♮リアスクライブ 1st ONEMAN LIVE 「-Narrative-」
新宿アルタ Keystudio は、エレベーターで上がるしかないのだけれど、開場30分前からしか7階に止まるボタンが使えないので見極めが難しい。
開場25分前くらいに、丁度動いたエレベーターで7階へ。
人それぞれ考え方はあると思うが、通常のドリンクチケットではソフトドリンクのみ、100円プラスでアルコール類と言うこの箱のシステムは、なんとなく酒を飲んでしまう衝動を抑えられるので好ましく感じている。
前方は撮影可能なプレミアムチケットの椅子あり(立って観覧しても良い)席が2列。
一般エリアの中央は盛り上がって楽しむ人が多そうなので、前の方で且つ大人しく見そうな人々のあたりへ。
女性限定エリアが日向みゆカラーの黄色のライトで埋まっており、感心しつつ納得。
その日限りの動員ではなく、日向みゆ「目当て」で来ているのが感じられる。
女性のお客さんは「そのアイドルに見られて恥ずかしくない服」「そのアイドルのファンだと思われて恥ずかしくない服(アイドルに恥をかかせない服)」で会場に来る割合が多い。
せめて迷惑は掛けない、イメージを悪くしないようにしたいとは思う。
ステージに或る程度の高さがあり、どこからでも見辛いことはないので、開場待ちの並びを避ける向きも多く、フロアは徐々に埋まる。
じわじわと、じわじわと、熱気が高まり、定時開演。
セットリスト
今出来る事 +α を詰め込んだ、リアスクライブの現在位置と「これから」を示す、充実したライブだった。
新Overtureに驚いていると、新衣装で登場。
出し惜しみしない事を明示。
新衣装はマントのような黒の上着が着脱可能になっており、下は白を基調にした、意匠は揃えて統一感は保ちつつも、それぞれのキャラクターに合わせたもの。
早瀬さくらは黒、天乃さやは白のコルセットでウエストを絞り、天乃曰く「ライブ前はご飯が食べられない」。
その分、シルエットが美しい。
前後左右、何処から見ても映える。
天乃は清楚に、早瀬はツノ付きのカチューシャで小悪魔風。
愛芽ばくは「ヒーローでありたい」と言うモットーから、白いマントをたなびかせる。
高めのポニーテールに大きなリボンがよく合っていた。
ゴスロリ好きの日向みゆは「ベルトが5本」。
ソックスガーターも仰々しいものを。
白のヘッドドレスにコロネツイン。
涼風つばさは、背筋が伸びて見える詰襟ブラウス。
凛とした動きに華やかさを付与。
金髪ウルフの髪型も板に付いてきた。
姫宮るなは裾のレースが長めに。 ターンするとふわりと躍る。
ハーフツインも相俟って、優雅に可愛らしく。
夢咲あむは最大限カッコイイに振ったもの。
ショートパンツだが、西洋甲冑のフォールズ(faulds)の様な片スカートが装飾として付き、フェミニンでありつつ精悍なイメージ。
西洋服飾史の縮図のような多様性。
メンバーそれぞれの追い求めるアイドル像を、衣装として具現化。
アイドルに「なる」人々を、纏われる事によって支える。
それぞれのソロパートには、その人ならではの見せ場があり、何処を見ていても、何と言うか
「視野が凹まない」
目まぐるしく変わる立ち位置の中で後列になっても、端になっても、そこでの見せ場がある。
目が足りない。
曲間には、次の曲にまつわるエピソードを織り込んだ前口上。
わいわいと盛り上がっていた人々も、聞くべきところでは襟を正し、耳を澄ませる。
スクリーンの映像が星空になって「夜空の物語」、星空に流れ星が飛び交い、満を持して「煌めく流星群」。
このライブで、この場所で、現体制でのこの曲のお披露目をすることに意味があった。
目頭が熱くなる。
そして新曲「未来メッセージ」。
歌詞がスクリーンに映し出される趣向。
曲の盛り上がりと共に饒舌になって行くピアノ。
アイドルそのものも、客としての楽しみ方も体育会的なノリに支配されて久しいが、そう言うものばかりになっても詰まらないし、少なくとも私は居心地が悪い。
リアスクライブの、思いや気持ちを言葉として表し、ライブを構成するものの一つとして組み込む試み。
私は面白い、好ましいものだと感じている。
言葉の選び方が生硬であったり、先走ったり、迂遠であったりもするのだけれど、それもまた青春と言う人生の季節に相応しいものではある。
天乃さやは、紀貫之の業平評にあるような「その心余りて言葉足らず。」的なところ無きにしも非ずだが、自分の語彙の中で飾らずに紡ぐ言葉は、核心を衝くものである事もまた多い。
「皆の人生を楽しませる人で居たい」
「誰かの人生にとって、意味のある人間で居たい」
それがアイドルとして天乃さやが目指す立ち位置であり、その通りに振る舞えている。
リアスクライブの「物語り」は、紀伝体の史書のようなものだと私は思う。
グループ全体の「本紀」と、メンバーそれぞれの「世家」、取り巻く人々の「列伝」。
そう考えると、天乃さやの語る「ファンの一人一人も、リアスクライブと言う物語りの主人公」にも納得が行く。
「あなたも、あなたと言う物語りの主人公です」それは一面に於いて正しい。
しかし私は自分の人生に於いて主人公の座から降りて久しく、このまま一生を終えることになる(と、思う。)。 そんな人生もある。
自分が主人公の人生を生きている人たちにとって、せめてより良き傍観者であろうとは考えている。
纏まらないままだが、感動が新鮮な状態で筆を置くことにする。
お披露目から約8か月、Keystudio の記憶を美しく塗り替えて、リアスクライブの紡ぐ物語りの序章は終わった。
新しい物語りの始まりを、心躍らせつつ待とうと思う。
(2023.02.05 記)
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