40代の転職において、「過去の経験を活かしたい」は逆効果になることがある
セカンドゴングの高木屋です。
フリーのキャリアコンサルタントとして、企業の採用支援や求職者のキャリア支援に従事しています。
転職の面接などで、40代の方からよく聞く志望動機の1つとして、「過去の経験を活かしたい」というフレーズがあります。
「40代だからこそ経験を活かしてキャリアアップしていきたい」
「経験をアピールした方がよい評価を得られそうだ」
「会社への貢献意欲を評価してほしい」
上記のような考えや思いが、「過去の経験を活かしたい」という一言に込められているのです。
応募者本人の立場に立つと、お気持ちはとてもよく理解できます。
誰しも面接を受ける以上は「内定」までたどり着きたいですし、「内定」を得るためには企業から良い評価を得る必要があります。
ですから、これまでの経験に自信がある方ほど、「過去の経験を活かしたい」という言葉を発することが多いのです。
しかし面接では、受け手(企業)側がその言葉をどう捉えるかまで考えておく必要があります。
「過去の経験を活かしたい」という言葉を、採用担当者はどう捉える?
面接は「自分がアピールしたいこと」を伝える場ではなく、「相手が知りたいこと」に答えていく場です。
自分が発信した言葉を相手がどう捉えるかを想像することは、面接においてとても重要です。
それでは企業の採用担当者は、「過去の経験を活かしたい」という言葉をどのように捉えるのでしょうか。
採用担当者からよく言われることは以下の2つです。
1.どのような経験を「当社業務のどこに、どう活かしたいのか」が不明瞭である
このようなとらえ方をされないためには、企業理解、ポジション理解が必要でしょう。
業務内容はもちろんのこと、組織構成やその中で求められる立ち回りによって、採用担当者の目線は変わります。
事前にポジション理解を深めた上で、「何をどう活かしたい」のかまで詰めておきましょう。
ふんわりとした状態で「活かしたい」と言われても、採用担当側は困ってしまいますし、困ったと思われたら選考はそこで終了です。
2.「これまでの努力水準をキープする」という意味合いであれば力不足である
このようなとらえ方をされないためには、「ポータブルスキル」についての理解が必要です。
ポータブルスキルとは、持ち運びできる能力(違う環境でも通用する力)のことです。
反対語となるのは「企業内特殊スキル」で、その企業内でしか通用しないスキルや能力のことを指します。
たとえば、以下のケースなどは「企業内特殊スキル」といえるでしょう。
「リーダー、どうすればよいでしょうか?」
「営業2課の佐藤係長が○×商事の担当をしているから、資料をもらってきて」
佐藤係長が○×商事の担当をしていることを思い出し、メンバーに伝達できる能力は、社内でしか通用しません。
これは組織に長く在籍することで得られる、企業内での特殊なスキルです。
日々の業務を円滑に回すためには必要ですが、転職面接の場で評価されるとはかぎりません。
慣れ親しんだ環境で成果を出すことと、全く関係性がない環境で成果を出すことの難易度は大きく違います。
「活かしたい経験」のなかで、企業内特殊スキルの要素が大きいかどうかは、採用担当者は瞬時に見抜いてしまうものです。
企業内特殊スキルが悪いということではなく、
これまでの成果は、ポータブルスキルと企業内特殊スキルの掛け合わせで形成されている
という事実を念頭に置いておくことが重要となります。
そのことが念頭にあれば、新しい環境においては企業内特殊スキルが活かせなくなるので、
「今までと同水準の努力では到底活躍できない」
ということが理解できるはずです。
これまでの経験や成果を分解して、社外でも通用するスキルと、そうでないスキルを仕分けましょう。
そのうえで、社外でも通用するスキル(ポータブルスキル)について、
業務のどこに、どんなふうに活かしていきたいのか?
上記のように具体的に落とし込むことで、採用担当者の「力不足」という評価を変えられるはずです。
まとめ
ここまでの内容をまとめると、40代が転職の面接において、安易に「これまでの経験を活かしたい」と言ってしまうことは危険だということです。
危険を回避するためにも、
・相手(応募ポジション)の理解を深める
・自分の経験を棚卸しする(ポータブルスキルの抽出)
この2つにしっかり取り組んだうえで、選考にのぞむようにしましょう。
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