
7.18 光化学スモッグの日
生まれた頃にはすでに、僕の住む町の空は蛍光イエローになりつつあったらしい。
高校生になった今では、すっかり空は蛍光イエローになっている。
いつでも少し酸っぱい匂いがする空気を吸いながら登校しているが、毎日嗅いでいると不思議なもので鼻が慣れて何も感じなくなってくる。
技術は発達し、車は空を飛ぶし人々は娯楽以外で食物を食べなくなったのに、どうしてこの変な色の空と変な匂いの空気は放っておくのだろうと疑問に思う。
僕は将来、環境整備をする仕事に就きたいと思っている。
映画でしか見たことのない青い空と、爽やかな風を取り戻したいと本気で夢見ている。
もしそれが無理ならば、どこか別の国に行って、青い空の下で良い空気を吸おう。
僕は今時の高校生だから、別に変な色の空の故郷にそれほどの思い入れは無いのだ。
ただ知らない国で知らない言語を学びながら生活しなければいけないのが面倒なので、出来ればこの国を何とか出来たら楽だなとぼんやり考えていた。
たぶん僕の両親もそう思ったけど駄目でこの国に移住してきたらしいけれど、結局こういう結果になってしまっている。
両親の住む町は空が蛍光ピンクになってしまったらしい。
地球上の全ての空が蛍光色に染まってしまったら、そのときはもう宇宙にでも逃げるしかないのだろうか。
「規模が大きすぎて面倒くさいなあ」
僕はため息をついて昼寝をすることにした。
今考えても仕方がない。
とりあえず出来ることは、難しい考えごとは後回しにすること。
これが楽しく生きるための秘訣である。
うたた寝を始めたそんな今も、この国の技術は発達して、黄色い煙が空を汚し続けている。
7.18 光化学スモッグの日
#小説 #光化学スモッグの日 #蛍光色 #JAM365 #日めくりノベル