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RealSnow2020 : Jesse Augustinus

この作品を高く評価したジャッジ達を褒めてやりたい

なんて偉そうなこと口が裂けても言えませんが、ブロンズはジェシー・アウグスティヌス。


最初の印象では、4位のマーク・ウィルソンと順位が逆でもいいんじゃないかとも思えたんですが、何度か見比べてみて十分納得できる銅メダルでした。

むしろノーズプレス信者の自分としては、ファーストカットで完璧なノーズプレスをやってくれているので、彼の一挙手一投足全てが有り難く感じてしまいます。

これ以外で印象的なノーズプレスは、バートンがウェブ公開した"Street"の、5:28のシーン。

今回の銀メダルの人が、札幌近郊でやったやつです。このレールを実際に見たことあったので、このシーン特に印象に残っています。

あとはF.O.D.T.のこれ。

これを書いていて、ファーストカットでノーズプレスという定型が実は脈々と受け継がれているのかな?と思えてきたので、やっているビデオパートが他にもあれば教えて欲しいです。


リアルスノーに話を戻します。

今回のジャッジのうちのひとり、ジェシー・ポールが的確なこと言っています。「ハードなトリックがイージーに見える」とか、「ファーストカットのレールの撮り方が良い」とか。(雰囲気リスニングなので、間違ってるかも)

このジェシー・ポールという人、ライダーとして技術はあるけどもう少し華があればなあって印象だったのが、ジャッジでの説得力は素晴らしい。

3人の中でも最も現役寄りなので、特にライダーのスキルを見極められるのかもしれません。

僕なんかは下手すれば流し見してしまいそうな作品ですが、それは凄さを実感できるセンサーが鈍っているせいなのかもしれません。


技の精度と、技の選択の精度

0:47のキャブ180・ノーズプレス・F180と、1:03のダブルダウンのプレッツェルの2カットは僕みたいなほぼ素人には、ストリートで狙うには「割に合わない」んじゃないかと思ってしまうんですが、余裕でパートの一部として機能させています。

「割に合わない」とはどういう意味かというと、

撮りたいカットのために費やす労力と、作品にとってそのカットの価値が見合うかどうか。です。


どんなに苦労して撮った映像でも、ビデオパートの1カットとして機能しなければ無駄骨になります。

そこで作り手に求められるのは、それぞれのスポットでとにかくベストを尽くすことよりも、作品全体としてどんなスポットでどこまでのクオリティを目指すかの判断能力ではないでしょうか。


その観点で言うと、アウグスティヌスさんは優れていました。

先に挙げた2つのカットのようにあまり目新しさがないレールでも、その技なら十分にやる価値はある。ただしメイクができるなら・・・。

そして、彼はそれをできてしまう。

技そのものの精度と、どの技を出すのが最も合理的かの選択の精度が高い。

というところが、アウグスティヌスさんの只者ではないところだと思います。


90秒間は短くて長い

加えていうと、これは褒めても貶してもいないんですが印象として、

レールでの引き出しはまだまだあるけど、全体のバランスを考えてウォール系のカットも撮ってみた。っていう節があるんじゃないかと勘ぐっています。


RealSnowには「90秒間」というレギュレーションがあります。これ絶妙な設定だと思います。

あくまで想像ですが、これはディレクター(フィルマー、エディター)にとってかなりの難問ではないでしょうか。

もしもこれが30秒なら、ハンマートリック1つをメインにして、それを補完するようなカットが少しあれば成立する。

60秒だとしてもハンマートリック1つ、準ハンマートリック1つ、クリエイティブなやつ1つ、その他に少しあれば成立する。

3分あればライダーに感情移入させるドキュメンタリーがでる。


90秒はちょうどこれの中間です。どちらかに振り切ることができない難しさをクリアしなければなりません。そうなると行き着く先は、ハイレベルなライディングとハイクオリティなディレクションだけのシンプルな競争になるのではないでしょうか。

そのように設定されたこの企画は、必然的に小細工や誤魔化しが効かないものになります。

つまりは、頑張ってメイクする。それをちゃんと撮る。


さらに付け加えると、このRealSnowという企画は、順位を競うことによって「皆違って皆良い」だったはずのアーバンライディングの本質から外れてるとも言えます。

けれど、「オリジナル」という都合のいい言い訳を排除して、ひとつの物差しで測られる場に身を晒しているライダー&フィルマーは、結果に関わらず参加しているだけで尊いのです。


その勝負にエントリーするような高い志がある作品は、きっと「皆違って皆良い」はずです。

なんかややこしいのでこの辺で締めようと思います。



P.S. 

でもやっぱりマーク・ウィルソンが3位でジェシー・アウグスティヌスが4位の方がしっくりくるような気もしないでもないです。


おわり

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