第4のウォールライド
「BEHIND THE BEAM」を題材に、スノーボードのビデオにあれこれ言うやつの2回目です。
まだ観てなければこれを機に是非。
暇があれば本編も。
カメラとバインディングとビデオパートはアングルが重要
ビデオパートにとって大事な要素のひとつは、「感情移入」です。
格闘技でいえば試合前の「煽りVTR」。
プロレスでいえば「アングル」。
例え話の幅の狭さに、僕の趣味趣向の偏りが現れているのはここでは無視してもらうとして、
”アングルの無い闘いに、ひとは感情移入できない”
の言葉の通り、闘う動機に共感できるかどうかが大事です。
もしも親しい人がマラソン選手で、念願のオリンピックに出場して、そこででメダル圏内を走っていたら、応援の熱は相当なものでしょう。
逆に見ず知らずの人が、ルームランナーで42.195kmを好タイムで走り切ったとしても、「お疲れさん」の一言で済ませられるのは、アングルが無いからです。
プロレスにおける「アングル」とは何かは、各自で検索お願いします。
要するに、闘う側と観る側との間に物語が共有できているかどうか。
「BEHIND THE BEAM」はラストシーンでの感動を最大化するために作られたドキュメンタリーです。
感動を最大化するために、この作品はラストシーンに至るジョー・セクストン個人の物語を、観客と共有しました。
なんの前振りもなく、あの長いレールをメイクしてるシーンだけ観ても、「長いな〜」って驚く程度でしょう。
それを、雪がどんどん融けていく中で何度もトライしたとか、あと少しのところでウィンチが壊れたとか、自分と同じの名前の店で朝ごはん食べたとか、それでうまくいかなかったから今回は違うもの食べたとか。
(関係無いけど、物語の中で食べ物を大事に扱う登場人物には親近感が湧くらしい)
こんな過程の共有があっての、あのラストシーンです。
ここまでは単に構造の話で、僕が言いたいことはここからです。
じゃあ、面白いビデオパートってどうやったら作れるか?
答えは一つじゃ無いのを承知で、自分なりの結論をいうと、
そのライダーにのれるかどうかにかかっています。
ただし「BEHIND THE BEAM 」のように紆余曲折をパートの中で表現する必要はなくて、観る側がライダーにもともと感情移入できて(のれて)いればいいんです。
そのためには、難しいトリックできるようになる以上に、ライダー自身のキャラクターを表現できるかにかかっています。
画面の中の「誰か」で終わるんじゃなく、「画面でしか観たことないのに親近感あるヤツ」か「会ったことあるヤツ」になるべきだし、それが1番の近道だと思います。
誰かが、クワッドコークやロングレールをメイクといった偉業を成すより、
あなたが、あなたにとっての偉業を成すのを観たいとみんなが思っている。
と思います。
このことが、これから出世するため良い作品を作ろうと頑張っているライダーさん達へのヒントになったとしたら、好き勝手書いて誰かの役に立って一石二鳥です。
ついでに言っとくと、
いくらスノーボードが上手くても人間性に魅力が無いライダーより、
スノーボードの技術はそこそこでも、キャラクターが魅力的であればライダーとしての価値は充分にあるから、多くのライダーにもチャンスはあるはず!!
と思っていたけど、スノーボード上手いうえにキャラクターをちゃんと発信していて隙が無いケースも稀にある。
改めて、自分だけの山を登るべきだと思った次第です。