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Symdolick ウォーミングアップ公演 ザ・チューニング Vol.3 /定期公演 歌舞音曲 Vol.5
本邦のアイドルについて「未成熟なものを愛でる悪趣味」「低レベル」と見下す向きも未だ多いが、「アイドル」として括られたり自称したりする人々の大きな振れ幅の一部分しか目に入らない人々の近視眼的な物言いであり、「そうではない部分」の豊かさを知らない、蓋をして見なかった事にするのは、批判者として誠実な態度でもない。
ともあれ、昨年夏以降の Symdolick が取り組んでいる「成熟した存在の更なる変化」を、私は好ましく面白いものとして見ている。
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仕事遣り繰りして平日の夜の渋谷へ。
先ずは本公演の前の、ウォーミングアップ公演へ。
Symdolick ウォーミングアップ公演 ザ・チューニング Vol.3
木戸銭無し、ドリンク代のみ。
18:40開演と少々早い事もあり、来るのは熱心な客が多い。
私は「場の盛り上がり」に資するところ皆無な客であり、ウォーミングアップと言っても何をする訳でも無いが、邪魔にはならぬよう、路傍の石の如く隅の方で「送り手が何をしようとしているのか」を観察。
「こんな音楽/ライブをやって行きたい」
「ついてはこんな感じで見て/盛り上がって欲しい」
「かくかくしかじかのような振る舞いは望まない(※禁止ではない)」
これまでに提示されてきたあれこれについての、送り手と受け手の擦り合わせのような意味合い。
その日のライブでやる曲の中から1曲選んで、振り付けや歌詞の注目点、ハンドクラップやシンガロングetc...「こうして欲しい事」の提案とお浚い。
当世のアイドル客の「村社会の奇習」のような謎の呪文を歌声におっ被せて潰すような野暮な振舞いを私は好まないし、そもそも野郎の胴間声に金なんざ払いたくもないし、そうした客を敢えて呼び込む愚で場を荒れ放題にした送り手の齎した災厄も目の当たりにしてきたので、私はこの施策を概ね是としている。
「MIX打てないなんて」と離れて行く人も居るし、それはそれで仕方のない事だと思うが、無理に同居する事の方がより不幸なので、袂を分かつなら早い方が良い。
見て、聴いて、楽しむことを阻害する要因が少ない環境は整えられており、それに惹かれて足を運んでいる人も、徐々にではあるが増えて来た。
既存のアイドル客層のパイの奪い合いではなく、そうではない新たな客層を開拓するのは難しい事ではあるが、持続可能な活動環境の下地を作るには、それしかないように私には思える。
Symdolick 定期公演 歌舞音曲 Vol.5
一旦外に出て並び直し、改めて入場。
セットリスト
01. ENDLESS LOOP
02. magical sweetie
03. ごめん
04. 体温
05. Symdolicxxxxx
06. ハナチルミチル
07. HANDS
08. ALIVE
09. キボウノヒカリ
新しい曲が増えるごとに、送り手の、そしてメンバーの「やりたいこと」がはっきりしてきた。
5人それぞれに「自分の歌」があり、それを織り上げる事で Symdolick の歌が出来上がる。
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振り付けにもそれぞれの動き方の特徴、それぞれの色がありつつ、全体として整えられて Symdolick になっている。
本日初披露の「ハナチルミチル」。
譜割りが細かく音数が多く、メロディも複雑で難解。
「オシャレ高速チョイ横アイドルロック」を具現化した一曲。
私は心にロックが宿っていないので、ロックを前面に出されると興醒めするところ無きにしも非ずなのだけれど、楽曲として面白い。
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雨音凜子の、アコースティックギターの弦の上で指を滑らせるような「しゃくり」。
語るが如く歌う石川野乃花。
甘さと強さを兼ね備えた氷ノ黎。
「パンッ」と強い声を響かせる神咲くるみ。
優しく丁寧に、時に激しく文瀬朱。
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今のメンバーに合わせた歌割りで練り直された既存曲も含め、成熟したアイドルの奏でる音楽の豊潤さに浸れるライブが心地良い。
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ドリンクチケットを何に替えるか考えつつメニューを眺め、ジンソーダを選択。
炭酸強め、仄かに甘く、複雑且つ華やかに香り、爽やかでありつつ少し苦みもある。
私にとっての今の Symdolick が、丁度こんな感じ。
(2023.03.11 記)