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fall(ing) revelation

夏の冒頭あたりからずっとノンブルを振り間違えているし、身体に流れてくるのはうまく聴き取れない歌詞ばかりだけど、和音はいつでもそこで調和しているから安心して目を閉じることができた。そういう夜は何度かあった。薄目をあけたノートパソコンに文字を打ち込む。キーボードの隙間から漏れる光が好きで、わざと少し暗い所で触りたくなる。大切な映画はいつも一人で観たくなるけど、このあいだ大切な友だちと観た映画がそのまま私の大切な映画になってほんとうに嬉しかった。レシートのような半券はもう意味を持たないのに捨てるのが苦手で、部屋の壁はいくつかの季節の紙片で色褪せている。爪あと。人から貰ったものはいつの間にか私の手のひらに馴染んでいる。いつまで経っても私の足に合わない靴のこともずっと諦めきれずに手放せないままでいる。北へ行きたい気持ちと南へ行きたい気持ちを抱えた身体がちょうど真ん中で裂かれていく。ヘッドホンで遮った街に紛れていたはずの啓示。タイムラインに埋もれてスクロールの中に見出せなかった特定の単語の輪郭だけをいつまでもなぞり続けている。茹だる暑さの内側が冷えすぎたちぐはぐな季節が終わりを告げて、紅葉みたいに人々の袖が色づき始める。コートで覆うにはきっとまだ少し早いから、このなんとなくの肌寒さになんとなく耐えようとしている。獣使いが角笛を鳴らす。サウンドトラックを聴いても同じ景色は見れないけど、同じ速さにはなれる気がした。

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