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シングルマザーがシンドイのは経済的なだけじゃない。

前回のお話はこちらから

漁師小屋付きの民泊は田舎の縮図だった。

お借りした民泊には母屋があって、
民泊は隣に建てられた新しい家だった。

将来息子が結婚した時にと建てた家らしい。

実際息子は結婚し、ここに住んだけれど
何らかの理由で離婚でいなくなってしまったのかもしれない。

家の中の氣は重く、それもあって
夜中まで漁師小屋にいて
朝早く、予定よりも早くここを出発した。

次の目的地は九島の、そう、
前に泊まったVeganの民泊に行く。

チェックインまで、まだまだ時間があったので
宇和島周辺を探索した。

今朝までの民泊の空氣感に
昔のことをツラツラ思い出す。

シングルマザーになってみて。

1回目の離婚のあと、
わたしは当時2才半だった息子を連れて
シングルマザーになった。

1番目の夫には多額の借金があって
わたし名義もあったから
貯金なんか全然ないし実家にも帰れずに
姉を頼って埼玉の田舎に引っ越した。

小さな古いアパートにまだ赤ちゃんみたいな息子とふたり
頑張って生きていこう!と誓う。

隣にはおばあちゃんと40くらいの息子がいて
上には若夫婦と学生さんの4家族だけの小さいアパートだった。

隣のおばあちゃんは90くらいだったけど
めちゃくちゃうるさくて

なんだか知らないけど
「若いとわからないかもしれないけど」
「息子の嫁ならこんなことは」
と、いつも叱られてた。

家に呼ばれてお茶に誘われるけど
いつも息子の自慢話ばかり。

家の前が駐車場だったのだが
そこで息子が遊んでいると
隣のおじさんが出てきて
サッカーボールをくれたことがあった。

その後、いつものようにおばあちゃんに
お茶に誘われた。

すると、おばあちゃんが
「息子を大事にするなら仕方ないわね」
とか
「ほんとはきちんとした家柄に人にすべきだけど」
とか言い出した。

よくよく考えると一連の言動は

わたしを嫁にしてもいいか吟味してた。

んだった。
当時わたしは23〜4才。
普通だったら40過ぎのオヤジ(しかも姑付き)
と結婚するなんて到底考えられないだろう。

でも、わたしは子連れだ。
そこで、値踏みが始まるのかな、と氣づいた。

でも、息子とも良く話したこともないし
そもそも付き合ってお茶飲んだのは
おばあちゃんしかいないし

何がどうなるとそうなるのかわからないけれど
その魂胆がわかった瞬間
めちゃくちゃキモチ悪くなり
この家族とは距離を置くようになった。

エスカレートする男たち

その後もシングルマザーであると
ほんと世間の、って言うか男は
いろんなメガネで見てくることに氣づく。

ある会社の営業にいた時のこと。
チームで営業に行くのだが
わたしの入ったチームは
わたし以外全員男性だった。

毎日車で移動するのだが
最初のうちは単なる世間話だったけど
そのうち、下ネタが少しづつ顔を出した。

同じチームなので気まずくなるといけないと思い
適当に相槌を打つ。

ほんとこの対応が悪かったとあとでわかるが
彼らはわたしの様子を見つつ
どんどんエスカレートしていった。

チームの中に彼女いない歴26年という奴がいて
聞くところによると童貞らしい。
(その頃になると嫌で嫌で苦笑いするのがやっとだった)

「田中さん(わたし仮名)は結婚してたんだからさ〜」
「たぶん、お前(童貞)をリードしてくれるよ〜」
「田中さんにしてもらったら?」
と、ニヤニヤして言われる。

営業なのに危険と隣り合わせなんて


ほんとに嫌だ、なんで離婚歴があるだけで
こんな目に遭わないといけないんだろう。

毎日、イヤイヤ会社に向かう。
前の夫に押し付けられた借金を返すため
息子と生活するため

仕事に行かなくてはならないから
イヤだけど笑顔で接していた。




ある大雨の日、長く通っていた会社から
契約が貰えることになった。



あんなイヤイヤだけどお客さんには評判が良くて
時にはトップ営業の成績を取っていたわたし。
(だからこそ辞められないのもあった)



意気揚々と向かったが、思わぬアクシデントで
契約が白紙になった。



車内で待つ3人にダメになった報告をしながら
アクシデントが悔しくて泣いてしまった。

途端に車内が変な空気になる。


チーフとサブが顔を見合わせて言う。


「俺たちで慰めてあげるよ」
「最近、、。だろ?」



童貞くんはそのやりとりを見ながら
固唾を飲んでわたしを見つめた。


雨もあって、車中が3人の荒い息で白くなる。




ゾゾゾゾゾゾと背筋に冷や汗が垂れてきた。





「あ!書類忘れました!!!」

と大声で言って車を飛び出した。



断られた会社へ入るけど、忘れ物などないので
担当者へ挨拶をする。


このままじゃ襲われそうなので
思い切り拒絶の鎧を着て車に戻ると

先ほどまでの空気は消え
あっけなく無事に会社に帰れた。


家に帰ると、今日の出来事を思い出して
涙が止まらなくなった。

こんな惨めな目に遭わなきゃいけないのか。

1週間ほど会社を欠勤し、結局辞めた。

今だったら考えられない

今のわたしだったら彼らをぶっとばしているだろう。
iPhoneで録音もして
なんだったら動画も撮って
YouTubeに流していたかもしれない。

やめる時に会社に泣いて訴えた。

課長や主任は
「それぐらいで」
「冗談だから」
と笑っていた。



今、女性の立場を良くしようと
世界中でムーブメントが起こっている。

女性だから、障がい者だから
男性だから、外国人だからと
ほんと、その人じゃないとわからないことがいっぱい起きている。

でも、その、その人なりの
「これがイヤだった」を
知ることが出来たら、
わたしたちはもっとそこに寄り添えるんじゃないかと思う。



わたしもわたしの経験が少しでも
だれかの「え、そうだったのか」に
繋がればいいな。

そう思って、書いてたら、
あれ〜、旅の話からめっちゃズレた。笑

では次回〜。笑

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