずは写真を見て、感じて、そのあとで文字情報に触れてもらう趣向。

奇を衒ってみたくなる気分は分かるのだけれど、見せ方として上手く行っていない出展者が多く、残念だった。
定型の展示手法は、無数の失敗、先人の死屍累々の上に成り立っている。
その展示方法が採られていないのは上手く行かなかったからである事は知っておくべきであり、敢えてそれをやるなら十二分に試行錯誤/検討はなされるべき。
どちらも出来ていない。

作品を販売するための写真展の場合、額の保護板は必要になるが、見て貰う為の写真展の場合は映り込みがノイズになる。
それも顧慮されていない。

天井に近い位置まで使って展示すれば、照明の反射を拾って見辛くもなる。
足元から天井近くまで使ってしまう出展者の作品に対して、その手前の足元に照明を当て、照り返しで全体を見せるなど、作家の拙さを主催者が補っていたことには感心した。

手に取って見て貰う種類の作品は、手に取って見ようと思わせる何かが無ければ、そもそも手に取っては貰えない。
脆ければ作品としての見た目も毀損されて行き、手に取って貰えなくなる。

インパクト勝負のインスタレーションは、その場で耳目を惹くことは出来ても、作家としての「そこから先」が見えてこない。
展示方法が独りよがりなものは、そうすることで誤魔化したい何かがあり、写真そのものと向き合うと空疎であったりもする。

見せ方として拙いが為に損をしている人、見せ方がなまじ上手いために底の浅さが出てしまう人。
募る側としてどこまで干渉すべきなのかも含めて、作家支援の難しさを意外なところで感じた。

試みが上手く行っているもの
星野ミキオ「かわいく、かっこいい。」
YUTA録「美羽」
嘉-yoshi-「私はありあまる」
石井陽子「鹿の惑星~北から南へ」

写真としては面白いが展示に難
杉水五大「湿度 -共鳴する記憶-」
Tomomi Yamazaki「きっと嫌いなんかじゃなくて大切にできなかった」
石田シンヤ「RECOLLECTION/記憶」
吉池巨成「SALVAGE」
武田慎太郎「Aracne」

非常に惜しかったのが武田慎太郎の「Aracne」
吊り下げられていた冊子状の作品は、最終日ではありつつも短期の展示の間にずいぶん草臥れてしまっていた。
脆すぎる。
頁を繰ると、中に隠された作品の質に驚かされるのだけれど、手に取って貰えなければそもそも見ることが出来ない。
どう見せたいかについては考えられているが、それがどう見えるのかについての考えが浅すぎる。
勿体無い。

ともあれ、作家支援を目的とした公募展の初回としては悪くなかった。
優勝者の今後にも期待したい。

(2024.12.18 記)

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