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7.24 セルフメディケーションの日
風邪をひいたのだ。
梅雨の間にばらばらになってしまった私の身体が悲鳴をあげている。
夏の暑さを思い出してそれに対応出来ずにいる。
本格的に悪くなる前に自分で薬局に行った。
喉に塗るスプレーとレトルトのお粥と桃の缶詰と風邪薬とマスクを買って大人しく帰った。
家に帰って熱を計るとすでに身体が沸騰しはじめている。
これはいかんとパジャマに着替えてレトルト粥を掻き込み薬を飲んだ。
体は寒いのに暑くて寝られないという夏風邪の辛さを思い知る。
仕方なく起き上がって冷蔵庫で冷やしておいた桃缶を食べることにする。
つるりとした二つに割れた白桃が甘く冷たいシロップに沈んでいる。
一口食べて心が泣いた。
母が看病してくれた記憶が蘇った。
別に母は今も離れてはいるが元気に過ごしているのに風邪のせいで子供の感情に戻ってしまっている。
いいのだ。
どうせ一人なのだから誰にも迷惑をかけることはない。
好きなだけ思い出に浸って気持ち悪い女々しい感情を吐き出せばいいのだ。
桃缶のおかげで冷えた体でようやくぐっすりと眠ることができる。
桃缶を食べた次の日はいつだって熱が下がっていたからこれできっと大丈夫だ。
元気になって体から菌が抜けたら久しぶりに母親に会いに行こうかと女々しい心が会いにいく理由を見つけて楽しみにしていた。
7.24 セルフメディケーションの日
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