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5.20 ローマ字の日・森林の日
ローマ字の森ではいつも激しい場所取り争いが行われている。
誰もが単語になりたくて、どの単語も文章になりたがっている。
aはいつもiの隣に並びたがった。
それはとても簡単なことで、iもaのことが好きだった。
aiueoはそれだけで一つの音を持ち、kyaやkyuなど三文字が必要なものはとても頭を使わなければローマ字の一部になれなかった。
aはいつもiの隣にいた。
朝起きると並びが変わっていることもしばしばあったが、負けじとiは根を動かしてaの隣へ向かった。
たくさんのaとたくさんのiが自分のパートナーを求めていた。
しかしローマ字の森にaとiばかりが並ぶと、世界の中で生き絶えるローマ字が出てきた。
それも少数ではない。
たくさんのローマ字と、単語と、文章が滅びた。
aは荒廃していくローマ字の森に違和感を覚え始めた。
iは偏狭的なまでにaの隣を確保しようとして、ただ隣にいれば幸せそうにしていた。
aたちは目覚め始めていた。
そしてiに、いくつかのaと離れることを提案した。
iは悲しんだ。
とても悲しみ、それはやがて怒りに変わった。
iはaの根を焼いてoにしてしまった。
oは無口で何も言わない。
ぽっかりと開けた腹の穴を空気がすうすうと通り抜ける音がするばかりだ。
その隣でiはただおいおいと泣いていた。
oになったaの隣で、iは自分のした事を悔い、いつかまた根が伸びてaになることがあればその時は今度こそ自分から離れようと心に誓った。
iは今も泣きながらaの帰りを待っている。
離れることになると分かっていても、oの隣でaの復活を祈り続けている。
5.20 ローマ字の日、森林の日
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