1.29 タウン情報の日
ポストに冊子が入っていたので、ピザ屋と寿司屋の広告と一緒に抜き取って部屋に上がった。
それは無料配布のタウン情報誌で、こたつにあたりながら見るともなしに眺めていると、俺の広告が入っていた。
「何だこれ」
盗み撮りをしたような俺の横顔に、ポップな文字で恋人募集中!まずは一度お電話ください!と書いてある。
「いやいやいやいや、はあ?」
たしかに男やもめの寂しい暮らしだが、こんなに大々的に恋人を募集した覚えは無い。
「誰だ!こんな嫌がらせしやがったのは」
発行元を見ると、この街には無い住所だった。手がこんでやがる。
身長170センチ、体重72キロくらい、犬が好きな不動産会社社員です。誠実、真面目。女の子はふっくらした子がタイプ。次男。料理が得意な人だとありがたいですが、苦手でも一緒に料理がしたいです。よろしくおねがいします!
こうやって条件を並べられると、なんだか自分は悪く無いような気がしてきた。
「案外俺っていけるんじゃないのか?」
そして、その時に応募してきてくれたぽっちゃり色白の料理が得意な女性が今の私の奥さんです。
誰の仕業か今でもわかりませんが、人生何があるのか分からないものですね。瓢箪から駒。